GVVC Weekly – Week 199

Shabason & Krgovich – I Am So Happy With My Little Dog

ジョセフ・シャバソンとニコラス・ケルゴヴィッチが連名でのコラボプロジェクトで10月に
リリースするフルアルバムをアナウンスし最初の先行曲ビデオです。昨年、あと一人加えて
アンビエントのアルバムをリリースしていましたが、その路線からテクスチャーの雰囲気を
継承しつつ、骨格は大きく変わって歌モノのソフトポップ的なサウンドに。モダンな質感で
コンテンポラリー系のフレーズがかなりレイヤリングされており、マデリン・ケニー辺りや
最近のFlock of Dimesを彼が一時やっていたGigiの雰囲気とミックスしたような音楽だね。


Alvvays – Easy On Your Own? [Official Audio]

先日アナウンスされたオールウェイズ5年ぶりのニューアルバムからこれで二つ目の先行曲。
悪くないんですけど、これサウンドもっとクリアな方向性でまとめた方が絶対良かったな~
曲がいいだけに勿体ないですね。ガツンとオルタナというよりはちょっともはやブーミーな
音場に聴こえてしまい、ストロングポイントであるモーリーのボーカルもマスクぎみですが
バンド全体の馴染みという意味ではそこそこハマったアンサンブルで状態は良さそうですね。
一回ライブ観たけどそん時も正直ベースがデカすぎておいおいと思ったしクセかもしれない。


Rubblebucket – “Earth Worship” (Official Video)

ブルックリンのデュオ、ラブルバケットが10月にリリースするニューアルバムをアナウンス、
タイトル曲となる先行トラックをビデオ公開です。これぞブルックリン一派というサウンド、
若干グルーヴィ路線でポストパンクとポストロックをアートポップとしてスムーズに纏めた
お手本のような音楽性です。凄く良いだとかではないんですが、コンパクトにわかりやすく
シンプルにパッケージされていて気持ちよく聴けますし、ある意味で10年前のあの感じも。


T F D (TOTAL FUCKING DARKNESS) – The TFD

Young GalaxyとStarsのメンバーによる新ユニット、トータル・ファキング・ダークネスが
お披露目となるデビューシングルはそのままバンド名を冠したまさに名刺代わりのトラック。
楽曲はそのままヤング・ギャラクシーのものと言われても納得するスクエアーなイメージで
整ったシンセ・シークエンスがドライヴしてくインディ・ダンスポップ風のサウンドですが
この妙な清涼感とレイト80’sのフィーリング香るニューウェイヴ歌唱が非常にキャッチー。


Russian Circles – “Gnosis” (Official Video)

シカゴのロシアン・サークルズが15年以上のキャリアで初となるミュージックビデオ作成。
突然どうしたのかしら…音の方は特に変化なく、重すぎないメタリック・ポストロックで
悪趣味ダークにまでいかないギリギリのところで踏みとどまる絶妙な寸止めヘヴィインスト。
今回もいかにもサージェント・ハウスという感じのサウンドになってますが、長尺の中でも
終盤に刻み始める展開が腰が来てなかなか乙です。良くも悪くもどっか軽くて、そこも特徴。


Andrew Bird and Iron & Wine – Tiny Desk Concert

ジョイントツアー中のアイアン・アンド・ワインとアンドリュー・バードのタイニーデスク。
素晴らしいです…何も特別なことはしてないカジュアルセッション的な感じですけどまずね、
それぞれがスーパーソングライターなんでお互いの曲をやるにしても単純に楽曲が良いのと
音楽家としての成熟度がえげつないので、弾き語ってるだけで説得力が違う。そこらへんの
インディのライブが子供騙しみたい。やはり録音芸術と生の音楽って、それぞれ別枠だなと。
2曲目にやってるのがIRON & WINEの一番くらいに有名な曲です。ええもん見せてもろたわ。

今週のLP/EPフルリリース

Doll Spirit Vessel – What Stays (LP)

先行の3曲全てトップで紹介したし今週はこれしかない。一応はオルタナ・インディロックの
フィラデルフィア風味、昨今のSSWバンドの系譜に入るもののダイナミズムが実に特徴的で、
細かい客演を除いてはスリーピースなためシンプルで空間を埋めないアレンジがベースだが
ストップ・アンド・ゴーとかブレイクのタイム感が妙にスロウで虚無的なニュアンスが強い。
ボーカルの質感とか表情によるものも大きいと思うけど、基本は冷めて厭世的なムードかつ
センチメンタルもあるが湿ってないし、どこか陽の光も感じさせる楽曲とサウンドの印象も
いい意味で軽いものになっているのがポイント。これでもっと重かったらしんどそうだけど、
間合いで魅せる構成だし隙間が多いんで、全体的な響きは軽くおしゃれですらあるんだよね。
Disposable Americaほんといいレーベルですわ。Soft FangsとかSaccharineも好きだし、
日本でも売れたのだとSoft Blue Shimmerあたりもここです。ヴァイナル出ないの勿体無い。