メレバがSecretly Canadianに移籍して来年2月リリースのセカンドアルバムをアナウンスし最初の先行トラックをビデオ公開。
ウチではcktrlのフィーチャリング曲で登場していたことがありますが単独作品を掲載するのは初かな。一時はこう、なんか明らかにオルタナR&Bならばインディのレーベル(SCグループは実質インディと言えない規模だけど)からも普通に出るようになったよねぇ、なんて時期があったけど、これはそこからさらに踏み込んだメインストリーム寄りのリッチな質感を持つサウンド。とはいえもっとブラック色の強いニュアンスがあった前作と比べると遥かにアンニュイですし、ダウンテンポ~アンビエントのニュアンスが甘く香るソフトな楽曲で、ますますインディフレンドリーに進化してます。
なんかこのレベルでもSecretly Canadianからなのが「アリ」になるって、いろんな境界線が変わってきてる感じしてイイね。しかしこの流れを作ったのはやはりSolange(とブラッドオレンジ君)だと思うし、当時からの流れ全部リアタイで見てると感慨深いよ。前作はフィジカルが無かったようなので、今回は出るでしょう。
Good Looks – Damage Control
オースティンのグッド・ルックスは6月に最新作フルアルバムをリリースしたばかりですが、早くもフォローアップの新作シングルをリリース。
今回は特にBig Star~Teenage Fanclubラインを強く感じさせるファジーなパワーポップ・インディロックで、ほどよくラフな質感を持ったファットなサウンドが素晴らしく安定感あります。
オルタナマナーに準拠したガッツリ入る長尺のアウトロ・ギターソロもあり、ボーカルにも艶があってすこぶるフック満載と正直アルバムの楽曲群より遥かにイキが良いですね。引き続きKeeled Scalesから。
Romy & Sampha – I’m on your team
サンファとxxのロミーが連名でのコラボシングル曲をリリース。これまでカバーを連名で出してたことがありましたが、遂に初のオリジナル楽曲がお披露目です。
いわゆるスローなパワー・ピアノバラッドのデュエットスタイルでして、余計な装飾のない中で両名の歌唱がこだまする潔くリッチなトラックになってます。
二人とも別に特別うるさいタイプのボーカルではないですが、明確に特徴あってクセ強めのタイプではあるので、こんな風に両者主役で絡まれると印象がうるさいというかピアノ弾き語りのハズなのに音源に異常に圧があって若干聴き疲れするかもね。悪くはないんですけど。
Young Turksのスタジオライブ版も同時に出てます。
Oh My Sun – 5 Pieces
ロンドンから完全なるニューカマーの男女デュオ、オー・マイ・サンがデビューシングルをリリースしビデオ公開。これ厳密にはもう一般公開から1週遅れてしまってるのですが、本当にこの夏以降に表立って活動し始めたばかりの正真正銘の新人なので例外的にピックします。
サウンドとしてはすこぶるモダンなテクスチャーのインディフォークという感じで、楽曲自体は基本オーガニック・ヴィンテージライクっていう方向性をどんどん鮮やかに装飾していくスタイル。下手すれば軽薄になりそうなところを意外と上手いこと抑制の効いたナイスアレンジで安っぽくもならないように、かつ地味にもならないように手堅く完成されてます。
ちょい役のヴァイオリンとヴィオラまで含めオケは全て生演奏と、全体的にリッチなプロダクションで、これだけではまだ何ともですが、もう少し他のトラックも聴いてみたいですね。
今週のLP/EPフルリリース
Laura Marling – Patterns in Repeat (LP)
はい、最高傑作。先行曲群でこの仕上がりはある程度わかってたし、その時も書いたけど今回たぶん娘さん生まれたのが相当大きいのでしょう。まず家族三人の声(多分)から始まるし、直接的な描写も多く(曲名からしてってのもチラホラ)やはり人間は動物である。あの、私は孤独な人間とか自称してた、ある意味世捨て人、修道女みたいな雰囲気の時期もあった彼女がこうなるとはねぇ…。
15年以上のキャリア、プロパーのスタジオ作フルアルバムはこれで8th。別にジャンルがどうのこうのっていう音楽では全くないのだけど、個人的に近年作が一番良いという珍しいミュージシャンでSemper Feminaからの3枚(今作含む)は本当に素晴らしい。もともと持ってた神秘性と気高さはある程度しっかり残しながら温かみや彩りがどんどん加えられていき、いい意味で取っつき易さが向上。LUMPでの活動とかも効いてると思うんだけど何だかんだで編曲にも地味ながら比較的バリエーションが増えてるし、歌唱もどこか柔和に包容力アップでこれはもはや地母神かと。
こういう正真正銘のシンガーソングライターってある種、人間力勝負みたいなところあるし、ダイレクトにそういうものが伝わってくるというか、聴くことでそれを感知するのが醍醐味ともいえる音楽なんで、本当に純粋に彼女の人間的な魅力が増したとしか言いようがない。ジュディ・シルとジョニ・ミッチェルを混ぜて少し薄めマイルドかつウォームにした上で今風に洗練させたような文句なしの名盤、これは心の底からオススメです。一生聴くであろうレベル。