GVVC Weekly – Week 339

Blue Lake – Cut Paper (Single Edit)

2年前のアルバムが素晴らしかったコペンハーゲンのブルー・レイクが新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開です。
今年頭にEPも出しておりまして、引き続きTonal Unionからのリリースですがなんとお次はフルバンド編成での作品らしく、当然ながらかつてない程にサウンドが進化しています。まずこのトラックを聴く限りではもうアンビエントという枠では全くなくなっており、ソフトでジェントルなタッチのインスト・アメリカーナ楽曲で、本人の他にチェロやヴィオラ、弦バスにドラムという基本編成は洗練されたインディフォーク・チェンバーポップとも言えるような方向性。
すごく良さそうだけど、全編この調子だとしたらキメ細やか過ぎるせいでパンチが弱いというかインテンシティが欠けてる印象になるのが勿体ないですね。曲によりアンビエントな白玉シーケンス主体のパートも忍ばせてきて欲しいところですが、トータルでどうなっているのか楽しみ。


Kacy Hill – The Garden

昨年のアルバム「Bug」がなかなか素晴らしかったケイシー・ヒルが8月にEPをアナウンスし先行トラックを公開。3月からふた月おきに公開してきている単発のシングルも収録されるはずなので、厳密にはこれが三つ目のリード曲とも言えるでしょう。
内容の方ですが、とても丁寧に紡がれる歌唱が印象的でウェットなインディ・フォークになっており、最近多めのドリーム系アメリカーナのニュアンスがちょっとだけ入ってるところにストリングスまで加勢してくると、慎ましやかなニュアンスもありながら華やかさも同居したシンプルかつ美しい音像です。この辺の調整具合はインディ出自じゃないというか、かなり特殊なキャリアであることがプラスに作用してる感じ。
しかし、前作はもうちょっとドラムがドシンと鳴り、SWWバンド!って感じのサウンドだったけど、ここんとこ少し弾き語り寄りだね。曲がメチャクチャいいし、磨きがかかってるから全然いいけど、今後どうなっていくんでしょうかね。
ちなみに、同棲してた家の庭で家庭菜園とか果樹育てを楽しんでたんだけど別れて自分が出てったみたいな内容(The Garden)ですが、結局、結婚(明言はしてないが)を考えてた自分とその気がなかった相手、それに気づくのに6年もかかったぜ的な歌詞が火の玉ストレート過ぎて泣けます。しかも25〜30の6年…。尚これリアタイの実話に基づいた話で6年付き合ったてた彼(Jim-E Stack)が共同制作中にLordeに寝取られたっぽく、その告発までかましてて、彼女は今まさに渦中にいるんですよ。色々と大変だね…。

今週のLP/EPフルリリース

Jonny Nash – Once Was Ours Forever (LP)

なんか久々にちゃんと聴いたけど、今週は競合が少なすぎるって事を差し引いてもやっぱ結構イイ。Music From Memoryからリリースしてたこともあった気がするが、今作も含め基本的には自身のMelody As Truthから。
サウンド的に特に変化したところはなく、ほんのりバレアリック〜ニューエイジなギターが主役の穏やかなアンビエントで、淡い色彩、丸い波、柔らかなタッチのふんわり路線。特記事項としてはまず客演の日本人率が異常に高い。それぞれ1曲だけの参加だがゲストボーカルに馬替サトミ(Satomimagae)、チェロに幾何学模様の人、サックスに江ノ島のmaya ongakuの人と3名も邦人参加。後はこの手の音楽どこにでも現れる男ジョセフ・シャバソンもサックスで参加です。彼も異様に日本で人気あるし、余計にこの作品の日本フレンドリーに拍車がかかる。
ちなみに馬替さんが歌ってる曲だけダントツで辛気臭くて(褒めてる)素晴らしい。アンビエント弾き語りであることに変わりはないが、それでも本人の単独作ではやらないであろう微妙なニュアンスの違いで真新しさがあり、正直この感じの方が好きだから本体でもこれくらいの微妙な甘さを残したサウンドやって欲しいなぁ。
ジョニー・ナッシュに関しては昔からだが、やっぱLPぶっ通しで聴いてると少しダレる感じがあるのはちょっと構造が直線的で平面すぎるから。ビートレスのアンビエントでも曖昧ながらストップアンドゴーの妙ってあって、タイム感が無いところでもドローン部分の抜き差しとかで音場の中で空白の位置を動かしていってくれないと怠いかな。

以上、USインディペンデンス・デイの影響でリリース少なすぎ週でした。