GVVC Weekly – Week 155


Marissa Nadler – If I Could Breathe Underwater (Official Music Video)

マリッサ・ナドラーの新作アルバムから、これで二つ目の先行トラックがビデオで公開です。
今回はこれぞ彼女といったお得意のコード進行と旋律が炸裂した名刺代わりたり得る曲で、
なおかつアレンジメントがアコースティックではなく彼女の作品の中では豪華路線というか
サイケデリックでドリームな装飾が強く施された、いわゆる“映(ば)える”サウンドのため
下手すりゃスロウダイヴ系をダウナーにしたシューゲイズの一種にもカウントできる音楽に。

Magdalena Bay – You Lose! (Official Video)

マグダレナ・ベイ、10月のフルレングス・デビュー作から三つ目の先行曲がビデオで公開。
今回はシグネチャーのミュータント・シュガー宅録ポップにいかにもアメリカンなアバズレ
ティーネイジ・ポップロックをミックスしたスタイル。メロディが劇的にキャッチーだし、
以前は少しとっ散らかっていた部分が整理されポップスとしての強度もアップして、何より
ギリギリだけどもキャラクターに合った音楽性を上手くドライヴしているのが素晴らしい。
ただね、最後の方で思いっきりAcoustasonicのジャズマスとかいう金満アイテムが映るの
頂けない。折角アメリカのキッチュなチープ路線バブルガムテイストでビデオ作ったのにさ、
あんな高級な楽器使ってるの見せたら興ざめというか台無しだろがよ。セレブのおふざけ…。

Makthaverskan – “This Time” (Official Audio)

マクサヴァースカンの新作アルバムがアナウンスされ、最初のリードトラックがこちらです。
コンプで張り付いた、一切の淀みなくド・ストレートなハンマー直線ビートが猛り狂う中で
異様に深くリバーブを掛けためんどくさ系のボーカルが突き抜け、場違いな程キラキラした
ネオアコ・ドリーム系のギターが元気に添えられる。これは、さしずめ天国に行った大味な
Beach Fossilsといったようなサウンド。アルバムとかでは少しポストパンク・ハードコア
っぽい楽曲もあったりして、その辺も面白いんだけどこのキャッチーではあるんだが微妙に
ダサい調整というか…その辺はスウェーデン勢によく見る特色だよね、良し悪しなんですが。

Grouper – Ode to the blue

グルーパーの原点回帰な新作アルバムから二つ目の先行トラックです。前回の楽曲より更に
幽玄フォークに振り切った、この世とあの世の狭間で揺らぐ寂寞の極北のようなサウンド。
アンビエントすらも取り払った音楽性はもはやギター弾き語りでしかないのですが、これで
ここまで深みを出し、歌ってるのに音響でありながら聴かせられるという彼女の真骨頂です。

Barrie – Dig (Official Video)

バリィさんのまる2年以上ぶりとなるプロパー新曲は単発シングルとしてビデオで公開です。
これは…正直どうなんだろうなー、全てが変わってるし、良さが消えてるよね。トラックは
かなり入念に手の込んだ感じで、繊細な打楽器群とオリエンタル弦楽器のレイヤーがうまく
元来のイメージにあったアースカラーの雰囲気と調和していて悪くない音像。でもちょっと
歌唱が幾ら何でも斜め上過ぎる、どちらかというと寧ろウィスパー寄りの発声だったのに、
野太く重ねられたコーラスパートがほんと合ってなくてすべてが台無しに。サウンドもこれ
単体では悪くないが、もともとちょっとシティ入ったブルックリンの洒脱なバンドって趣が
強く、その上で鮮やか過ぎないアーシーな質感がストロングポイントになっていたのになぁ。
元々この人のソロバンドという体であったのは認識してるが、それでも前作はジャケからも
メンバー集合、ライブもバンドでやってたのに今回は音もビジュアルも完っ全にソロの風情。
環境が色々変わったのは想像に難くないが…いやちょっとこれは悲しい、期待してただけに。

Snarls – “Fixed Gear” (Official Music Video)

スナールズが昨年のデビューLP以来となるEPをアナウンスし、オープナーの先行トラック。
Walk in the Woods”という青春の輝き大名曲で期待したものの、アルバムはハッキリ言って
イマイチだった。めちゃ若いからどんどん変わる時期で、そこから少し幅を広げての今回は
依然カレッジ・インディロックではあるものの落ち着いて小慣れてきたビター・スウィート。
ここんとこ髪がブルーで定着してしまったクローは本当に良いボーカルかつ本人もスター性
抜群に兼ね備えた逸材なので厳密にはバンドというよりこの子の今後を期待してる部分も。
クリス・ウォラ(DCFC)の完全プロデュースということでなんか納得だし、方向性として
凄いわかるよね。まー本人らの志向にもよるが、ちょっとレーベル変えた方がいいと思う。

今週のLP/EPフルリリース

YVETTE – How the Garden Grows (LP)

これは格好いい。インダストリアル・ポストパンク・エレクトロクラッシュ・ノーウェイヴ
ってな感じだった前作より凶暴性が減退して、より知的になってるからか好みに近づいたね。
構成要素としてそれほど大きく変わってはいないんだけどもメンバー抜けソロ化した影響か、
削ぎ落とされて洗練されたと思う。確かにアヴァンやエクスペリメンタルな側面はあるけど
しつこくないし、拷問的な押し付けがましさがなくどんどん軽く過ぎ去って行く風景なのと
リズムが基本ある程度保たれていてブレイクしてないからダレないしちゃんとフックがある。
ここまでコード感が希薄な音楽なのに最終的なアウトプットはなんかコンパクトに聴き易い
というか、ポップな佇まいなんだよな。インディロックとすら呼べると思うし、バランスが
本当にすごい。偶然の産物な感じもするが、真のハイブリッドを見たよ。年間ベスト級です。
ただ、intermissionがアルバムの一番最後に配置されてるってのが本当に意味がわからない。