GVVC Weekly – Week 159


Mr Twin Sister – Ballarino

ツイン・シスターがニューアルバムをアナウンス。今年公開の3曲は全て収録され、これで
実質的には4曲目となる先行曲をリードシングルとして公開です。ウチでたまに使っている
レディオフレンドリーな『よそ行き』楽曲という表現、そのものスバリな扱いだと思われ、
彼女らのここ10年近くの間でリリースされた楽曲のうち最もポップかつわかりやすく響く
アンドレアの魅力を最大限に発揮したインディダンス・R&Bのトラックで、切ないメロディ
超特大盛りのサービス・ソングになってます。LP中でもここまでやってるのはこの曲だけ
だと思う、バランス的に。でもDominoから都落ち以降ではこれが間違いなく一番の出来ね。
これ中庸なボーカリストが歌ってたら一気にアウトになりそうなギリギリのサウンドだが、
素晴らしすぎる歌唱によりインスタントな即効性と深みを見事両立させる事に成功してます。

Black Country, New Road – ‘Chaos Space Marine’ (Official Audio)

ブラックカントリー・ニューロードのが来年2月の新作アルバムをアナウンスし先行曲です。
いや、面白い事になったね。これもはや一時期のディセンバリスツだし、流石にレーベルも
ちょっと困惑してんじゃねえかな。これ最初のシングルに切ってくるのなかなか勇気あるし
以前のサウンドと比べてどうなのってところではあるが完全に予想外という程でもない感じ。
ポストパンクにポストハードコアっていう根幹の部分はやはり随所のキメというか楽器隊の
アタックとタイム感にしっかり残ってるし、この演奏でこういうシアトリカル・ポップ的な
大所帯バンドっぽさは面白い。でもこれでいいのかNinja Tune?他の曲どうなってんだろ。

Casper Skulls – The Mouth

来月リリースされるキャスパー・スカルズの新作アルバムから三つ目の先行曲ビデオが公開。
これが好きかな。動静のダイナミクスと息遣いが完璧に共有されたいい演奏をするバンドで
オルタナロックな翳りとサイケ風味が程よくブレンドされたインディフォークアンサンブル。
それもいぶし銀的な雰囲気に行きすぎず結構元気というか音色に煌びやかさがあるんですよ。
最後アウトロの3~40秒の展開ベタなやつだけどコレあるとないでちょっと印象違ってくる、
上手い事まとめましたね。カラっとしてなく冷やっとしたムードがあるところもザCAN勢。

Young Prisms – Yourside (Official Audio)

なんと、あのヤング・プリズムズが復帰し10年ぶりとなるプロパー新曲が公開されました。
今回Fire Talkからのリリースになっているようですが、アルバム等の情報はまだありません。
相変わらずくぐもった質感のローファイ・シューゲイズサウンドに表層的な変化はないけど、
楽曲的には少しドタバタしたアレンジと猪突猛進的な雰囲気があった分が落ち着いたかなと
いう印象で、結果的にスウィートになってます。でもこの音作りなので過度にウェットには
ならず、適度なガサつきと軽さがあってまさにインディという音楽性で安心するんですよね。

THE BOO RADLEYS “I’VE HAD ENOUGH I’M OUT” (OFFICIAL LYRIC VIDEO)

プロパーでは23年ぶりとなる新曲で驚異のカムバックを果たしたブー・ラドリーズは続いて
新作アルバムをアナウンスし次なる新曲も先行公開。ハッキリとしたアンセミックコーラス、
申し訳程度のストリングスと、ブリットポップのマナーを忘れないサービス精神溢れる楽曲
かつ、それほどオッサン臭い風情になっておらず中々にフレッシュというか普通に聴けます。
核のギタリストが抜けちゃってるみたいだけど、自主でのリリースっていうのがいいですね。

Makthaverskan – “Closer” (Official Audio)

マクサヴァースカン新作アルバムから2つ目の先行曲が出ました。前回の曲も紹介しましたが
今回はライト寄りなドリーム・ギターポップ…なのにこの程度のテンポ感でも物凄く性急で
刺々しいドラムが相変わらず尖ってるポストパンク魂を見せつけ無駄にヒリヒリしているし、
毎度毎度のことながらこのサウンドでもはや特に得していると思えない、深すぎるリバーブ。
声がちょっと似てるってのもあり、この曲はJapanese Breakfastの1stみたいな感じだね。

Band of Horses – Crutch [Official Lyric Video]

バンド・オブ・ホーセズが約5年ぶりのニューアルバムをアナウンスし、先行曲を公開です。
良くも悪くも100%平常運行、ド安定のサウンドですが個人的に今回は特に彼らの持ち味が
発揮されてると感じる楽曲で、何の要素も足さない引かない純然たるインディロックとしか
言いようが無いあっさり塩味バックにこの妙に甲高い声のメロディが高く突き抜ける清涼感。
楽器隊がいつも本当慎ましいなというか聴いてて本当にこのアレンジでいいの?って思うが
なんかそこすらもう、軽く貫禄出てきてる感じがするこの道15年以上のスーパーベテラン。

今週のLP/EPフルリリース

Jordana & TV Girl – Summer’s Over (LP)

前情報や先行はなかったしデジタルオンリーってことでサプライズリリースの類なのかなと。
この組み合わせはもうそれだけで、両方どんな音楽か印象を持ってる人間は皆聴くと思うし
名前勝ちというか出落ちというか…蓋を開けるとその期待通りの音楽。基本はTV Girlの謹製
ヘロヘロ脱力サンプリング・ループトラックに、ジョルダナさんボイスがふわふわ漂ってる
っていうただそれだけの作りだけど、両方の良さが一切スポイルされずに完全融合してます。
若干陰のあるこのボーカルが、とにかく気楽なローファイリゾート・ベッドルームポップに
妙な湿り気を付与し、これがまやかしの楽園であることを強く示唆する。リリースや記事は
一切読んでないが、歌メロもTV Girlっぽい部分多いなと感じるね。一応彼らの方も歌うし。
しかし、マグダレナ・ベイもTV Girlも連れて来れるジョルダナさん一体何者なんだよ本当。


Astral Brain – The Bewildered Mind (LP)

まぁ、ステレオラブ系っちゃそれまでだけど、なんだか特に聴き覚えあるサウンドだな?と
思ってリリース見たらLe Futur Pompisteの人だったんで合点が行きすぎて軽くカタルシス。
まさに、フトゥール・ポンピストの発展系って感じでクラウト抜いてドリームとネオアコを
激盛りしたStereoLabという万華鏡サイケポップを展開。北欧の風も入っており透き通った
音色で、文化系の粘着質な感じを中和しているところも良いデスね。日本受けマルの音楽。
10年以上も音沙汰なかった人達のナウ(悪くない)にこう、不意に遭遇すると嬉しくなる。


Relaxer – Concealer (LP)

ついにこうなってしまったか…彼はいつまでも自分の中で『Black Eyesの声がカン高い奴』
な訳で、Mi Ami、Sex Worker、Italとその後もまあまあ聴いてきたけどその現在地点です。
題「スピッツのロビンソンなのかロビンソンのスピッツなのかわからない問題」発生してる。
最初のめっちゃアジア訛りのゲスト・モノローグでちょっと心配したが、聴き進めるにつれ
アイタル期の狂気のミュータント・ダンスを残しつつかなりコンテンポラリーに洗練されて
サウンドアート・ミュージックコンクレート的になっているけどやはり随所にロック上がり
気質のアレンジが目立つし、ちゃんとダレないような構成になってるのが素晴らしいよね。
この人の音楽はどの時期のも(Sex Workerはちょい微妙)一定以上スタイリッシュだし、
危ない男の鋭い色気もあるのにちゃんとアーティスティックっていうズルさ。おまけに本人
見た目もカッコいいのよね…。今回ジャケットもナイスと思ったらBlack Diceの奴みたい。
これこの先一体どうなるんかな、いっそバンドに戻らないだろうか?良いに決まってるし。

これが18年経ったらこうなんねんなあ…。このアルバム教養なんで知らん人絶対聴いてな。