Frances With Wolvesのリアンナ・カイザーによるプロジェクト、ホーリー・マターが単発のニューシングルをビデオ公開。
ユニットの方はかなりローファイぎみなザ・宅録の作風でしたがこちらの方が本業っぽい美しく作り込まれた音像で、完全ノワールではないものの限りなく彩度の低い映像もあいまって程よく幽玄なアンビエント・オルタナカントリー世界を展開。深すぎず浅すぎず、重すぎず軽すぎずの絶妙な塩梅で調整されています。
考えようによっちゃ何かの基幹トラックをミュートしてるような音像で、グルーパー路線の寂寞感も湛えており、サウンド的にもちょっと1曲だけではって部分もあるのでこの路線でアルバム聴いてみたいかな。
Brittany Howard – What Now
アラバマ・シェイクスのブリタニー・ハワードがソロ新作アルバムをアナウンス、最初の先行トラックをビデオ公開です。リリースデイト等の発表がないので本体リリースは確実に来年で、だいぶ先でしょう。
バンドが依然止まったままですが実質この人みたいなもんだし、前作のソロデビュー作もかなり素晴らしかったですが今回はこの曲だけでいくとブルースを大幅に削りソウル~ファンクを強化したような内容になっていて個人的にはこちらの方がだいぶ聴き易い。
非常にUSエンタメ的な映像のせいもあってか下手したらもはやThe Weekndの曲みたいになっちゃってますが、彼女のシグネチャーでもあるギターのサウンドと規格外のボーカルは健在で安定の勝負あり。引き続き期待できるんじゃないでしょうか。
bob junior x Dent May – IKWYDLS
Boy Pabloの兄で、ボーイ・パブロではドラムも叩いているEsteban Muñozのソロプロジェクト、ボブ・ジュニアが初お披露目となり、ゲストありきのスタイルでシングルを2曲公開。
名義人本人は一切歌わない方式となり、客演のPaul CherryとDent Mayがそれぞれの曲でメインボーカル出ずっぱりとなっています。
で、ビデオがついてない一応B面扱いの方のこのデント・メイが歌ってる楽曲のが好きだったのでピックアップ。今回のアウトプットとしてはちょっとパワーポップ寄りになったDent Mayそのまんまのようなサウンドになってまして、非常にポップ。ソロといいつつどこまでを本人が牛耳っている内容なのか訝しむレベルでモロです。しかし、いいボーカルだなー…ということでデント・メイありきですがオススメ。
PinkPantheress – Capable of love
ピンクパンサレスがついに満を辞してデビューアルバムをアナウンスし先行曲をビデオ公開。
ドラムンベースのフォーマットにR&B的ポップス乗せるっていうこの流行っていうのは個人的にはまあ…ノーコメントですが、この人はボーカルがなかなか好きだから中でも割と聴けるのです。
今回は遂にフルレングス、そのリードトラックってことで既発曲の最新アップデートバージョンをより一層オーバーグラウンドのよそ行きサービス曲にチューニングしてきた渾身のヒット狙い、かなり大味な仕上がりですが魅力がわかりやすくパッケージされてていい商品になってるんじゃないでしょうか。これ位なら最早D&Bのビートって感じでもないし2stepどまり。声質、エフェクト処理的にも初期アルーナジョージ的な響きだね。完全なる若者ポップス。
今週のLP/EPフルリリース
MUNYA – Jardin (LP)
ムニャちゃんのニューアルバム。リリースでの記述や先行曲のダフトパンク・オマージュなどからまさか結構もっとフレンチ・ディスコハウスに突っ込んでくるのかと若干警戒していたがそんなことはなく、ほどほどにフニャフニャのアンニュイ・インディシンセポップ、ラウンジ風味の仕上がりでひと安心。
正直、中途半端にコンサバ四つ打ちスタイルが目立ってた前作よりも断然こちらのほうが出来が良いです。方向性的に上昇志向ならすぐにステップアップしてもおかしくないと思っていたが選択的にそうなのかは不明ながら引き続き大本営Luminelleから。本当に個人的には一番最初の頃の、もっと一人でやってる感溢れる多少ショボくれて寂しそうな感じの部分も残して欲しかったんだがそこは早々に消え去ったね。
とにかく、フレーバー程度ならいいけどあまりダンス系に行かず、マックス今回くらいにとどめてこのわかりやすいオシャレコードや順張りフレンチアンニュイをふんだんに盛り込んだ気軽な音楽で居て大丈夫。しかしそうなるともう発展性がないよな…。いっそアコースティックやってみるのもアリだと思うけど。若干曲が弱いのは仕方なく、メロディのパンチという意味ではニュー・オーダーのカバーが燦然と輝いています。オリジナルではM-3が好きかな。
Helena Deland – Goodnight Summerland (LP)
フルアルバムとしてはこれで2枚目。何かの折で以前ここで言及していると思うが前作は正直あまり好みではない。しかし今回イントロのピアノ独奏からして明らかに空気が違い、いくつか出てた先行曲もまじめに聴いてなかったのもあり初見「おっ、変えてきたね」からズルズル引き込まれました。
レーベルも変えたのがデカイのか、よりアコースティックにナチュラルに進化した丁寧なアンサンブルと落ち着いた息づかいの美麗フォレストフォークで、前作にあったオルタナというかそこはかとなくダウナーな雰囲気がなくなりなんとなくブライト。毒気がな薄まりましたね。
あとは前のも深みはあったと思うんだけど暗いし、なんかガサっとした質感が一番不満だったのだが、そこも一気にきめ細かくなり軽く優雅なタッチを感じる。とにかく音楽性というよりか表面的なサウンドが変わりすぎです。歌唱も魅力的になって普通にビッグネームのSSWと比べても遜色ないレベルの説得力がある。
リリースと同時にビデオも出てたトリプレットのM-7とかも凄いよ。絶対今のバランスが完璧にいいから、この路線極めて欲しい。