L.A.のバンド、ロケットが単発のニューシングルをビデオ公開。
2023年に自主でアルバムをリリースし、今年に入ってからTransgressiveとの契約をアナウンスしておりましたので年内か、遅くとも来年初頭にはアルバムが出るのかなと。
内容の方ですが自主の頃から基本的には変わっておらず、90’sフィール全開ののオルタナインディロック(Notグランジ)としか言いようのないサウンドで、Velocity Girlとかをもう少し骨太寄りにチューニングしたようなさじ加減です。今年のシングルからテクスチャーがきらびやかに、クリアになりましたがその点で特に良さを損なってはいないですしむしろプラス。
正直、小手先のところで特筆するような強烈な特徴ってのは無いのですが、ボーカルの子が完全にスター性あり。選ばれた人間だけが持つ「あの瞳」をしており、程よくダウナーな雰囲気も持っていてナイス佇まい。楽曲も結構ナチュラルにスケールが大きいタイプでいやらしくならないレベルにアンセミックとも言えるし、育ちそうな気配がかなりあります。ちょっと期待かな。
Florence Road – Figure It Out
アイルランド、ウィックロウのニューカマーバンド、フローレンス・ロードが来月リリース予定のミックステープから新たな先行シングルをスタジオライブのビデオ公開。
ミックステープとのことですが、そういう類の音楽性ではなく完全にバンドものですのでどういうつもりでどんな構成ゆえにその呼称にしているのか現時点では不明です。ミックスされてない普通のアルバムなんてことはないはず…。
未だ3曲しか世に出しておりませんで、今回の曲に関しては今までで一番純粋にUKロック寄りというか、グランジが流行ってたの時期ブリットポップって言ったらいいのか、何か知んないけど個人的に思い出したのは日本のWINOなんだけども、まあそんな感じ。肝の座り具合、歌唱、ルックス等のトータルで歌の子がかなりの逸材だし、楽曲もちょっとメインストリーム寄りな部分があるのでこれはブレイクするかもしれない。少し大味だけど胸に迫るメロディを持ってるね。少し前に出てたHeavyて曲もなかなか良いです。(紹介してないけどマークはしてた)
なおオール女子バンドでして、正直それらしいリズムのラインが全体的に柔らかめに丸くなってしまっている感は否めない。(それがプラスにはなっていない)でもまぁこれは身体的に絶対回避できない事だから仕方ないですわな。SavagesやWarpaintとかですら全然丸いですからね。
Sofia Kourtesis – Unidos (with Daphni)
ソフィア・クルテシスが2年ぶりとなるプロパー新作となる6トラックEPをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。引き続きNinja Tuneからです。
今回のリードシングルはなんとカリブーことDaphniを客演でフィーチャー。ベースとなる楽曲は本人のようですが、このキックの圧と全体のテクスチャー、アレンジメントにかなりダフニのカラーが出ており、最終的にグルーでまとめ上げてるのはおそらく彼のはずで、なんちゅうか単純にリミックス楽曲のような仕上がりになってます。全部これだと疲れるけど作品中1曲だけこの感じなのはスパイスとしては良いかもね。
ちょとでも、せっかくだからサービスとはいえ染まりすぎてる気もするかな、流石にBPM早すぎるし。でもなんかDaphniやCaribouでこういう名義形式でのコラボって珍しくてそこは新鮮。両名のリアル現場フッテージが切り貼りで入り乱れるとても楽しそうな映像も非常によろしい。
Joseph Shabason & Dawn Richard – Broken Hearted Sade
ジョセフ・シャバソンとドーン・リチャードによる単発のコラボ楽曲がリリース。共通のコラボレーターが居て、ツアーのバックバンドには参加してたりと、完全に周辺人脈と化して久しいですがついにこの二名だけでの連名トラックが出ました。
といってもコレ、純然たる新曲ではなく、6年前のEPに収録されたJoseph Shabasonのプロパー楽曲をそのまんまオケに、Dawn Richardのボーカルが乗ってて、それもSadeの楽曲のメロディのメドレーというか、いくつかの曲からの抜粋フレーズをほぼそのまんま歌ってるという、もはやマッシュアップといったらいいのか公式お遊びトラックのような扱いなのでしょうか。
まあ自然かどうかでいったら自然ですし、それっぽいんですが何故わざわざリリースしたんだろう…アートワークのライオンさんがカワイイですね。(これなかったら載せてない)
今週のLP/EPフルリリース
Triathalon – Funeral Music (LP)
もう10年以上はやっているはずで、出す度にざっと聴いたりはしてきてるけど何時もいまいちハマらず。今回は今までで相対的には一番好きかな。
ていうか一番最初の頃ってローファイのサーフロックみたいなテイストだった筈だけど随分変わったよね。元々あまり明確な芯のある音楽性じゃないんだろうから風見鶏なのは当たり前か、一応ずっと通底している要素としては生バンド感は希薄でかなり宅録っぽく、若干hiphop/beats的なビート、タイム感が骨組みになっていることが多い。
今回の特色としては、今まで全くなかったわけでは決してないが明確にちょっとダウナーな雰囲気を加味し、シングル曲では流行りの90’sオルタナロックをがっつり取り入れたってとこ。正直軽薄だけどこれが効いていて、アルバムの流れとかを明確化し作品として全体の強度をアップさせてます。
まぁ、これでもやっぱ明確にお気に入りってレベルにはならないし、何処かいけすかなさが残る。中途半端にサイケ入ってるのも納得いかないけど(ドリームもジャズもある)それは俺が確固たる方向性が無い奴が嫌いなだけかもな。しかし、いつにも増していかにも「メンタルやばい奴がやっていそうな音楽」って風情になってて芸術点的にはいいんじゃないかね。そもそもFuneral Musicですし。
Knifeplay – Live in Seattle (EP)
フィラデルフィアのナイフプレイ、ライブ盤EP。これ、Rideの前座で出た時にそのセットをRide側が黙って勝手にライン録音してたらしく、事後に送られてきた音源が晴れて正規リリースという面白経緯の作品。金とってたら押し売り過ぎるけどまあタダだろうな。
まずこのバンドおそらく過去に紹介したことはないが、スロウコアがベースにあるインディフォークって感じで楽曲も悪くなくそこそこ注目はしてたものの、いかんせん何時もあと一歩でやきもきしていた。今回これライブ録音だけど個人的には過去イチで好き。これ聴いてわかったのはスタジオ音源だとギターの圧が強過ぎるんだね。シューゲイズがたぶん重要な要素の一つなんだけど歪みが量感たっぷりで重く、それもちょっとひたすら鈍重なわけではなく鋭さのあるタイプの音作りでハッキリ言って好きじゃ無い。これがライブのライン録音なもんでそこんとこが事故的に軽くなってて、比較的ライトな音作りに聴こえるんで、印象がより純粋にスロウコアに寄ってるからイイんだろう。つまり曲そのものはかなりイケてるってこと。
ちなみにライブ盤とは言えM-1、M-2、M-4がまっさらな新曲らしく、その出来もなかなか素晴らしい。ただ、上記の経緯を踏まえるとレコーディング音源化した際にそのサウンドはビミョーになる可能性大なのが泣ける。