GVVC Weekly – Week 198


Rachika Nayar – Our Wretched Fantasy

ラチカ・ナイヤーが今月末にリリースする新作LPから、オープニング曲とクロージング曲を
同時に公開、こちらオープニングトラックの方でございます。いや、美しい。もっと静謐な
アンビエントってイメージだったが、エレクトロニックの圧を今回強めて大仰に盛り上げる
ドラマティック路線に舵切ってるみたいで、今まで公開していた他の曲はシンセ圧が強すぎ
正直苦手な部分があったもののこのトラックはギリギリセーフで気持ちイイ。最近でいうと
Jefre Cantu-Ledesmaのシューゲイズ系のトラックみたいな光の洪水って感じの音楽体験。

Teen Suicide – “death wish” (Official Audio)

ティーン・スーサイドが今月末にリリースする新作LPから、これで3つ目となる先行曲です。
いいね、本領発揮というかズバリなサウンドで、リバーブかけまくってどこまでも曖昧かつ
アンニュイに展開させたルーザーズ・エモはロックのビートに乗り切る前にメルトダウンし
ブレイクしたまま逆回転の霧に消えていく。この刹那的な蒼さの表現、ストレートに刺さる
意匠で、少しだけ大人になった歌唱は全体像をマイルドにしてる。そう、これぞEMOだね。

Logan Farmer – Silence or Swell (Official Music Video)

コロラドのSSW、ローガン・ファーマーがWestern Vinylから新作アルバムをアナウンスし
オープニングトラックをビデオ公開。いぶし銀のUSインディ・フォークに一気にモダンかつ
アンビエント的ですらある響きを追加するこのサックスはなんとあのジョセフ・シャバソン。
これがそのままアンビエントフォークとタグ付けできるかはかなり際どいところではあるが、
ひたすら渋くなりがちなこの音楽性をこんなに聴きやすくソフィスティケイトされたものに
昇華した素晴らしいサウンド手腕。LPにはメアリー・ラティモアも参加しているようです。

Young Jesus – Ocean (feat. Tomberlin) [Official Music Video]

ヤング・ジーザスが9月にリリースするニューアルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。
引き続きサドル・クリークからで、レーベルメイトのトムバーリンが参加したこちらの楽曲
今までの彼らの音楽からすると随分とライトでラフな音像に仕上げられ、サンプリング系の
細かいフレーズやエフェクトのレイヤーが盛り込まれたコラージュ風のインディデュエット
フォーク宅録ポップのような、ポコポコしたもこもこサウンドながら雄大さと妙な説得力が
不思議と感じられるおもしろスケールのトラック。これ他の楽曲を早く聴いてみたいですね。

Eric Copeland & Josh Diamond – TA

エリック・コープランドとジョシュ・ダイアモンドの連名コラボ作からオープニング曲です。
ブラックダイス本体の諸作より聴きやすいものが多くて、彼のソロはだいたいチェック自体
しているんだけど、あまりここでの紹介に繋がることは少ないね。でも今回、特にいいなと
思うのはやはり他人の手も入ってるからか、より一層ポップというかストレートに踊れる音。
アフロ・ポストパンク・ミュータントディスコのストリート・エレクトロニック版みたいな
ソフトにイカれたサウンドに、十八番のチープ・ジャンク感を絶対入れてくる彼のこだわり。

今週のLP/EPフルリリース

Brijean – Angelo (LP)

前のアルバムでも同じようなレビューしたけど、これ2000年前後にここ日本でも流行った
クラブジャズ・ラテンハウスのあのサウンドにアンビエントを追加したバージョンというか、
曲単位で探せばそれこそ当時のIRMAとかSCHEMAあたりのコンピとかに全く同じような
ズバりなトラックも見つかりそうだけど、やっぱ絶妙にニュアンスと繊細さでインディ的に
チューニングされてるのが実際並べて聴いたら違うねってなるのかもね。パーカッションも
ふんだんに楽しく使われておりますが、手に持つグラスの中身は基本的に気が抜けた炭酸の
フワフワ感でドスっと踊らすトラックなどはない。でもキックのビートがいらないっていう
本当のアンビエント音楽が求められるシーンには使えないし、やはりラウンジフロアだとか
プールサイドになるのだろうか。それにしちゃ趣味が良すぎるから、これは生演奏のバンド
編成してライブで。メロディと雰囲気づくりのテイストがクドくなくて、薄すぎもせず絶妙。


Art Moore – s/t (LP)

デビュー曲から絶賛で紹介してましたボーイ・スカウツのTaylor率いる新バンドの1stフル。
音楽性はなかなかにレビューワー殺しの中庸なサウンドで、音響的にドリームまではいかぬ
淡く浮遊感もありつつ地に足のついた純粋で清涼感のあるインディポップSSWバンド音楽。
しかし、さんざ言ってきてますが素晴らしいところは音楽性うんぬんではなく、メンバーが
相性的にフィットしまくっているという証左のバンドマジックがサウンドからビシバシ溢れ
生き物みたいに自然なアレンジと全体での演奏の息づかいなど、このアンサンブルそのもの。
ダメな人にはどこ聴いたらいいかわからんと思うし本当に退屈だと思うけど、これ以外ない、
と思える異様な説得力のタイム感と響きが、先行のM-3、M-6、M-2など気迫すら感じます。
もう少しだけ派手に突っ込むバランスも操れるようになればとんでもなく名盤作りそうだな。