GVVC year-end list of 2023

皆さまお待たせしております、恒例のGVVC年間ベスト楽曲TOP30を発表します。2023年に公開された楽曲のみです。ここ数年と比較すると正直、今年は不作で30曲選出ギリでした。50曲にしたい年もあるのでホントうまくいかないもんです。

性質上、アルバム中でその1曲しか聴いてられないみたいな楽曲であったりがかなり入ってくるので、その収録作が名盤・好盤かというと必ずしもそんなコトないのが微妙なところですが、ご賞味あれ。

なおこちらも毎度おなじみですが、AVYSSの年末企画の方でアルバムのベスト5を発表してますので併せてどうぞ。

30. Margaret Glaspy – Get Back

たま~にひっかかる曲がある彼女。サウンドとしてはシンプルなSSWロックでしかないが、大きくとったトリプレットという解釈でいいのかタメたっぷりのキメで刻みながら展開するコーラスパートがもう完璧なアンサンブルで、全パートがひたすらにダイナミック。ギターもドラムも凄く良い音しててザクッと生々しいミックスが気持ちイイです。ぜひ大音量で聴きたい。本人出ずっぱりのビデオもなかなか素敵な映像と編集で花を添えてますね。

29. Halo Maud – Catch The Wave (Strawberry Guy Remix)

リミックスでのランクインということでちょっと変化球。まあその原曲も今年のリリースなので良いでしょう。一聴するとチルウェイヴ枠のような感じもするが、意外とエレクトロニックの度合いが低く、ドラムなんかも鳴り・フレージング共に生演奏と互換性あるオーセンティックな作りでシンセもパッド系が主体と全体的に圧は強くない。可憐なタイプのボーカルと、ブレイクのぶっ壊れそうな繊細さで涙腺崩壊する美しいアザーワールドリィ・サウンドスケープ。ちなみに原曲の方がむしろリミックスっぽい仕上がりです。

28. Sleaford Mods – Big Pharma

この人たちもたまにクリーンヒットさせてくる楽曲があって侮れない。「喋り歌い」の範疇ではなく明確にラップだけの音楽では唯一のランクイン。このトラック、今年出たアルバムの選外で作った追加EPの中でのメイン曲みたいな扱いなんですが、本体アルバムのどの曲より良いと思う。単純にベースのリフがかっこいいのと、あとフローもかっこいい(小並感)。バンドにそのまま置換できるサウンドでヒップホップというよりはポストパンク的な温度感なのも好みポイントです。でも一番は入りのとこのイビキみたいな「ウー」でやられた。しかし、どこの国も医療や薬にまつわることで国家ぐるみの闇って大なり小なりあるのね。

27. LũpḁGangGang – Elsewhere

正直この曲しか聴けない。でもこれだけはなんかある種のポストロックがマスロック方面に先鋭化していった先で最終的にやり出しかねないような型と同じフィーリングを感じて、自分の範疇内で消化できるようなものに(おそらく事故的に)なっているんだよね。もちろん演奏はモダンファンク・ニュージャズ仕込みのホンマもんなのでロック畑がやったところでこのグルーヴは出せないのだが、完全に他ジャンルから解釈違いで偶然生まれたバカテクのジャジー・プログレ・マスロックというイメージが面白く印象に残った。もちろん本人たちにそんな打ち出し方の意図があるわけでもなく、ワタシが勝手に言ってるだけなんですけども!

26. Laurel Halo – Belleville

うっすらと被さるアンビエント・ダブや一瞬だけ挿入されるストリングスとコーラスが融合したような謎サウンドで装飾されたピアノ独奏は過度にくぐもってはいるがどこまでも美しく存在感がある。エレクトロミュージックのテクスチャーとクラシカルな品格に現代音楽のエッジが同居した彼女にしかできない意思を持った天上音楽。キャリアを総括するような一発に感じ、初見時にかなりショックを受けました。TOP5には取り上げませんでしたが収録作アルバムも素晴らしかったですね。このような路線をもっと主軸にした作品が聴いてみたいのでそこを期待(でも、多分やらないでしょう)。

25. Credit Electric – house of cancer

トラック単体でも収録アルバムも当時のWeeklyで両方レビューしたのでもう書くことないんですが、とにかくイントロの音像がパンチある。ペダルスティールとサックスで既に派手なのに、エンドレスアルペジオみたいな部分担当してる方と真っ当に低音やってる方とでベースが2本鳴ってるところにキックがこの圧でこの音色なもんでもう低音がわちゃわちゃの飽和状態!でも丸くカドのないものばかりで不思議と聴いてて疲れない。楽曲的にもハードコア通過後の枯れエモ、いわばピンバック的なラインにオルタナカントリーを混ぜてチープな宅録ポストロックにしたような謎サウンド。そしてボーカルは安定のヨレヨレと、ほんと突然変異みたいな音楽だね…。

24. Wajatta – Some Out You Know (feat. March Adstrum)

今年の四つ打ち枠です。何の予備知識もなく遭遇してやられた一曲で、お、踊れる!初期のヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェアが高速化したようなサウンドで、結構ハードに来るワープハウスかなという感覚。アントニーが歌ったらまたこの3倍くらい良くなりそうですね。個人的にはやはりダンスミュージックにも常に歌のフックの良さを求めたく、実際のフロアにおいてすらこう、踊ってゼエハア言いながらでもコーラスを一緒に口ずさむようなものが理想です。これ収録作はEPで他のトラックも悪くないのでオススメですがこの音楽でデジタルオリンリー、ヴァイナル出てないの謎。

23. Magalí Datzira – Des de la cuina

スペ語(それもカタルーニャ語?)で何を言ってるのかは全く分かりませんし名前すらもプロパーに発音できませんが、カスレ気味のボーカルがキュートな本人はコントラバスの弾き語りで、ピアノとギタリストが脇を固めるトリオサウンド。鼻歌の原型がまだほんのり残るシンプルな旋律が歌唱の愛らしさに更に拍車をかけてますが、スパニッシュとブラジル音楽にNYあたりのジャズバラッド的なものが渾然一体となった意外と奥深い音楽性も確かに感じます。ちなみにライブ版もあってそちらにはブラシドラム入りと、相対的にジャジー度がアップしておりそれもそれで良いですよ。

22. Y La Bamba – Hues feat. Devendra Banhart

このリフというかディレイでトロトロになったメインテーマがやけに耳に残って、この数ヶ月たびたび頭に浮かんでは消えていた。ボーカルに関してはディベンドラ・バンハートの客演は正直そんなにポイントにはなっておらず彼でなくても何の問題も無さそうではあるが、気の抜けた歌モノのラテン・ラウンジはフワフワとレイドバックしていて弛緩した雰囲気が心身のデトックスに有効と思われる(当社比)。考えたら負け、ひたすら身をゆだねましょう的なリゾート・サウンド極北。

21. Filth Is Eternal – Pressure Me

いやぁ、毎年毎年すいませんが、1曲くらいはこういうのを入れないと気が済まない。っても別に無駄にラインクインしてるわけでは決してなく、実際めちゃ聴いてるし自然なランクインです。最初の2フレーズ(“ Pit me down, Pressure me ”のとこね)だけかもしれないけど、ボーカルに多分モジュレーション系がかかってるっぽく、そこの鳴りが一瞬だけサイバーパンクって感じですごく気持ち良いんですよね。それと特別なことは何もしてないがドラミングがめちゃくちゃ好みで駆け抜ける1分半のインテンシティ、ゆうてもそんな激烈じゃなくライトな部類で正直この曲だけ拾ったらマネキン・プッシーとかと同ラインに括ることもできなくはないサウンドだと思うし、どこか几帳面なアレンジなのでバンド名やカバーアートの雰囲気ほどスカムにハードコアではないと思う。

20. Meernaa – Black Eyed Susan

アルバム全体でもなかなか素晴らしかったです。基本はモダンなブルー・アイド・ソウル(本人たぶん青目じゃないけど)って言いたくなる雰囲気の楽曲に、ナチュラル系の室内楽アンビエントをミックスしたようなソング・オリエンテッドかそうでないかが微妙なラインの流麗なサウンド。意外とこのミックスバランスいなくって、高級ホテルのラウンジでも流せるようなクラス感があります。ポストAOR的な解釈もできる非常にオトナな仕上がりで、フェイ・ウェブスターあたりがもっともっとスムーズに控えめに、自意識過剰じゃなくなったような音楽と言えるかな。

19. Bar Italia – Clark

ちょっとハイプというか、騒いでる界隈も含めてこの手のは個人的に敬遠しがちなのですが彼らに関しては実際そこそこ良いし仕方ないかな。イタリア系のフロントウーマンの存在感が並外れてて、楽器弾かないのに普通に歌もヘタクソ過ぎるのが泣けるけど、ほぼモデル枠での採用でそこありきのバンド力(りょく)なのでしょうし突っ込むのは野暮か。しかし、オルタナ、インディロック、ポストパンクの順張りに格好いい部分を全部乗せみたいな欲張りサウンドなのにセクシーでそこはかとなく気品もあり、他メンバーのルックスも十分一線級ときたもんで成果が出ないわけがないのであります。イントロからのベースのフレーズ、鉄板の動きだけど本当素晴らしいね。

18. Fenne Lily – Lights Light Up

イントロのギターフレーズが個人的に好み過ぎてほとんどそこだけの力といっても過言ではない。ビーチ・フォッシルズの十八番アンサンブルを発展させた、せわしないクリーンの単音ぜめとこの過剰なウィスパーボイスのコントラストが美しくエアリーに弾むサウンドスケープ。「朝起きるのしんどいんだわ、実際起きてるより夢の中の方がいろいろあるし」的な内容からはじまる歌詞もなんとも乙です。前作があまりに良かったこともあり、今回はこの曲が最初に先行で出たもんで期待値が上がり過ぎた結果アルバム自体は全体的に正直いまひとつであったが、そこをカバーするには十分すぎる存在感でランクイン。

17. Drahla – Lip Sync

ランキング中で唯一の明確なポストパンク枠。でもなんだかんだ、プログレッシヴまで行かないにしろどんどん別の展開を挟み込み、焦らして焦らしての倍テンでも純粋に飛ばさずかなり捻くれた寸止めビートでズルズルと引き摺るように進む一筋縄ではいかないアレンジです。客演のサックス入ってるにしてもほんとそこは最小限の存在感でわきまえつつ、必然的に生まれる空間のスキマがいかにもスリーピースっぽいアンサンブルでダイナミックさ際立つサウンドが実に格好よろしい。なかなか2ndアルバムが出ないが、この楽曲のクオリティを見るに明らかに収録曲なので来年出ることでしょう。

16. Just Friends – Life I’m Living In

スケーターパンクと軽めのオルタナロックをかじった90’s感の強いパーティポップ。完全に陽キャの音楽であり、やってる当人らのパーソナリティ的には正直関わりたくない、真逆の人種であることは間違いないのだが、なんだか憎めない魅力的なムードが溢れてて気になる…。な、仲間に入れてくれっ!…とはならんのだが、それほどキッチュに行きすぎず、かろうじて真面目に聴けるくらいの端正さは保ってるからなのか、ついつい物陰からこっそり様子を伺っちゃうくらいはあるかもね。itの内訳は各人で大幅に異なるだろうが、ある意味全ての人間に響くこのフレーズ。“ It’s just the life I’m livin’ in… ”

15. Lucky Lo – Peak/Valley

これもコーラス聴いた瞬間、少なくともこのTOP30リストには入るだろうと予感していた。ひとえに作りの巧さが違いを生み出しており、パーカツ使い、歌とハモる単音のギター、1小節だけのBメロ(?)などかなりクセのある仕込みが入ってるのだがそれを感じさせない自然なアレンジ。あと最後のサビではドラムがとても良い仕事してて、ライドのカップを混ぜたフレーズが足りない高域に花を添えていて本当に素晴らしい。粘っこいようなサッパリしているような複雑な表情のアルトボイスから繰り出されるメッセージは「人生山あり谷あり」、ただそれだけの内容ではあるのですが、実にシンプルかつある種の爽快感とカタルシスのある楽曲です。

14. PAPOOZ – RESONATE

一応ベッドルームポップ枠でいいとは思うんだが、なんか全体的に狂ったような、得体の知れない雰囲気が充満してるのにとても中毒性がある不思議な楽曲。まず2小節ごと1拍目に入ってるエフェクトかかり過ぎで原型をとどめてない遠くの咆哮みたいなサウンドがすごく効いてる。メロディの雰囲気に対して場違いなブリブリのシンセベースも謎の外しとして機能してるし、本人のそもそもの歌い方とフランス訛りが混ざってか異様に舌ったらずな中性的ボーカルも魅力的で本当クセになります。ビデオはショートフィルムの続きもんかと思わせておいて、全3話とも20秒くらいのただのループで内容はほぼありません。意味が分からない!

13. Nourished By Time – The Fields

アーティスト名、ジャケ、サウンド全て完璧です。雨後の筍状態であった一時期と比べると昨今かなり減ってきた、チープなリズムマシンにフワフワしたローファイサウンドとインディソウル系のボーカル。しかしこの絶妙な手作りB級グルメ感と引き出したっぷりの歌心、どこかズレたミュータント気質もあって愛嬌たっぷりにポップでパーソナリティも俄然気になり、間違いなく今後が約束された存在でしょう。収録作はアルバムTOP5にも入れましたのでこの曲以外もなかなか素晴らしいですが、1曲選ぶならおそらく誰もがコレにするであろう明確なスタンドアウト名曲。ただ、個人的にどうしてもKindnessがチラつき過ぎて、それがなければもっと上位でしたね。

12. Leah Senior – The Music That I Make

なんて美しい音楽でしょう。全然違うコードからなだれ込む導入で一気に場面転換、空間がリセットされる効果的なイントロがまず技あり、そしてギター二本とピアノによるトリオ編成にボーカルが乗るリズム隊なしのサウンドですが、それぞれ役割が非常に明確で、色彩豊かかつ瑞々しい音像になっており派手さも十分。その中でもこの可憐な歌唱が完全に場を支配する主役で、かなり赤裸々かつ叙情的なリリックがより説得力を持たせている。嘘をつきようがない内容だからね…この曲名とこの歌詞、この人の半生とそのたどり着いた答えみたいなもので実にリアリティがあり、他人ごとに感じられない重みを持ってます。まあ簡単に言うと、「専業になるコースからは脱落したが、自分的にはより研ぎ澄まされてきているし、もう怖いものはない。神よありがとう、好きでやってるんだから。これが私の音楽!」ってとこです。

11. Ratboys – The Window

もうこの曲はね、このリストにランクインした他のどの曲よりも歌詞とバックストーリーの比重が大きい。あんまりそういう音楽の聴き方をするべきではないと個人的には思っており、自分としては例外的な扱いなのだがあまりにも胸に刺さったもので…具体的にはボーカルの祖父が、施設だか病院だかで死の床に伏した妻への別れの言葉をその部屋の窓の外から語りかけてるというもので、つまりコロナで面会できないからそうせざるを得なかったっていう話です。そこから拝借したこのリリックに説得力を持たせ、魂込めることに全力をかけたこのジュリア・シュタイナーの歌唱を際立たせるシンプルなアレンジ。サウンドはまさにクリス・ウォラのプロデュースっぽいサクっとした質感のクリアに整理されたインディロック鉄板調整であまり好みじゃないんだけど、この絶妙にメインストリームともクロスオーバーさせる手腕は流石だよね。

10. Puma Blue – Pretty

一瞬レディヘが始まるのかと思ってしまうイントロ、ヴァースも何処かで聴いたようなメロディ(ニールヤングだね…)と、わざとなのかわからんオーマジュ祭りですが、トロトロに弛緩した美しいコーラスは一級品の輝き。楽曲と歌詞が本当にマッチしていて、リテラルに描かれているムードがそのまんまサウンドに反映されており、そのシンクロ具合がこれ以上ないくらい絶妙。どう考えても二日酔いとか頭が朦朧とする状態のまま翌日ベッドでグダってる感じですからね。ただし隣には恋人がおりまして、この街で信用できるのは君しかいないとか言ってる痛いオトコの話です。全体的にはスカスカのプロダクションですがこれ見よがしな小技がちょくちょく挿入され意外と作り込まれたサウンドスケープも素晴らしい。この人の今までの全ての曲の中で圧倒的にベストです。

9. Janelle Monáe – Float [Dance Edit]

今年のリスト中で唯一かつ最大のメジャー枠です。この人どのアルバムもおっと思わせる部分あって流石だな。この楽曲のポイントはボーカルのフロウ、節回しが何だかそもそもエディットっぽいのに実際にエディットもバシバシ入ってて、さらにフォルマントもいじってる感じがあり、サンプラーでスパスパとボーカル出してる?みたいなリズミカルな感じがこのホーン入りまくったちょっとダブっぽいトラックに絶妙にマッチしてて、かなりレベル高い音像になってる点。おまけに脇役で一瞬だけ入ってるギターとかまでも相当効いてて、作り込みが凄い。それでいて掴みのキャッチーさもバッチリだし、ビデオはこれでしょ。踊れるし良い曲だしほどほどにメロウなモダンソウルの一つの到達点みたいな一発だね。

8. Water From Your Eyes – True Life

聴いた回数だけで言ったらもっと上かも。4分弱あるが、体感3分弱だからやっぱいい曲なんだろうな。アートパンクになるのか…ポップではないと思うがソニックユース的な系譜に思えなくもない。とにかくまあ、非常にNY的だしちょっと当初の扱いがハイプ過ぎるというか業界ウケまっしぐらという感じで警戒してたんだが、ここで一気に前作より進化して見事花開いたので今作から気を許しました。どれだけエクスペリメンタル装っていても確かにロックの色気とカタルシスがあるところが凄いし、キャッチーだし、それでいて暴れ馬的な部分もなくアレンジもスマートに格好つける優等生。歌詞にニール(ヤング)が出てくるけど、そもそも最初はCinnamon Girlをそのまま引用するつもりだったらしいって本当かよ、戯言っぽいが。

7. Worthitpurchase – Big Canada

太く粗いローファイヒップホップのビートにインディフォークの歌とギターが乗った単純なサウンド。ここまで極端なのは意外とありそうでない感じの質感をしており、うっすらと男女ツインボーカルになった線の細く弱々しい歌唱はどこか感覚の麻痺したような無感動さを讃えていて、じわじわと心を蝕む妙な中毒性のあるムード。家は売られてもう無いし、家族は北に引っ越したから、帰りたくないなっていうコーラスのとこがあまりにも耳に残り、ちょっとしつこいくらいにこびりついてます。まあ、ベッドルームポップなんだけど、ある意味では軽くスロウコア。投げやりなバンド名も非常に素晴らしい。

6. Spiritual Cramp – Talkin’ On The Internet

今回のランキング中で唯一といっていい、ストレートフォワードな疾走ロックに分類されるであろう楽曲。今年のがデビューアルバムということもあり、出るまであまり気にしてなかったのだが聴いてみたら相当に良いバンドで、オーセンティックなパンクロックにサンフランシスコ・ベイエリア感と更にUKのVaccinesとかみたいなチャラめの拳突き上げチューンのいいとこ取りをしているような雰囲気が素晴らしい。これ以上やったらダサくなるっていうところを寸止めで正確に踏みとどまっており、スリル(?)を感じて何回も繰り返しかけてしまう。詩の内容はツイッターとかヤフコメでだけうるさいネット弁慶の方々を揶揄る歌です。なお、この曲にはその要素はないですが収録作LPではちょっとレゲエというかクラッシュがやってたような塩梅のアレンジも取り入れており、他の曲も含めぜんぜん通しで聴ける作品ですよ。

5. Sofia Kourtesis – Si Te Portas Bonito

アルバム単位だと収録作は堂々のTOP3です。こんな手放しで絶賛できる完全無欠の優等生タイプダンスミュージック名盤ってそんなにないですよ。全編素晴らしいですがその中でも1曲だけ選ぶなら本人のボーカルが最も目立っているコレかなと(実際先行切られてましたし)。とにかく無駄がなく洗練されてる、それもひたすらアーバン・ソリッドな要素だけを突き詰めているありがちなモノではなく、土着的でスピリチュアルな雰囲気とラテンフレーバーをブレンドしつつも完全に自然なクールさを保った他にないようなバランス感覚。この先何年経っても聴ける、機能するであろう風格があります。

4. sophie meiers – someone to be there

このルックス、この映像の楽曲をこの位置にはしたくないところなんですが、実際問題さんざ聴いたし音楽としては気に入ってるから仕方ない。あの~、失礼ですが完全に「地雷系」でいらっしゃいますよね?まあそれはいいとして、コーラスの天にも昇るような高揚感と清水以上に透き通った清涼感がこの世のものとは思えない仕上がりでTiktok完全対応のインスタント2分間ポップス令和最新版ドリーム(偽装)煮込み。これをヘヴンリィと呼ばずして何と呼ぶ。ビデオ怖い、怖すぎるよ!

3. Model/Actriz – Slate

この収録作はアルバム単位でもTOP5に入ってます。LiarsとXiu Xiuを合体させて少しだけインダストリアルをプラスした上で典型的なブルックリン風に仕上げた現代版ノーウェイヴ・バンドサウンドってところかな。全ての音がとにかく格好いいし、実のところそんなに暴力的じゃなくてかなり洗練された質感してるので耳にも優しいというか普通に聴き易く、ボーカルもこの手の割には鬱陶しくないんですよ。考えようによっちゃポストパンク化した中期Battlesみたいにも感じて、どこかマスロック風で知的ですらある。ユニットものじゃなく、ちゃんとしたバンドみたいなんでまだまだ良くなりそうだし末恐ろしいね。なお、この前の曲と地続きというか組曲構成になっているのですが、一応本体はコチラかなという解釈です。曲順逆にすれば綺麗に繋がると思うんだけどわざとなのかな?

2. Oropendola – Knocking Down Flowers

この曲は初見で聴いた時から何か不思議な違和感があり、いまひとつ腑に落ち切らない状態のままズルズルと重要な位置に定着してしまった。ビートインまでに1分以上あるのが何気にポイントで、通常であればオールインするであろう箇所でもそのままヴァースをもうひと回し。このクッションが徐々に、じっくりとアリス・ワンダーランド的ムードを醸成するのに一役買っていて、単純な出オチのドリームポップになっていない。出てくる音色の総数の割には実アレンジにおいて意外と引き算ありきだなと感じられる箇所も多く、アナログシンセの面白サウンドや細かいドラムのアレンジなども瞬間瞬間で聴きどころ満載と、もはや偶然出来てしまったかのような雰囲気すらあるがその辺も含めて底知れない魅力があり聴き飽きない。もちろんボーカルが素敵なのは当たり前で、何より必殺の「ハズし旋律」、BE~HA~PPY~んとこは最初しつこいかなと思ったが今はうん、これでいいと調教されました。一生聴くでしょう。“ Can two sticky pendulums be happy? ”

1. Angel Abaya – Better

このベースラインが何度も何度も、トリガーも無く突然脳内に響き出すということがもう数え切れないほどあり、ブレイクなしで駆け抜ける4分ジャストのエンドレスリピート。今年もかなり早い段階でこのポジションはこの楽曲に内定していました。目に見えて特別なものがあるわけじゃないんです。ナチュラルに、ギリギリでレイドバックまではいかずともスロウに、甘く淡くたゆたう。でもこれはドリームじゃない!現実の陽の光の下で確かに覚醒している感覚。非常にSSW然とした構成で決してちゃんとしたバンドでは無いことがわかりますが、全てのフレーズが優しく弛緩した素晴らしいメロディ。そしてディレイのかかったグロッケンのようなバックレイヤーが空間の調整にかなり効いています。アルバム全編もかなり良かったし、実力の割に知名度がまだまだ低いと思うエンジェル・アバヤさん、本当に勿体無い逸材だと思いますので今後もフックアップしていきたい。

あとがき
ここまでやってるともう存在意義というか、いわゆる商業(広告収入の糞コピペor自分の言葉のレビューなし音楽メディア含む)音楽ライター・音楽批評の決まりきった型、様式と文体に対して完全なるアンチテーゼとして機能すべきだと思っており、無駄の多いしゃべり言葉で、経験に基づき自分の主観と感想のみで構成してます。それを求めてきてくれてる方もそうで無い方も居るとは思いますが皆さまありがとう。
もうここで5年半?前身からカウントすると余裕で10年超えてるし意地でほぼ無休で続けてますが、しかしながら、実生活の状況的に来年こそ本気でストップするかもです。そうならないように祈るが。引き続きよろしく!