GVVC Weekly – Week 152

MUNYA – Cocoa Beach (Official Video)

ムニャちゃんがついにデビューアルバムをアナウンス!11月、もちろんLuminelleからです。
ここ1年くらいの間に直近で単発リリースされていた楽曲は全て収録されており、今回新たに
先行公開されたのがこちら。今までの楽曲で最もインディダンス・切なディスコ風の楽曲で、
バリっとバウンシーなハウスビートに得意技であるアンニュイシンセのフレンチ・オシャレな
進行が挿入されるムニャ印です。正直もっとへっぽこなままで良いのですが、これは明確に
デビューアルバムのシングルカットという事でよそ行きのラジオヒット意識なのがわかる上に
実際、特色はいい感じに出せているのでオーケーだと思いますまる。今回の楽曲は英語詞!
ほんの数組だけ存在するGVVC特マル一推し枠アーティストの一人ですので皆で応援しよう!


Natalie Jane Hill – Orb Weaver (Official Music Video)

10月にリリースされるテキサスのSSW、ナタリー・ジェーン・ヒルの新作2ndアルバムから
最初の先行曲ビデオです。音楽性は純然たるフォークに近いのですが、ペダルスティールが
効果的に挿入され、爪弾きのタッチミスにも温かいテープコンプ感があって実にアナログな
音像で、楽譜上のこと以上にここで鳴らされているサウンドそのものがもの凄く音楽的だし
深みがあるのです。やはりクリックなしのこういう流れる様なタイム感ってのは気持ちイイ。


Efterklang –Dragonfly (Official Video)

10月にリリースされるエフタークラングの新作から2つ目の先行トラックです。今回もまた
ある意味新機軸というかシンプルな北欧ハウスポップのようなサウンドは、あのServiceや
一時のCASCINEがかなり志向していた様な白く淡くジェントルでどこかコンサバティブな
ドリーム・ダンス系のトラックでYumi Zouma的な路線をほんの僅かにオトナにした感じ。
結構ギリギリのところでチャラくならない絶妙なさじ加減で抑えられており流石のバランス。


Marie Davidson & L’Œil Nu – ‘Persona’ (Official Video)

モントリオールのマリー・デヴィッドソン・アンド・ロイユ・ヌーがニンジャチューンから
シングルをリリース。もっとニューウェーブ系の楽曲をやっていたイメージですけど今回は
これ中々面白いサウンドで、ラウンジー・グランジ・シューゲイズみたいな音楽性に豹変。
まあステレオラブによる新訳ラヴレスって感じにも聴こえまして、歌唱がフランス語なのも
影響してるとはいえなんか雰囲気が異様で、コクトーツインズ路線の煌めきも強く入ってる
中、この歪みと、やけにコシのある重いグラウンドビートの組み合わせがどちらが従という
こともなく自然と調和した、ありそうでないサウンドスケープ。要素自体の共存はそこまで
珍しくないのかもしれないけどこのバランスで成立したのはあまりないでしょう。面白い。


Boy Scouts – “Didn’t I”

オークランドのテイラー・ヴィックによるSSWソロ・バンド、ボーイ・スカウツが10月に
リリースする新作アルバムよりこれで2つ目となる先行曲のビデオです。レイドバックした
オルタナカントリー・フォークをベースに少しクラシックなオーセンティックポップの趣を
感じさせる温かい楽曲ですが、映像がすごく良くて映画のような素敵なカットが連発です。
牧歌的でのどかな部分とちょっと思索的な部分が共存した曖昧さが、ぼよぼよのトレモロと
溶け合い、雰囲気を醸成しています。そういえば髪伸ばしたんだね。長い方がいいと思う。


Gustaf – Best Behavior (Official Video)

ブルックリンのグスタフがロイヤル・マウンテンからリリース予定のデビューアルバムより
2つ目の先行曲ビデオです。ラリったトーキングヘッズ風な典型的NYポストパンクの系譜で
音楽性自体目新しさは無いのですが、人を喰った歌詞とフリーキーな歌唱が実にシンプルに
キマっており順当に脱臼しながらもある種、爽快感のある仕上がり。凄くいいボーカルだね。

今週のLP/EPフルリリース

Indigo De Souza – Any Shape You Take (LP)

いや、かなり良い。ちょっとここんとこの扱いがハイプ過ぎて警戒していたし、先行を全部
聴いてきた時点ではそこまで惹かれなかったんだけど、LPトータルでは想像を超えてきた。
正直、名前が某ゲスの別バンドのせいでインディゴ・ラ・…って言いそうになるんですけど
それは置いといて、インディ・オルタナポップっていう感じの範疇の中ですごく間口の広い
サウンド、かつ陰陽剛柔も多彩で最終的なアウトプットがすごくポップス然としてるんです。
それはメインストリーム楽曲の雑多かつ軽薄な装いとも言え、同時にマス商品として強度が
あるとも言える微妙なとこだけど、オルタナティヴの翳りが強く充満したムードとそれほど
圧が強くない、ある種の甘さを兼ね備えたボーカルのバランスが結構芸術点を押し上げてる。
楽曲構成や楽器隊のアレンジも方向性は割と大味なんだけどサウンド自体どぎつくないから
アリ側のバランスを保ててるんですよね。これは売れそうというかこの方向性を洗練させて
いったらメジャーある気がする。しかし、サドルクリークって本当素晴らしいレーベルね…。


Madi Diaz – History Of A Feeling (LP)

7~8年のブランクで送り出された新作。音楽に説得力というか、深みが劇的に増してますね。
オルタナ系のSSWフォークってところではあるけど、かなり『私の歌を聴け』なミックスで
言霊の圧がもの凄いんで意識してなくても歌詞が飛び込んで来るからBGMには向かないな。
出だし1曲目の1音目がいいからそういう作品はちょっと好印象になる。ギターとかは中々に
歪んでたりするんだけど、ドラムレスの曲が半分以上でがっつり刻みはほぼ入れて来ないし
基本は感傷的だしで、Laura Stevensonとかと近い印象を受ける。聴いてるとザ・失恋した
女って感じだけどこれさ…ちょっとむき出しすぎというかもう軽く痛くて心配になるレベル。