GVVC Weekly – Week 331

Guerilla Toss – Psychosis Is Just a Number

ゲリラ・トスが単発のニューシングルをリリースです。
なんとプロデュースがStephen Malkmus(??!!)にミックスがJorge Elbrectという意味不明豪華な超・超・謎シングル。どこまでその影響によるものなのかは不明ながら、問答無用で過去最高打点のわかりやすくキャッチーなシングル向けトラックになっておりまして、はじけるポストパンク・ダンスポップと言えるサウンド。ベースがメッチャクチャいい音出してますね。
ノーウェイヴ感はもはやおまけ程度になっており、そんなフリーキーにぶっ飛んだ感じもなくもはや歌い方くらいで、印象が全然キワモノではない。コーラスで曲名をコーラス然とした連呼してますから…。もうね、Les Savvy Favくらいのもんよ。正直、最近のここ数作はビミョーな気がしてるので個人的にはこの方が好きだけど、君たちはそれでいいのかい。


HEALTH x CHELSEA WOLFE – MEAN

ヘルスとチェルシー・ウルフがおもしろ(冗談路線という意味ではない)コラボです。いやまあ相性悪くないであろうことは容易に想像つくけど個人的にはなんかその発想はなかった組み合わせ。
HEALTHのアカウントから出てるしトラック土台はヘルス側なんでしょうが、ノイズはかなり控えめに、お客さん迎えたマイルドな装いで随分とサービス曲な仕上がりです。
キツネおよびコレットのコンピに収録されることが名誉(もしもし、も可)でその周辺がクラブヒットを占拠していた頃のエレクトロポップデュオ的な雰囲気、にその後ウィッチハウスと呼ばれるもののテイストがどっぷり加味されたようなサウンド。つまりそれは現象の発生前にWitch Houseを先行していたCRYSTAL CASTLESとガン被りであった。
相当にメロディアスなのもあり、正直あまりインダストリアルという感じはしないですね。たまにはこういうのもやるといいよ。


Activity – Scissors

アクティヴィティが来月リリースする新作アルバムから二つ目となる先行曲をビデオ公開。
前回のシングルも紹介しましたが、今回のこちらは初期からちょくちょくやっている女性メンバーが単独でボーカルをとる楽曲で、また違った趣に。
内容は催眠的なビートでアブストラクトに展開していくちょっとサイケなオルタナ・アートロックでして、決してビートが速くはないものの何処かクラウトの雰囲気すら感じさせます。演奏的に派手な部分はありませんが、スモーキーに拡散していくような歪みのテクスチャーがとても色気のある音作りで、添え物程度なのに主役の貫禄がある妖しいボーカルも素晴らしく芸術点は満点、これぞ現代アートロックといった仕上がりです。
短尺ですがアルバム中盤に入ってたら存在感あるであろうトラックだなと思ったらまさにのM-6配置。わかってらっしゃる。


Racing Mount Pleasant – Racing Mount Pleasant

ミシガン州アナーバーの7ピースバンド、レイシング・マウント・プレザントがグループ名と同名の単発シングルをリリース。
先月にもシングルを発表しておりこの名義ではこれで世に出す2曲目なのですが、実は以前からKingfisherという名前で活動していたバンドでメンバーも方向性もほぼ同じ、バンドキャンプのアカウントも継続ということで単純に改名ですね。同名バンド多いでしょうし紛らわしいのもあるでしょう。
内容の方なのですが、エモとポストロックのフィーリングが強く存在するサックスの入った大所帯バンドって感じで、楽曲はアメフトから繊細さと空間系のウェットな響きを無くしたような方向性と言ったらいいでしょうか。以前の名義で出してるアルバムではもっとアーシーでフォーク路線だったりもするのですが今回はよりパワフルに強度を高めてきていて、BC,NR以降のUK勢のあの流行の型に対するUS側からの回答のようにも感じられます。もう少しシンプルだけど。
ともかく、ちょっとまだ全貌は見えませんが良さそうですね。今後注目。

今週のLP/EPフルリリース

Preoccupations – Ill at ease (LP)

音は今までで一番洗練されてる。Womenの頃から、どうしてもサウンドをある程度以上はシットもといローファイにしないと我慢ならない気質なんだろうなと思ってたけど、心変わりか遂にある一線を超えるレベルでクリアーに進化。ヴェトコンを省き厳密にこの名義に絞るならこれが4thになるのか。
最後のリード曲M-3を紹介した時に、M-1・M-2の先行トラックがポップ過ぎるだろうと言ったけど、まあテクスチャーが今回コレなもんで余計にそう聴こえてしまうという側面もある。これに近いレベルのメロディなら前も歌ってたかもね、誤魔化されてただけで。にしても今回後続の楽曲たちにも中々浮ついた瞬間が目立ち、ボーカルがちょっと渋めなだけのシューゲイズ風味オルタナポップみたいになっちゃってたりして、先入観なしで聴けば悪くないのかもしれないけど、自ら武器を捨てないでも…とは思う。ちょっと意外なレーベルに移籍したし、多少セールスを追わないといけない切実な事情もあるのかもしれませんが。
とりま昔から装飾部分のアレンジメントのアーティスティックさ・雰囲気づくりは本当に一流だから、もっとバキバキのクラウト、ミニマルを土台にキラリ甘さが光るくらいで硬派アートパンク路線ゴン攻めすればいいのにと思うけど、成長とかもあるだろうし色々難しいよね長いことやってると。
最終的な感想:やっぱちょっと音キレイ過ぎるかもな。これならこれで内容をもっとギスギスのドロ沼にして欲しい。歌い方が優しいよ、悪い意味で。ちなみに一番良いトラックはダントツでM-7で、イントロの布団叩きみたいなドラムの音がアルバム中の最高打点。この曲入ってなかったら紹介してません。