GVVC Weekly – Week 267

Drahla – Default Parody

USキャプチャード・トラックスからリリースするUKリーズのドラーラが遂にセンカンドアルバムをアナウンスし先行曲をビデオ公開。GVVCの2023年間ベストトラックスにも入選させた昨年出ていた楽曲(Lipsync)も収録されます。
さてデビューLPからは4年もかかりましたが、その分さすがのクオリティというか、もともとの長所を全て残しながら正統進化させて深みとクオリティだけひたすら上げてきた盤石の仕上がり。
表現としてはポストパンクというしかないのですが展開の巧さと、硬質な感じはありつつも割と賑やかでリッチなサウンドの質感が他にないようなバランスですごく華がある。これでサックスまで入ってきちゃうからね…。コーラス?常に揺れモノがかかったベースがキモな感じはするけど普通の音作り版も聴いてみたいというかそれはそれでタイトになりそうで捨てがたい。
映像の方もグリッチ入りまくる(しかも止まる)なかなか楽曲にマッチしたクールな仕上がりでFKA Twigsとかがやってるのと同じ前髪(?スタイルの名前知らない)も決まってますね。


Prefuse 73 – A Lord Without Jewels

スコット・ヘレンがプレフューズ73名義での新作アルバムをアナウンスし先行トラックを公開。引き続きLexから、プロパー作としては6年ぶりくらいで昨年末に出ていた楽曲も収録されるようです。
いやこの人ってウチら世代がサブストリームの音楽聴きだす頃に台頭してきて成人前に最盛期っていう世代だし、日本でもやけに人気あったから否が応でも多少は聴いてきてるのですが本当に感動するほど変わらない。時間止まってるでしょ…。
今回はちょっとジャズの趣が強く、この曲はインストヒップホップに寄った中期Jaga Jazzistみたいなカンジで、いわゆる往年のアブストラクトってやつだが、今の感覚だとそんなにアブストラクトに聴こえないよね。
エレクトロニックに過ぎず、少しポストロックの感覚も入ってるオーガニック寄りの、でもバンド側には居ない(ライブでは本人がドラムだったりするけど)あくまでもDJサンプリング方面のレフトフィールドってのがポイントなんでしょう。大ファンでは全然ないんだけど、こういう音楽はノスタルジーを感じて手が止まっちゃう。


Saintseneca – Soft Axe

セイントセネカが単発のシングルをリリース。アルバムはもう5年以上出してなくて、ポツポツとワンオフの新曲を出したり出さなかったりが続いている彼ら。
ほとんど弾き語りのようなところからメインテーマをひっぱり続けだんだんとズンドコリズムを加えスケールアップしていくアーシーなフォークロックスタイルですが、繰り返される“You could cut me down as long as you drag me in the house”が実に耳に残り、もはやニュートラル・ミルク・ホテル化した歌唱がなんだかキャッチーな6分を感じさせない非常に良い楽曲です。この感じでさすがにそろそろLP出してきそうですね。


Ella Raphael – Tangled Love

FIREからリリースするエラ・ラファエルが単発のニューシングルをビデオ公開。
チープなチャカポコリズムマシンとヴィブラフォンがリードする、どこまでもゆるゆるに弛緩したリゾートフォークはハワイアン入ってしまうレベルで過剰なラップスティールのトロピカル感にlate50’s-60’sシャララコーラスと陽のエレメントが多いにも関わらず、どこか翳りを感じるようなオルタナの妖しさが漂っており、一筋縄ではいかない曲者インディポップです。

今週のLP/EPフルリリース

Mall Girl – Pure Love (LP)

前のアルバムも確か紹介した。ひどいクソジャケだけど、ある意味でなかなか混乱した音楽性だからそんなに間違っちゃいない。個人的には前のジャケットくらいのさじ加減で良かったとは思うけど…。
さてサウンドの方ですが少しドタバタ感が薄れオトナ寄りになったのかな?とはいえそれほど劇的な変化ではなく、やや人を食ったような雰囲気のあるオルタナポップ〜北欧ギターポップあたりのレンジのサウンドに曲によって突如ミッドウエストエモ系のギターフレーズやマスロック風な展開が挿入される相変わらずの謎バンド音楽。男女2:2の4人組でドラマーも女の子、この手合いでボーカルは手ぶらの歌オンリーっていう編成も謎度数アップに寄与してます。
ただM-1、M-2みたいなのはいらないと思うんだよね。なんでこの曲順なんだろ、損してる気がするけど。ミッドウエストエモ・モードに入った時のビックリ感をより強調するためだけに序盤しっとり連発で攻めてるんだとしたら相当イタズラ心あるね。とにかく3曲目までで聴くのやめたらどういうバンドか全く伝わらないまま終わりますので。M-5から最後までが本領発揮で、一番わかりやすいのはM-7、M-8かな。
音のチグハグ具合からして見た目もけっこうイカレてそうだなと期待するが、メンバーのルックスは全然普通。一体どういう人たちなんだ…。