アイルランドのジャスト・マスタードが2ndアルバムをアナウンスし、先行曲ビデオを公開。
大きく変わってはいませんが、ややスッキリした音像になり、鈍い金属音のような重厚さが
低減されています。ダークなメタリック・ポストハードコアと不釣り合いな程甘いボーカル、
躍動感のあるミニマリズムの組み合わせがクールで、Sian Alice Group辺りのサウンドを
もう少しアグレッシヴにメタルコア化したようなサウンド。ますます良くなってて期待です。
Enumclaw – 2002 (Official Music Video)
イーナムクローが昨年のデビューEP以来のプロパー新曲となるシングルをビデオで公開です。
深く歪んでるのに角が取れていて悪い意味で丸く芯のないディストーションが異様な雰囲気、
いつものことですがわざとなのか不明にしろ、オアシスがグランジ化したかのような楽曲で
ダウナー過ぎずにどこかおどけた印象も。終盤のスクリームが会心のハマりようで格好いい。
どうしてもルックス・キャラクターとこのサウンドの組み合わせの妙で評価している部分は
否めないが、バンドならば尚更そういう側面は重要だし、非常にアイコニックで面白い存在。
尚、某ゴリラが激推ししてたのでフラグ立ちまくってましたが案の定Luminelleと契約です。
Bored At My Grandmas House – Detox (Official Video)
ボアード・アット・マイ・グランマズ・ハウスが今年最初のリリースとしてシングルを公開。
今回はギターポップ的な要素はなく、スロウなDIY宅録ドリームポップといった感じの趣で、
変化のないビート、ひたすらに白玉で粘るベースを柱に煌めくギターで螺旋状に装飾してく
スタイルは、めちゃくちゃショボくした最近のビーチハウスみたいなサウンドになってます。
この子のいいなと思うのは、まずメロディに品性がある。かなり薄味だけど、いわゆる無味
乾燥というのとは違う味わいのある節回しで、まだまだ洗練されてないけどこれ完成したら
化けるハズ。今のウォームな雰囲気を保ったままで上手くステップアップして欲しいところ。
Daniel Rossen – Unpeopled Space (Official Audio)
グリズリー・ベアのダニエル・ロッセンが四月にリリースするソロLPから二つ目の先行曲。
基本は同じテイストながら前回の曲よりもやや切迫感のあるアレンジで少しダークな印象の
プログレッシヴ室内楽ポストロック・南米風味というトンデモ音楽で唯一無二のサウンド。
格好いいし芸術点も高いのですが若干聴き疲れのする調整なのとボーカルが弱く感じるね。
あと少しだけキャッチーなのを所望、そういう意味では本体バンドで仕上げて欲しかった。
Solomon Fesshaye – Star City
Ghostlyから突如デビュー、アトランタのソロモン・フェスヘイのファーストシングルです。
実にここが出しそうなフロアに振り過ぎないドリーミーなメランコリックハウスで、それ程
作り込まれていないラフな空気感のあるサウンド。揺れるピッチとボーカルサンプルが醸す
淡いノスタルジア。珍しいものではないですが、魅力的なバランスでパッケージされてます。
あとね、このミュージックビデオがもの凄く良いと思う。音だけだったら多分載せてない。
Hercules & Love Affair – Grace (Official Video)
ヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェアが5年ぶりとなるアルバムをアナウンスし先行曲公開。
すごい変わりようで、ハウスが消滅しドラマティックかつシネマティックなダークロックは
ダンディズムと耽美をミックスしやや大味と、完全にThe Nationalとしか思えない音楽性。
が、今回あの大傑作アルバム以来15年ぶりにアントニー・ハガティが参加しているそうで、
リードボーカルをとる曲も今後公開されていくでしょう。そう、この組み合わせを待ってた。
まだ情報だけだし、度々紹介してきたこの歴史的名曲の再来とまでにはならないでしょうが
この期待値がどれ程高いか、当時を知る人はわかりますよね。永遠のスーパーアンセムです。
今週のLP/EPフルリリース
King Hannah – I’m Not Sorry, I Was Just Being Me (LP)
レビューしてきたデビューEPや、これまでの二つの先行曲が良過ぎて非常に期待していた。
先行曲をインタールードで繋いだM1~M3の流れが図抜けて素晴らしく、ここにほぼ全ての
魅力がパッケージされてるんで残りがやや消化試合となってそうなのは勿体ないけど、まあ
今誰もフルアルバム通して聴いた上で評価なんかしないのか。そういう意味では冒頭に全力、
というのも間違っちゃいない。ポイントはブルージーなのに埃くさ過ぎずモダンにクールで、
トリップホップの雰囲気がある。そしてグランジというよりストーナーの要素がかなり強く
かつグラマラス。しなやかにヘヴィと言ったらいいのかな、ボーカルのルックスや雰囲気も
あいまってカリスマティックな存在感。Killsからリズムマシン取り上げて、気鋭のオルカン
生バックバンドつけつつアブストラクト化したらこんな感じ。何せよもう少しコンパクトで
良かった気もするが、1stとしては十分すぎる。メンズのメンバーは歌わないほうがいいね。
String Machine – Hallelujah Hell Yeah (LP)
3年くらい前のアルバムも結構良くて聴いてたんだけど、上手く言葉が見つからず悩んだ上
たしかレビューしなかった。今作は少し元気になったというか、よりオープンで聴き易い。
いわゆるビルスピやモデストマウスみたいな純USインディーってところが、ちょっとだけ
チェンバーポップに入ってナチュラルに、より朗らかに賑やかになっていったような音楽で、
全力で歌う時の男女ツインはジャングリーな趣もあるけど多分人数が多いのかな?大所帯
っぽいアレンジがちょいちょい入ってて、Broken Social Sceneからポストロック抜いた
みたいな、悪趣味で大仰なところがなくなったディセンバリスツみたいな。リリース当時
トップで掲載した先行曲のM-3がやはり素晴らしいが、LP全体で見ると少し浮いてますね。
雰囲気としてはリベラルでヒッピー系だけど、過度じゃなく程々。アメリカ以外ありえない
音楽だし、ホントこういう理想郷みたいなバランス感覚がそこらへん普通にいるの羨ましい。