GVVC Weekly – Week 258

on being an angel – playin it cool

テキサスの4ピースバンド、オン・ビーイング・アン・エンジェル(天使であること)がリリースした2曲入りのデジタルシングルからビデオ付きのAサイドを紹介。
いや、めちゃくちゃいいバンドですね。名前もいいし前にも見てたらすぐ気付くはずなので今回で初めて知りました。2019年からちゃんとやってるみたいですが年1でちょろっと何か出すくらいのペースで当然フルレングスは未だみたいです。前のも一通り聴いた感じでは今回で一気に開花したのかな。
ダイナソーJr.式の甘く緩いファズでまみれたオルタナロック・インディポップ路線で完全自主のしょぼい作りがむしろ非常にプラスになってる弛緩したラフな雰囲気。ギター二本とベース・ドラムに歌しか鳴らないクラシックな佇まいで、だからこそごまかしの効かない素の良さが光る。タイム感、音作り、ミックスにおいてもダルダル過ぎない絶妙なゆるさ、軽すぎない絶妙な重さで本当素晴らしい。
この音楽性において当たり前のことなのですがボーカルとギターに明らかに抜けたセンスあり、その上ルックスまで二重丸ときてて、ちょっとすぐにステップアップしてもおかしくない逸材だと思います。


Vyva Melinkolya – 222

ヴィヴァ・メリンコリヤが来週リリースする新作アルバムから三つ目となる最後の先行曲が公開です。
このトラックにはあのエセル・ケインがバッキングボーカルで参加しているみたいで、かすかにゴスの香りがしつつもそこまでダークではない、ナチュラルに沈鬱で破壊的に美しいダイナー・シューゲイズ・スロウコアの楽曲になってます。
ボーカルの歌い方、声質的なところで初期のmemoryhouseが重めのサウンドになったかのような音像ですね。他に出てる曲はもっとドゥームな雰囲気がありますが、取り合わせのバランス的にはなかなかいい感じで、アルバム楽しみ。


jess joy – lily of the valley

Joyful Noiseから来週リリースされるジェス・ジョイの新作アルバムより最後の先行曲がビデオ公開。
優美なチェンバーポップと、カラフルなエレクトロニック・オルタナポップが融合したような世界観に、ビョーク系の浮世離れしたボーカルスタイルが躍るワンダーランド・ウィアードネスがいい感じにキモチワルイ出来ですが、そんなにエグ味・えげつなさは無くうまい具合に甘めのバランスで仕上げてありますね。
歌パート以外の作編曲・演奏は全て元スマパン(ジミチェンが抜けていた期間のドラマー)のマイク・バーンによる全面プロデュースのようです。


Mo Dotti – For Anyone And You

L.A.のバンド、「もどっち」がニューシングルをリリース。
深淵から地上へ戻ってきたマイブラ的なアーミングうねうねサウンドで、ドリームポップとは明確に隔てられた昔ながらの純・シューゲイズサウンド。
そのぶん普通のオルタナロックとより近い位置にいるわけで、さらにメロディもそんな辛気臭くないときたもんで、それこそラブレスにオアシスとペイヴメント注入したような音楽性になってます。これ、意外と居ない面白いバランスですよ。


Friend – BORED TO DEATH

フィラデルフィアのフレンド(誰)が来年2月にリリースするアルバムから三つ目となる先行曲をビデオ公開です。
簡単な作りとガタガタな演奏に溢れ出るヤング・ルーザーのやぶれかぶれで全身ボロボロな感じが涙ちょちょぎれる青春疾走ナンバー。他の楽曲なども含む全体的にはそれほど泣きemoだけに振り切った音楽性ではなく、パンキッシュなオルタナっていう感じで、若さあふれる演奏がステキだね。
レーベルはBORN LOSERS、LPのタイトルはDOG EAT DOG、そして曲名もコレと、トリプル役満です。でも、もうこういうバンド名やめない?普通にメリットがないと思うんだよね。

今週のLP/EPフルリリース

Spiritual Cramp – s/t (LP)

えーと、パンクロック、だね。そんなにハードコアとかポストとかは入ってないやつで、たぶん下手したらザ・クラッシュとかに近いというか、オーセンティックな雰囲気があってほんと若干だけどレゲエも入ってる。
そこにいかにもサンフランシスコ・ベイエリアっぽいというか…これ説明するの難しいんだけど…Jawbreakerとかにも感じるあの種類のパンクネスが漲ってるのね。もともとはM-3がすごくいい曲だなあと思って聴いてたけど、全編なかなかに高品質。あとはちょっと初期のVaccinesとかみたいな雰囲気もあるかなと。つまり、やけにキャッチーなんです。んで、あまりガサガサしてない。サウンドは整理されてて、メロディアスさもやり過ぎず程々に丁度良い、聴きやすいパンク。でもポップパンクとかみたいなあからさまに大衆化されたものにはなってないのが素晴らしいんだよね。ホント際どい、細かいところなんですけど、その差っていうのは。
前のアルバムも悪くなかったけど、方向性が明らかに定まって解像度が上がった。セルフタイトルドなのが物語ってるわな。