GVVC Weekly – Week 227

Gal Pal – Angel in the Flesh

L.A.のギャル・パルがリリースした単発シングルのビデオです。
バンド過去いちでキャッチーな仕上がりで、男女ツインボーカルのポップな軽いエモに擬態しているが、ダウナーなオルタナやシューゲイズもふんだんにブレンドした絶妙なメランコリック青春サウンド。
コーラスも明確だしアウトプットが良い方の意味で中庸な雰囲気に落ち着いているんで間口がぐっと広くなったかな。このバンドはちょっと今後メチャクチャ良くなりそうな気配があって注目したい。
なお、メンバー扮するファミリーに誕生日を忘れられた犬が家出をするオモシロ映像となってます。


KUČKA – Cry Cry Cry

リヴァプール出身、現オーストラリアのクッカ(元のセルビア系の発音としてはクーツカみたいな感じのようです)が新曲をリリース。
一応、体裁としては昨年公開の直近2曲をコンパイルして3トラックEPでLuckyMeからの発表になってます。
曲によりちょっとエクスペリメンタルだったりキッチュだったりな部分もあるオルタナ・エレクトニックのアーティストでハイパーポップのフィーリングも入ってるイメージですが、今回は爽やか方面に振り切っており実にレディオ・フレンドリーなシングル。
ビデオがキワモノだったり音にもちょっとだけアヤシイ粘っこさを感じないでもないですが、基本は毒気を抜き切った4ADサイン直後くらいのGrimes的バランスですね。


Skullcrusher – Words Come Back

スカルクラッシャーがザ・ヘイテッドの楽曲をカバー。原曲無視のほぼオリジナル楽曲で、実質的には歌詞だけ拝借したというようなモノになっています。
そこはでもオリジナルのインテンシティを違うやり方で表現したかったという本人談の通り、その意はわからんでもないという、圧と熱量を感じるような芯のあるアンビエント・フォーク。
この原曲、エモ黎明期の、まだパンクとの区別がついてない時期のもので日本でいうメロコア的でもあるめちゃくちゃ良い曲ですんで、ぜひご確認だくさい。


Foyer Red – Gorgeous

ブルックリンのフォイアー・レッドが5月にCarparkよりリリースするデビューアルバムから3つ目となる先行曲を公開。
シャッフルのビートで進むインディポップ系の楽曲がハーモナイザー、ピッチシフターなどを多用したコンテンポラリーなサウンドで装飾され、Dirty Projectors的なコーラスワークも追加した非常にNYエリアらしい作為的な抜け感を残しつつもエッジな風情のアートロック。
曲によりもっとジャングリーであったりエキセントリック方面に突っ込んでる時もありますが今回くらいの塩梅がちょうどいいかな。


Sister Ray – Teeth

トロントのシスター・レイが5月にリリースする新作EPからオープニングに配置されたタイトルトラックのビデオを先行公開。
イモーティヴで感傷的なオルタナフォーク楽曲になってまして、繊細な雰囲気が美しく映画のようなイメージはあくまでもシンプルなSSWモノではあるのですが、意外とアンビエントを感じさせるパッド的なレイヤードサウンドが盛り込まれていたりと、なかなか作り込まれたテクスチャーをしています。
あとリムショットの音がやけに良く聴こえるというか、アクセントとしてヒジョーに効いてまして、終わり方も乙だなと。


Talking Flowers – Storytelling / Bedroom Wall

Rama Lama Recordsが新たに契約したマルメのトーキング・フラワーズによる両A面デジタル・シングルが公開。
まあ、マーゴ・ガーヤン的なところで、サイケデリックなソフトポップ・60s好きだね~という感じのサウンドですが完全再現は目指してなさそうだし、そこに北欧のビターな甘さが自然とブレンドされることでちょっと面白い感じに仕上がってるなと。
現状でも絶妙なバランスと言えるけど、個人的好みとしてはもうちょっとだけモダンにしてくれたら嬉しいかな。アンニュイな雰囲気もあるんで、強靭なバックバンドを従えるとメロディーズ・エコー・チェンバー化するルートもあり得ます。

今週のLP/EPフルリリース

Yours Are The Only Ears – We Know The Sky (LP)

いわゆる一人バンド。前からプロジェクト名がすごく良いなと思ってて少しは聴いてたんだけど今作から強度が増して一気にスケールアップしたね。
音楽性という意味ではほとんど変わってなくて、インディフォークにちょっとだけチェンバーポップ入ったようなスタイルと、瑞々しさに凛とした奥行き・深みを伴った声で紡がれるザ・USインディといった節回しのメロディ。
全体のイメージは穏やかかつ親しみやすいものではあるんだけど、同時にどこかリッチで華やかでもある寓話的なサウンドスケープはただひたすら繊細で可愛らしい感じのものとは明らかに違い、かといって過度に感傷的でも押し付けがましくもなく、どこまでもナチュラルで一本筋の通った存在感です。
楽曲の配置や粒もきれいに揃っててスムーズときたもんで、何も邪魔しないのに軽くない、ずっと流していられる素晴らしいBGM。