GVVC Weekly – Week 338

Blood Orange – The Field (feat. The Durutti Column, Tariq Al-Sabir, Caroline Polachek & Daniel Caesar)

ブラッド・オレンジが約3年ぶりのプロパーリリースとなる単発シングルをビデオ公開。
頻繁に名前を見かけるくらいには色々と仕事自体忙しくしていたような印象ですが、自身の新曲は久々となりました。こちらゲストがメチャクチャ豪華な事になってまして、まずギターがDurutti Columnというイミフ(でも最高に効いてる、最大の要素と言ってもいい位)な人選。女声は言及するまでもなくCaroline Polachekの存在感、ほか男声も客演2名と、本人はほぼほぼ歌ってないんじゃないですかね?
楽曲的にもちょっと新しさが感じられ、前述のドゥルッティ・コラムことヴィニ・ライリーのクリスタル・クリアーなアコギに先導される爽やかなオルタナR&B~UKガレージ風味って感じのラインは初期のジェシー・ウェア(というかピンポイントで110%)みたいな雰囲気。アブストラクトな導入から全編に渡って挿入されるストリングスのフレーズ、結局最後まで入ってこないキックなど、きらびやかで優雅ながらウェイトの軽い仕上がりでサウンドはハイファイと、実に洗練された音像です。ここ10年で彼のベストトラックじゃないですかね。


Kaitlyn Aurelia Smith – Stare Into Me

ケイトリン・アウレリア・スミスがNettwerkから8月にリリースする新作アルバムより新たな先行トラックをビデオ公開。
これでもう6つ目かな?半分の楽曲が公開済みとなりましたが、今回のコレが一番新機軸かと。正直、言われないと一聴しただけでは彼女だとは思わないようなエレクトロニックの要素がかなり影を潜めた内容で、ダブのニュアンスが強い、リゾートの風が吹くようなローファイぎみのラウンジ・ウィアードポップになってます。
サウンドの印象自体はユルめでボヤけた曖昧なものですが、使われた音数は多く、そのどれもが加工過剰ぎみで、いくつもの輪郭が重なり合った奇妙な音像になっており、その上で歌の旋律もしっかり主張がある明確な歌モノと、この散らかりぶりでバランス取ってるのは結構スゴいかもしれない。
今作LPは全体的にビジュアルやアートワークなんかもちょっと今まではと一線を画す雰囲気なので、なかなか面白そうですね。


M. Sage – Tender of Land

マシュー・セイジが前作に引き続きRVNGから9月にリリースする新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
LPでのクローザーに配置された今回のトラックは、近年作でのややニューエイジ風味というか、メロディを立て、リズムも明確に入り骨格が比較的ハッキリしたシンセアンビエント路線と、当初からのフィールドレコーディングにゆったり雄大でナチュラルなコラージュ風サウンドスケープが後者寄りでうまく同居したある種、集大成のようなサウンドで実に完成度が高い。また、これまでに無いほど後半にかけて勢いを増す展開をし、ポストロックとも言えるようなダイナミズムまで備えていて一皮剥けた感があります。
テクスチャーに関してはクリアに整えすぎず、程よくガサついてるこの質感が非常にポイントで、まさに前作で物足りなかった部分。1作でちゃんと修正してきてくれて嬉しいし、メロディ成分も薄めたのは本当に英断。ここんとこの動きを見るに正直、自身のPatient Soundから出してた頃の方が好きだったがこれなら良いかな。期待できそうです。


Kim Tee & koby – Lemonhead

今週は少ないのでちょっと番外編。これ、Clairoっすよ。楽曲とは何の関係もないのに何故かひたすらClairoだけが映ってる(しかもキャラ崩壊して乱れる)っていうビデオです。本人はあんまり自分のMVは数を出さない印象があるけど、こういうことはやるってのがまた面白い。何なんだよ!(褒めてる)