USのデュオ、ホロウ・サンシャインが実に7年ぶりとなる新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。
ややダウナー系のオルタナポップで、少しスロウコア的な雰囲気も持った飾り気のない枯れサウンド。メランコリックに沈んだ感じではあるけど、でもそんなに重くはなくて、この手の質感をしてる割にはコーラスが謎に豪華な仕立てというか、歌をとてもしっかり聴かせてくる作りなのが面白い。すごく自然体なのに芸術点と滋味もあって、単純にいい曲でもあります。アウトロがかすれ消え行く本当の最後5秒だけ謎に不穏なコードでシメるのもプラス。
まぁ、Dusterとかの路線がもっと優しくキャッチーになったような感じかな。これはアルバムが楽しみになりましたね。PROTAGONISTからのリリースです。
Momma – I Want You (Fever)
L.A.のモンマが前作に引き続きPolyvinyl / Lucky Numberから4月リリースの新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。昨年に単発で公開されていたシングルも収録です。
何年か前にも確か紹介しておりましたが、持っていた武器をひたすら強化し順当に成長していってるようで、楽曲から音作りから当時のちょいヒットソングと言われても信憑性あるレベルのそれっぽさに仕上げられた完璧にソツがない90’sオルタナポップロック。
さすがにちょっとマーケットイン的な観点で最適化されて過ぎている感があるのは残念ポイントですが、素材というかポテンシャルは確かだと思うので申し訳ないけど、ここからセールス的には失敗して暗くなったり捻くれたりして歳もとり、もう好き勝手にやり始めてからの方が寧ろ良い作品残しそうな気がしますね。
ELLiS·D – Drifting
ブライトンのソロアーティスト、エリス・ディクソンがニューシングルをリリース。この人、D前の表記がブレブレで中黒だったりハイフンだったりスペースだったり繋がってたりとわけわけめです。
さて今回の楽曲、ありがちな疾走ダーク・ポストパンクと思いきやもっとオーセンティックなアクモン以降世代のUKロックにクラウトも入った7分超えプログレッシヴ楽曲で、ストレートに勢いあっていいんだけど良くも悪くも一人で作ってる感が凄い。どうもドラマーでもあるみたいで、すごく納得な音作りですね。ちなみに途中で一回、完全に曲が終わります。
以前の楽曲はOSEESがたまにやる猪突猛進ガレージサイケだったり、もっとフリークアウトしたエキセントリック系アートパンクだったりと全体的には割かし面白い音楽性なんですが、グルーヴが必要なタイプの完全バンドサウンドなのにバンド感が希薄すぎてちょっと勿体ないよね。ぜひいつか本当のバンドに。
今週のLP/EPフルリリース
Frànçois & The Atlas Mountains – Âge Fleuve (LP)
一つ前のアルバムが中々に素晴らしく、特に先行曲などは当時の年末リストにも入選。そこからほぼ丸4年空けての今作は真冬に出されるとメチャクチャ寒そうなカバーアートですが、件のCoucou程に単体で強力なトラックはないものの、全体的な完成度はややアップしているように思います。
相変わらず一言で表すのは難しい雑多な要素を含んだ音楽性で、なんとなくほんのりマイルドな今風フレンチポップってところを中心として纏めてくる点は変わらずも、ネオアコ感すらあった前作と比較して若干エレクトロニックぎみのモダン寄りなプロダクションが増えたかな。とはいえ、そんなに圧のあるサウンドじゃないし、ちょっとサイケだったり瞑想的だったりにフォークも加えながら進行するという、ある意味で超マイルドになったアニコレ的な仕上がりで面白い。
それでも何だかんだ最大の武器はやはりボーカルと、良い意味で練り過ぎてないナチュラルで軽やかな鼻歌系のメロディ運び。このナイスな語り口とムードは真似できないオリジナリティがあるし、まさに洒脱。とまあ、終盤ちょっとダレますが悪くないです。でもやっぱ「もう一歩」感は依然としてあるんで、いつかグゥの音も出ない傑作を聴かせて欲しいかな。