GVVC Weekly – Week 105

Slow Pulp – At It Again (Preview Only)

来月発売スロウ・パルプのデビューアルバムから3つ目となる先行トラックのビデオです。
ベストなレーベルの一つWinspearから売り出し中で、最近メキメキ頭角を表してきてる。
出す曲、出す曲、全部チェックはしてきてたが、これが今までで一番いいんじゃないかな。
このファジーなギターの音は二重丸。全体的に素晴らしいミックスで、ダニエルの頃の
ヤックにドリーム成分を薄く+、女性ボーカルといった感じで凄く好みのサウンド。メロが
塩味なのもいいね。あんまドリームポップとかシューゲイズとか言わず、その辺は適度な
テイスト程度で、ガツっと鳴らした方がいいと思う。ボーカルの子が雰囲気あり格好いい。
バンドだから、どうしてもそこの影響はデカいんだよな。このビデオでも立ち姿輝いてる。


PÁULA, POVOA & JERGE – Primavera

TOPSの彼がやっているユニットは関係ありません。もしもしが送り出すパリのユニットで
バキバキ、ベコベコのニューウェーブ・ダンスポップなんですけど、なんか有機的で、軽く
アンニュイな開放感すらあるサウンドをしており、ちょっと不思議な感覚がする楽曲ですね。
これなんか面白いですよ、ボーカルはブラジル系とのことで、その辺も作用してるかもです。
もうちょっとアブストラクトな方向性の引き出しもあるなら聴いてみたい、今後に注目です。


Bathe Alone – Curbside

最近、単発でシングルをひたすらリリースしてるアトランタのベイズ・アローンからの新曲。
『床に寝転がって天井を見つめるような音楽』を志向している、全パート自作自演のSSW、
マルチインストゥルメンタリスト、かつバンドサウンドということで、ちょっと親近感です。
ドリーム系の楽曲が多かったような気がしますが今回は少し新機軸で若干ダーク・ゴシック
テイストを増してきたスピリチュアル・オルタナロックになってて終盤の展開もカッコイイ。


Nature TV – The Whole World Drifts Away

昨年末くらいのトラックも紹介したブライトンのネイチャー・ティーヴィーから新曲です。
オヤジ臭さのある、でもフォーマットがクラシックなロックやポップスじゃ無い、近年の
インディとも言えるようなアダルト・サウンドはHer’s出してたHeist or Hitってのが納得。
ペイヴメントがダッド・ロックになってしまったっていう記事が10年くらい前にあったが、
90’sではなく、late00’s以降、マイスペース以降下手したらサンクラbandcamp発生以降の
インディ・ドリームポップすらダッド・ロックになってしまうみたいな…、もっと言うと、
生演奏主体のバンド音楽そのものが即座におっさん臭いものになってしまうかもしれない。
既にその兆候あると思うけど、世の中どうなろうが、いかに自分を貫くかが重要なのでね。


The Staves – Trying

ロンドンのフォークトリオ、ストーヴズの新曲は広がりのあるシンセ白玉をバックにした
普段よりやや仰々しいナンバー。メロディもコクがあってクドいギリギリ、Haimみたいな
感じにも聴こえるコーラスワークですが、2分半で終わるのもあっていい感じにコンパクト。
この人達はいつもメロディがいい。英国トラッド・フォークのいぶし銀外し旋律じゃない、
わかりやすくベタにキャッチーに仕上げてくるところがアジア人にも聴きやすいですよね。


Helena Deland – Truth Nugget (Official Video)

来月にリリースとなるヘレナ・デランドのデビューアルバムからさらなる先行曲が出ました。
ここまで、それほどコレは!というリード楽曲が公開されていなくて個人的な期待値は正直
微妙なところですが、今回の緩めのクラウトビートでぬったりとジリジリ攻めるトラックは
自然とスッと入ってきたので、一番いいかな。ビデオというほどでもない映像ですが、この
木漏れ日と流れ落ちる噴水がサウンドとマッチしています。やけつくような魅力のある楽曲。


SOUL GLO – (Quietly) Do The Right Thing

フィリー・ハードコアパンクのソウル・グロー、Touché Amoréのボーカルのレーベルから
リリースするEPからオープナーのトラックが公開。こら格好良すぎるわ。展開、構成完璧。
グワッと押し寄せるリズムの波がある程度以上一瞬で解体できる聴き方する人ならわかる。
まあ正直、ハードコアパンクは門外漢だからそこまで深い考察はできないけど、この次元で
ヤバすぎる楽曲にたまに当たるとぶち上がりますね。若干ポストHCにも片足突っ込んでる、
テクニカルな部分があるから逆に聴きやすい。メロディックさは全くないし、モノクロHC
でしかないんだけど、変な話fall of troyとかすら彷彿とさせる部分ある。ボーカルも最高。


Gabriel Garzón-Montano – Bloom

ガブリエル・ガルソン・モンターノ、Jagjaguwarからの新作アルバムから3つ目のリード曲。
正直アルバムとかでも全部の曲は聴けないし、この前に出てた2曲の先行トラックはかなり
厳しいんだけど、これくらいアンニュイで甘めに仕上げてる楽曲ならしっくりくるんだよね。
悔しいけどこの色気は流石に男も惚れる男みたいな、そういう次元を超越してると思うの。
メインストリーム化した中南米系ショーン・ニコラス・サヴェイジ風な趣。セクシー過ぎる!


Bill Callahan – Tiny Desk (Home) Concert

ビル・キャラハンのTIny Desk Concert、なんと屋外バージョンです。デスクじゃねえよ。
このロケーション、スタイル、サウンド。エフェクターは直置きです!1曲目が特にいい。
正直アルバムは期待してたよりはイマイチだったのですが、これは生で見たら失神するね。

今週のLP/EPフルリリース

Mammal Hands – Captured Spirits (LP)

ベースレスのピアノトリオというか、ピアノ、ドラムスにサックスっていう編成で、おまけに
やってる音楽がかなり微妙な、わずかにネオクラシカルの香りもするポストロック・ジャズ、
クロスオーバーで、めちゃくちゃダサい練られてないフレーズもボンボン飛び出すんだけど
謎の端正さというか、説得力がある。多分本人らはすごい洗練されてるつもりでやってて、
いい感じの音楽性だとは思う。弾きすぎ吹きすぎな部分があるから、もう少しだけミニマル
方向に吹っ切れればもっと格好良くなると思うんだけど。ファイブコーナーズクインテット
とかあの周辺や、あとコンテンポラリー・ノイズ・クインテット(セクステット)とかに近い。
でもどう考えてもベースが居ない事を帳消しにできてないアンサンブルだから、惜しいよね。


Sam Prekop – Comma (LP)

5年経ってもこの路線継続するとは思わなかった。まずシンセになるのは100歩譲るとして
何でもいいから歌ってくれ!頼むよ。まあ、前作の猫ちゃんのやつよりかは自分でも聴ける
仕上がりにはなってるけど、この人に求めてるサウンドは、本体バンドと最初のソロ2作の
イメージがありすぎて、これじゃないってなっちゃうんだよな。爽やかで、淡くクリアーな
雰囲気は少し戻ってきてはいる。ただやっぱハナウタみたいな軽い歌唱とブラシでさらっと
叩いた流れるようなドラム、少しジャジーなソフトポップっつう十八番のスタイルを見せて。