GVVC Weekly – Week 262

Chelsea Wolfe – Tunnel Lights

チェルシー・ウルフが来年3月にリリースする新作アルバムからこれで三つ目となる先行曲をビデオ公開。
初期のゴス・フォークからだんだんバンド方面にシフトし、一時は半ブラックメタル化したりしての現在地。なかなかコンスタントにリリースしつつ、少しずつ変えてきていた彼女も回り回ってそろそろ完成形かと感じさせる、今までの全てを盛り込みつつソリッドに成熟させたSALEM系の雰囲気までを纏うゴシック・エレクトリック・ドゥームサウンドは非常に説得力のある強度を持ったSSW楽曲に仕上がってます。
ゴス味がギリギリのところで行き過ぎてないのが良くて、聴けるんですよね。コレ今までで一番のバランスだと思うよ。ちなみに他に出てる先行曲はもっと重いメタル系の曲もあったりで全編この路線なわけではなさそう。


Empress Of – Femenine

エンプレス・オブが来年リリースの新作アルバム(明確なアナウンスはまだ無し)から先行曲をビデオ(NSFW)公開。
宅録感のあった初期からよダンス系により近接しだしてもう久しいが、今回はガチガチにプロデュースされ更にステージを上げるハードな四つ打ちエレクトロニック・ポップ。コレオグラフィーの映像の路線もあいまってナリがもはや完全メジャーの人みたいですが、歌がいい意味で相変わらずしょぼくて安心します。本当はアコースティックに行って欲しいんだけどね。
というかホンジュラス系って知らなくて、ずっとブラジル系だと思ってたのでスペ語?って訝しんだんだけど自分が間違ってた。10年以上前、ハットトリックとか出すよりも更に前の、カラーチャートみたいな単色ベタ塗りの静止画でYoutubeに覆面作家っぽく曲公開しまくってた頃にブラジル系だって某所が発信してた記憶あるんだよな。騙されたわ。

今週のLP/EPフルリリース

Dweller – s/t (EP)

トロント二人、ウィニペグ二人のカナダ東西ジョイント4ピース、セルフタイトルドのEP。前情報なしでしたがこれは面白い。
基本はギリギリでフォークロックになるのか、しかし多分にスロウコアとインディソウルが入っていて、うまく空間を生かしたスキマの多いモダンで洗練されたアレンジ。なのに音は篭りまくったUMO路線のミックスでモコモコネバネバしたベースがまとわりつくモサ〜いサウンド。男女メンバーが楽曲によりリードボーカルを分担するスタイルで楽曲に更に幅を持たせてる。
これね、これはこれでアリだけどハイファイな装いにした方がわかりやすいというか、今の音作りそんな得してないと思うから次フルレングス出すときは変えて欲しいな。4曲じゃまだまだ全容を見せてない、かなり期待が持てる注目株。あまり小難しい方向に行かず今回くらいのバランスでブラッシュアップするのが良いかと。


Fragile Animals – Slow Motion Burial (LP)

オーストラリア・ブリスベンの男女デュオ。バンド名もアルバムタイトルもどっちもいいね。カバーアートもカワイイ。
さてサウンドは90’s大好きな明確にシューゲイズ・ドリーム系の音作りかつボーカルも激甘ときたらありがちに凡庸なモノになりそうなところだが楽曲に意外と幅があり、もっと骨太系のオルタナロックやエモコアを彷彿するような瞬間まで飛び出すので全体的にはそんな軟弱な印象になっておらず元気がいい。
なんちゅうか下手したらオアシス的な部分やパラモア的な部分まで感じて、割と大味なコーラスを入れたがるきらいがあるし、完全にダサカッコいいタイプもといダサいので正直ちょっとギリギリなバランスではあるのだが、シンガーがなんか魅力的なのか憎めないというか最終的なアウトプットは非常に愛嬌がある。
もう6、7年やってるみたいで前のを一通り聴いたらガツンと行くほうがデフォだったみたい。ということで今回がキャリアで最も甘くした調整っぽく、それが奏功してます。もうちょっとオシャレになった方が好きだけど、華があるしまぁ今の感じでもオッケー。