GVVC Weekly – Week 209

Macie Stewart – Defeat [Official Video]

昨年のソロデビューアルバムもなかなか素晴らしかったシカゴのSSW、メイシー・スチュワートがツアーに先駆けて単発の新曲をビデオ公開。
LPでは全体的にややエクスペリメンタルな要素も汲んだアート・アンビエント・フォークという風情だったところ、今回はより洗練させてモダンなチェンバーポップ的音像に近づいてきています。
依然としてインテリに凛とした雰囲気はかなり残ってますが、流麗で朗らかな部分が室内楽アンサンブルと調和し、全体的には自然に柔和で美しいテクスチャー。
彼女はOHMME(Finomに改名)の片割れなわけですが、バンドとは随分印象が違うんで面白いですよね。


Dora Jar – Spell (Official Music Video)

ドーラ・ジャーが初の北米のヘッドラインツアーを前に美しいビデオを伴った単発のニューシングルを公開です。
今回は過去いち幽玄でセレスチャルなドリームフォーク系の楽曲で、あまりこの人のイメージにない装いだったのでびっくりですが意外とハマってて、ひんやりとした空気感のあるクリスタルクリアーな北欧系のSSWみたいになっちゃってます。
でも直近の二つのシングルがこれこれですからね。音楽性があまりにブレ過ぎてて本当にとっ散らかってるのですが、ここまで行くともはや面白いよ。
変にメジャー寄りの色気出すのやめて、こういう淡めの路線で行ってほしいけどたぶん難しいだろうな。


Young Fathers – ‘I Saw’ (Official Video)

エディンバラのヤング・ファーザーズが来年2月リリースのニューアルバムをアナウンスし、先行トラックを公開です。7月に単発で出ていた楽曲も収録。
今回のビートはBPMと刻みがほとんど同じなんでBattlesのAtlasを強烈に彷彿とさせる盆踊りズンドコサウンドで、キメとかドラムのアプローチもかなり似通っておりなんつーかこれはもしかしたらパク…オマージュかもしれませんねっ!
相変わらずキケンな香りのするサグい雰囲気と繊細さを併せ持ったスケールが大きいポストロックが順張りでクライマックスに向けぐんぐん盛り上がる高揚感のある楽曲です。


Smut – Unbroken Thought (Official Video)

シカゴのスマットが11月にリリースする新作アルバムから三つ目の先行曲はLPのクローザートラック。
スクラッチ音まで入っちゃうナインティーズフィールな瑞々しいダウンテンポのチリー・インディポップ音像で、ミクロの部分まで見るとなかなかありそうでないバランス。
ティーネイジ・ドリームの青いセンチメンタリズムもバッチリ内包した若者ストリート音楽で、シューゲイズ系の風情にはなってないところもポイント。でも正直スクラッチ鳴ってなかったら掲載してないです。


koleżanka – Canals of Our City

ブルックリンのSSW、コレザンカが来年2月に予定されている新作アルバムから最初のリードシングルをビデオでリリース。
ステレオラブ音階に突入するほんのりサイケなアートロック・インディポップの楽曲で、前作よりもバンドサウンド路線に強化され、より明瞭なイメージに。キレイに整った部分とラフな質感の部分がちょうど良いバランスで非常に聴き易い仕上がりは、もう一つ何か強烈なアクセントがあればより化ける気配もあり、これ聴く限りではLPなかなか期待できそうですね。

今週のLP/EPフルリリース

Dry Cleaning – Stumpwork (LP)

やっぱとにかくこのボーカルなんだろうな。ウィスパーとドスが効いたような部分が同居してる不思議な声が、唾飛んできそうなレベルで近くで聞こえるミックス。そんでそれがいわゆるポエトリーリーディングと言えるほどの喋り歌いから、たまにメロディになだれ込む瞬間がいきおい甘く響くかなりのカタルシス指数で、その辺のメリハリもうまい。
ギターは基本いい音作りだけどもう少しバリエーション欲しいような気もするね。スカスカなサウンドがキテレツ脱臼系のポストパンクに向かっておらず、むしろある意味スタイリッシュにお洒落なような風情として昇華されてるが狙ってなのか不思議で、その辺もいわゆるUKのエキセントリック系と明らかに毛色が違うと感じる。でもこれ女声だから成立してるんだと思うよ。11/30東京と12/1大阪の来日公演控えてます!