GVVC Weekly – Week 129

Quivers – “Gutters of Love” (Official Video)

メルボルンのクウィヴァーズが6月にリリースする新作LPより最初の先行曲を公開しました。
多幸感のあるコーラスが入ったスケールの大きいインディロックサウンドで、最近で言うと
Pillow Queens昨年作のリードトラックあたりの男声版といったような趣ですかね。エレピ
オルガンサウンドも入ってきたりと、アレンジもバンドの佇まいも割とオーセンティックで
非常に好感が持てます。USは安心と信頼のBa Da Bingからのリリースということもプラス。


Arooj Aftab – Mohabbat

ブルックリンで活動するパキスタン系のSSW、コンポーザーのアルージ・アフタブ新作から
最初の先行トラック。この曲はウルドゥー語?なんだと思うけど、スタンダードな英語圏
女性シンガーソングライターの系譜とミドルイースト・オリエンタルな風情がミックスされ
幽玄サウンドがとても芸術点の高い仕上がり。この手って珍しくはないというか、割とある
組み合わせだが往々にしてクドめだったりキワモノ臭しちゃってしまいがちな所、うまく
綺麗に仕上げられてます。完全にGrouper的なアンビエント作や、もっと西アジアエスノが
全開のトラックだったりと過去作は割と振り幅もあり、LP全体でどうなってるか気になる。


Japanese Breakfast: Be Sweet | The Tonight Show Starring Jimmy Fallon

ジャパニーズ・ブレックファストが6月にリリースの新作アルバム収録曲でジミーファロンに
スタジオライブ出演です。こちら、シンセ・コーラスのバックバンドがDirty Projectorsに
参加で知名度のアップしたGemma、Ava LunaのフェリシアとEskimeauxから短期間の内
二回も改名をしたGabby’s Worldのガブリエルで構成されており豪華だね。サウンド的には
1stの感じの方が声に合ってると思うんだけどチャキっとダンサブルになっちゃってますな。
ちなみに同じアジア系にしろ日系全く入ってないのにジャパニーズ冠してるのが紛らわしい
っていうかミスリードな感じするが、組み合わせが面白かったからと言われても若干モヤる。
アフリカンでガーナ系なのにもしナイジェリアン・ナンチャラってプロジェクト名で活動を
してたら、全然違うリージョンの人達は当然ナイジェリア系なんだと思うよね。思わない?
これがJapanese Houseとかなら見るからにアジア系じゃないから、関係ないんだけどさ。


The Go! Team – World Remember Me Now (Official Video)

ザ・ゴー・チームが新作を告知し最初の先行曲を公開。3年くらい前の前作も良かったよね。
この人たちはなんか初期より最近の方が個人的に好みでそれほど音楽性が変化してるとは
思わないけど、当初のハチャメチャな感じが消えていい具合に落ち着いてきたというかね、
キッチュなサブカル、アートスクール学生感が無くなってきて素晴らしい。今回も程々に
肩の力が抜けたインディ・ポストパンクポップで、ドラムの音がドタバタしてうるせえのが
結構シグネチャーになってるというか、ポストパンクっぽさを担っている部分なんだよね。


SPIRIT OF THE BEEHIVE – I SUCK THE DEVIL’S COCK [Official Music Video]

スピリット・オブ・ザ・ビーハイヴが来月リリースする新作LPより酷い曲名の先行トラック。
何回も完全ブレイクするエクスペリメンタルサイケ万華鏡プログレッシヴ楽曲になっており
大変疲れる曲展開。今までもその傾向はありましたが今回特に頭のネジ外れぶっ飛び方面に
振り切れているみたいで、個人的には微妙なのですがやはり随所に色気があって輝く瞬間が
訪れるから割と聴ける。もう少し1曲中にシンプルな形で落とし込んで欲しい所ではあるね。


Pauli The PSM – I Got The Beat

BBCヤング・ドラマー・オブ・ジ・イヤーも受賞した事があるロンドンのポーリ・ザ・PSM
正直これは若干ビデオありきで家で音だけ聴いてで楽しめるかっつうと微妙なところですが
カッコいい。最後の1分までは完全に生ドラム・パーカッションとラップのみなんだけども
ツインの絡み具合が絶妙で、ブレイクのとこのナチュラルリバーブも構成の中で効いてます。
本人の声とカサカサ鳴ってる打楽器の高域成分の組み合わせが気持ち良すぎるし、シンセIN
後もそこまでガラ悪くなくスタイッシュに抑えているところがまた素晴らしい。リズム遊び。


Lou Barlow – hero’s death (Fontaines D.C. cover)

ダイナソーJrのルー・バーロウがなんとフォンテインズD.C.の昨年作LPタイトルトラックを
アコースティックカバー。これはなんか、原曲との対比ってとこでも面白さがあるし、何せ
普通に出来がイイんですよね。特にカバーと認識せず流して聴いてて引っかかってしまった。

こちらオリジナル。

日本のリリース

tiger bae – Where is the night flame (Official Music Video)

元HOTEL MEXICOメンバー2人による新プロジェクトがお披露目となりデビュー曲を公開。
別途女性ボーカルを据えており、ややダウンテンポ気味ながらも質感はバキバキのダンス系
シンセウェイヴのトラックになっていまして、スクエアなイメージはホテルメキシコの流れ
からしても自然で、特に意外性はないサウンドです。歌の方は割と添え物程度のエレメント
というか、単純にオケの一部として機能している感じで、エディット感の強いクラブ系だね。

今週のLP/EPフルリリース

Lana Del Rey – Chemicals Over the Country Club (LP)

久々にかなりいいね。一つ前の2019年作が評価されてるが個人的には1stが好きでそれ以降
グレート・ギャツビーの曲はすごく好きなんだけどプロパーのLPはイマイチに感じていた。
これ1曲目のWhite Dressが一番の名曲で歌詞もエモいです。途中から正直キャラ作りすぎ
だと思うし、色々とおよそ手放しで支持できる人物ではないがこのめんどくさい女感全開な
詞世界と自意識、アメリカ的なというかハリウッドセレブ文化に対する捻れまくった感情が
強烈にある意味キャッチーだし悪趣味でもあるけど、まあ紙一重な物だと思いますからね。
この人に関してばっかりはあまり音楽性を語ってもしょうがない、キャラと歌詞とが全てな
とこあるけど、サッドコアっていうのはやめた方がいいってか、誤解を招くだろ。さしずめ
アレンジや見せ方が大仰な劇場型耽美系SSWの超・自意識過剰版感傷自己憐憫ポップて所。


dad sports – I AM JUST A BOY LEAVE ME ALONE !!! (EP)

すごくいい。初々しい感じの宅録手作りインディギターポップの範疇のサウンドだけども、
何といっても歌、ギターともにメロディというかね、フレージングが表情豊かで華がある。
ここまでキラリと光れば音楽性的にはなんの変哲もなくても大丈夫。ボーカルも割といいし
あれだ、ファウンテインズ・オブ・ウェインとかの甘さというか、バブルガムポップまでは
行かないけどそういうキャッチーな旋律と若干のエモ味。ただここからこれ以上そっち方面
寄ってポップになり過ぎるとキツくて、今が限界点まで振ってるから芸術点を磨くべしです。


Alice Phoebe Lou – Glow (LP)

色々な意味でかなり軽めな音楽って印象だったし、今回の先行トラックもM-7の感じだった
もんで、意外と言ったら失礼かもしれないが深みというか奥行きのある音楽性してて面白い。
オーセンティックなようでいてちょっと人を食ったような所があるというかね、ビザールな
アレンジメントだったり遊びサウンドが入ってるんだけど基本クラシックでコンサバなのが
落差激しくて、ナチュラルに狂って聴こえる。ボーカルがこれまた結構薄味というかかなり
ライト目な質感でエアリーだからか、一癖あるけど全体的にはペールトーンの定番女性SSW
インディ・フォーク作品みたいな趣っていうか、実際そうではあるんだけど絶対に裏がある。


Becca Mancari – Juniata (EP)

前作LPの楽曲アコースティックバージョン3+新曲1のEPです。元々、悪くないなー位の認識
してたけど今回刺さった。確かもっとビート感のあるちょいキレイ目のオルタナロックSSW
って感じでパリっとした音像だったと思うが一体どした、そんなつもりはないかもだけど、
今回響きが完全に流麗音響フォークになっててもうシルキーで優雅だわ美しいわで感涙です。
当然のことだけど見せ方で楽曲の元々の素材って全く違って昇華することを改めて痛感した。
M-2が新曲だけどこの路線で1枚アルバム作った方がいい。本人もこっちのが魅力的に映る。

小話
ジャスティスがジャスティンビーバーにロゴをパクんなと差し止め訴え。どうかね、微妙!

RhyeのMiloshが元妻から告発される…からの全面的な否定で事態は完全に泥沼化です。
インスタ投稿でかなり詳細に主張してましたがミロシュも割と詳細に反論って感じです。
でも内容的には年の差15歳以上で、そもそも前妻が未成年の時にファンとしてDMを送った
ことから始まり、即番号交換、エロビデオチャットをする仲になり早々に会うことを求め
始める…、とまあ仮にDVはなかったにしても、そのバックグラウンドからして相当アレな
モンではあります。優越的な地位を利用したmanipulativeな婚姻関係だったってとこかなぁ。