GVVC Weekly – Week 224

Water From Your Eyes – Barley

Matadorとの契約を発表していたウォーター・フロム・ユア・アイズが移籍後初の新作アルバムをアナウンスし、最初の先行曲がビデオで公開。
サウンドに大きな変化は見られませんが節目ということもあり少しだけよそ行きモードの気迫が感じられる非常に完成されたトラックで、ソニック・ユースのフィーリングが入った騒がしくリズムのギミックが強いエクスペリメンタルポップ・アートロックをスタイリッシュに調理したようなものになってます。
この人たちはほんと業界ウケって感じがするし個人的な感想としてはあまり聴いてて楽しいサウンドではないと思うが、確かに独自性のある音楽ではあって、安直じゃないところを真に探求しているあたりがメディアから高評価される主な要因かもね。まだ一曲だけどもし他もこのクオリティならかなり期待できそう。


Emily King – Medal

ニューヨークのエミリー・キングが前作に引き続きATOからリリースする新作アルバムをアナウンスし先行曲をビデオ公開。
歌唱は非常にポップなR&Bでも、テクスチャーや上モノのシーケンスなどにエクスペリメンタルやコンテンポラリーな要素をかなり盛り込んでおり、軽やかでサラっとした雰囲気もありながら生バンド寄りのバッキング演奏などオーガニック感もプラスされた全方位ごった煮アーバン音楽。
Dirty ProjectorsのオルタナR&Bな楽曲やFlock of Dimesのアートポップにソウル風味を注入して躍動感をアップさせたようなサウンドですね。LPには昨年末に公開されていたシングルも収録。


Braids – Apple

ブレイズの新作アルバムから三つ目となる新たな先行曲が出ました。ビジュアライザー的な映像です。
さて、今回はというと2ndの頃かな?球体が浮いているジャケのやつで展開されていた人力テクノ・アンビエントポップみたいな雰囲気にある意味戻ったような、音楽性が一周回ってきて、ただそのクオリティはとんでもなく向上したっていう理想的なアウトプットに。
近作ではラファの魂の歌を全力でフィーチャーする路線が際立っていただけにこの揺り戻しはバランス的に必然だし、正しい判断だと思う。本当に素晴らしいバンドだけどまだ一切注文のつけようないほどに完成された真の最終バージョンには到達してない気がして、更に伸びしろあると考えると楽しみ。キャリア的にも、このさらに次の作品くらいで集大成を期待したいところです。


Avalon Emerson – Hot Evening

アヴァロン・エマーソンのニュープロジェクト、Avalon Emerson & The Charm名義の新作アルバムからの先行トラック。
何年か前にDJ Kicksでマグネティック・フィールズをカバーし普通にシンセポップを歌ったりもしてましたが、今回遂に本気のインディポップ系路線のようで、待望の作品となります。
本人の見た目がかなりキャッチーというか目立つし、日本でも謎にけっこう人気あるみたいで、こういう感じはまさに求められていた所でしょう。一昔前のクラブ系ポップスと宅録ドリームポップが混ざったようなサウンドは、キャラクター性も含めてインテリ化したComputer Magicみたいな感じになっちゃってます。


Decisive Pink – Destiny

ケイト・NVと元Dirty Projectorsのエンジェル・デラドゥーリアンが新たに結成したデュオユニット、ディサイシヴ・ピンクのデビューシングル。
サウンド的にはオリエンタルニューウェイヴ・シンセポップに微かにクラウトが入ってきてるようなものになってます。これ正直、個人的にそんなに良いとか好きとか無いんですが、あまりにもこの二人の組み合わせでイメージするそのまんまの音過ぎてあっぱれだったので紹介。
キャラクター的にもそれぞれ違ったカラーで目立つ両名なので見た目にもキャッチーでそのへんも強いですね。

今週のLP/EPフルリリース

Kali Uchis – Red Moon In Venus (LP)

もう完全に超ビッグネームと化した姐さん、いや今回も良いです。
アンビエントR&Bを極限までコンサバ(メインストリーム)寄りにした音作りで、特にそういった認識がない中で一般の人がもっと普通のネオソウル群と並べて聴いても違和感ないレベルの端整なサウンド。
ボーカルをひたすらウェットにすることで一気に全体の印象が曖昧になりBGM適性が上がるというマジックで、ある意味チルウェイヴ・ローファイインディが流行していた時の手法と事故的に同じっちゃ同じとも言える。そこにこのコロンビアルーツのラテンアメリカ味が加味されていてスペイン語圏の郷愁が絶妙なスパイスになってる気がするんだよね。
一見華やかだけど実は地味というか、音にケバさがないからビジュアルイメージの路線と合ってない気もするし、リバーブとパッドの仕込みが過剰なのを上手い事カモフラージュしてるというか、いや別に普通ですけど?って具合に纏め上げる神業など、いろいろと面白ポイントが多いですよね。
クローザーのM-15なんかもうArbutusリリースのインディポップと言われてもそのままイケるし、本当に間口が広い!