GVVC Weekly – Week 112

Frànçois & The Atlas Mountains – Coucou (Official Video)

パリのSSW、フランソワ・アンド・ジ・アトラス・マウンテンの来年2月リリース予定新作
から最初の先行トラックビデオです、フランス語で歌われる、どこまでも角の取れた丸~い
ソフト・インディポップで、フレンチというにはクドさや悪趣味さの少ない、北欧系に近い
ような質感になってまして、あまりにも毒にも薬にもならないモノかもしれないですけど、
ちょっと寂しい感じと、アンニュイ全振りのナイーヴ・ナードポップは全面的に支持したい。
ビデオも意外とオモシロ路線で、アルバムのタイトルにもなってるモチーフ、青いバナナを
食ったが最後…でも焚き火のシーンではほとんど皆、肌が青じゃなくなってる適当さです。


Karen O & Willie Nelson – “Under Pressure” (Official Audio)

個人的にこの原曲って、クイーンとボウイ全ての単独の楽曲合わせた中でも圧倒的に一番の
名曲だと思うし、カバーも数多あってすげー沢山聴いてきたけれど、その中でも一位二位を
争うほどのスーパーな出来だと思う、コレは。美しく、スタンダードにオーセンティックに
仕上がってて、この二人の歌唱の組み合わせも素晴らしい。Xiu Xiuバージョンもいいけど、
全然違ってこの方向性でアプローチするとこんな感じになるのはホント成る程というかね、
考えつかなかった。しかし、本当に最初から最後まで全てが完璧な曲だよね。ため息出る。


Casper Clausen – Used To Think (Audio)

エフタークラングのボーカル、キャスパー・クラウセンがソロデビュー、最初の先行曲です。
ソニック・ブームがプロデュースってことで、シークエンシャルなクラウト・グルーヴ展開
する超尺曲で、ポストロック的だけどカチャカチャと割と可愛らしい感じの音像になってて
あまり他にはないような面白さがあります。なんだかんだ歌が入って来てから盛り上がるね。


Panda Bear – Atiba Song (Clean Version)

10年前、アニコレのMPP期にパンダ・ベアがスケボーのビデオに提供していた人気曲が遂に
本人の手からオフシャル・リリース、フリーDL公開ということで、およそパンダ・ベアの
ソロ楽曲風ではない、当時の最盛期アニマル・コレクティウ然とした懐かしのサウンドです。
こんなにただ美しいだけのドリーム・サイケなんて今じゃあ考えられないよね。客演してた
アトラス・サウンドのアルバムのテイストからさらに毒気を抜いたような音楽で、マイルド!


Jordana – I Guess This Is Life (Official Music Video)

ジョルダナの新作EPから2つ目の先行曲ビデオです。7月に出たEPとこちら収録EPセットで
タイトルを繋げたアルバムとしても同時にリリースするという、悪い意味で謎すぎるプラン、
Grand Juryいろいろ勘ぐってしまいあまりいい気持ちはしない。でもこの曲は中々にイイと
思うし、この人はガチャガチャした宅録っぽいトラックよりも極力生バンドに寄せたような
サウンドの方が絶対活きるから早く固定のバックアップメンバー作って実質バンド化すべき。
キャラクターはかなり立ってると思うから、あまり駄曲で安売りせずにゆっくり行ったら?


Sleaford Mods – Mork n Mindy Ft. Billy Nomates

イングランドのスリーフォード・モッズ、もう何枚目かわからない、15年くらいはやってる
はずだよねな来年1月リリースの新作アルバムから先行曲のビデオです。こんなユルめな感じ
だったかな?と、もっとポストパンク然としていたようなイメージだけど、ここまで軽いと
なんていうか、形容ができない。宅録ポップスがインチキなラップ風音楽になったような物
にも聴こえて、客演のボーカルが余計に効いてる部分もあると思うけど、フワフワシンセを
コード進行なしでほふく前進、イルです。これはいい意味でおっさんにしかできないと思う。


Perfume Genius – Nothing At All (Jimmy Kimmel Live)

今年の新作アルバムが凄く良かったパフューム・ジーニアスのアウトドア・ライブ映像です。
ロケーションがカッコよくて、トロ芋さんもやってたような、アメリカの砂漠すぎない砂漠
でのショットとなっています。本人達ボロボロなのがまた、音楽と合ってるし、これがTVで
流れてるって考えるとさ、深夜とはいえね…。2曲出てますが、こちらをチョイスしました。

今週のLP/EPフルリリース

The Goalie’s Anxiety at the Penalty Kick – WAYS OF HEARING (LP)

全体的にはジャケットのイメージ通りの音楽で、飾らないUSインディとかエモとかオルタナ
の渾然一体となったやつ。本人ら的にbandcampタグはスロウコアで、文脈的には枯れ系の
フィリーEMOベースのインディロックということで、バンド名からしても言及不可避なのは
The World is a Beautiful Place & I am No Longer Afraid to Dieですよね。多分その影響下
にあると思うけど、暗いというかカラっとしていても内省的。M-8の最後1分が美しすぎる。


Loaver – Ferb (LP)

Kluster Bのボーカルのソロ作です。スティーヴ・ブシュミズ・ドリーミー・アイズ出してる
スウェーデンのラマ・ラマからで、このレーベルはカラーが明確でいい。ギタポ路線かなと
思わせといてプログレッシヴなのと、フリー入った北欧ジャズっぽさがどこかに入っていて
甘すぎない、ビターチョコレートって感じですね。クラスターBのサウンドから想像つかない
路線ではないですが、サウンドとしては意外とスタンダードなSSWスタイル。でもなんか、
妙な密室感というか、情緒がイカれた薄らヤバさみたいな雰囲気が充満していて芸術点高し。
ある意味スロウコアで不協和音が相当辛気臭いんですけど、ドライなのにウォームって矛盾。