ボルチモアのノーリッシュト・バイ・タイムがXL Recodingsとサインして新作EPをアナウンスし、そちらから最初の先行曲ビデオを公開。うちで昨年のアルバムもレビューしたし、年間ベストトラックにもランクインさせた彼、あまりにも予想通り過ぎる安定の出世で納得というか安心というかな知らせだね。
さて内容の方ですが当たり前ながらここで基本変わるわけはなく、ほんの少しだけハイファイになったマイナーアップデートバージョンという感じの仕上がりで、アブストラクトでヘイジーなミュータント・シンセソウル・ダンスポップです。
映像も非常に音から受けるイメージ通りで素晴らしい。ちょっとフザけた感じはずっと継続してほしいところ。
Young Jesus – Brenda & Diane
ヤング・ジーザスが引き続きSaddle Creekからの新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。いよいよ完全にソロになってしまったのか?オリジナルメンバーは何年も前からもうとっくに彼だけだったようですが、一応はバンドの体裁なのかと思ってたら今もう写真に一人しか写ってないね。
今回の楽曲はあのボーカルとあのギターが無くなり削ぎ落とされたザ・ナショナルみたいな雰囲気で、ピアノの入ったシンプルなロックの中でいよいよこのボーカルの存在感が際立つワンマンショーのような仕上がり。
相当に内省的でベッドルームっぽさのあった前作(微妙だったのでレビューしてない)の時点で「基本一人で作りました」感は強く、今回もそうなのかもしれませんが、これを聴く限り相対的にはより開けたものになっているようで他の曲も出てくるのが楽しみ。前々作はホント一生聴くレベルの大名盤だったので復活に期待したいです。
SZA – Saturn
シザが先日のグラミーでお披露目(マスターカードのコマーシャル枠という謎パフォーマンス)した新曲のスタジオ音源バージョンを正式リリース。
昨年のアルバムが中々に素晴らしかったですが、今回の楽曲もメロウ路線で美しく甘いオーガニック系のR&Bになってまして編成もギター・ドラム・ベース軸のいわゆるバンド系サウンドでますます好みの仕上がりです。個人的には客演のラップ入るトラックとかはいらんからひたすらにこういう、SSWポップスがR&B寄りになっただけみたいな音楽性のみで1枚作って欲しい。まあ無理な相談やろうけどね。
En Attendant Ana – Magical Lies
パリのバンド、オン・アトンドン・アナ(でいいのかな、バンド名が現地語やめて欲しいほんとに)SUB POPのシングルズクラブ枠から新曲をリリース。
ステレオラブ路線の浮遊感とクラウト的カクカクリズムにジャングリー系ギターポップをブレンドしたバンドサウンドで、方向性としてはそれほど珍しくはないけど実に「上手くいってる」仕上がりからサブポップが単発で出すのもわかる。そして、あくまでも単発なのもなんかわかる。フランスだしね。
この手合いの割になんとなくプログレッシヴぎみな展開がちょっと面白く、最終盤への持って行き方とかわりとナイスアレンジだし、スウェーデンのHaterの一つ前のアルバムをちょっと感じさせる雰囲気で素晴らしい。英語はめちゃくちゃフランス訛りです。
今週のLP/EPフルリリース
José Lobo – In all good Hope (LP)
ベネズエラ生まれブラジル育ちのカナダ在住ときたもんで、スペイン語とポルトガル語とフランス語と英語が全部できそうなルーツ・経歴。さらにPaper Bagからのリリースと、一体どんなモンが飛び出すかinfoからの予想が難しいヤツ。
そして開けてみたその内容は9割スペ語で歌われるローファイ・ボサノヴァ・ベッドルームフォークといった感じの内容で、ディヴェンドラ・バンハートなんかと近しいニュアンスは当然あるけど、もっとなんとなくタッチがインディというか(音楽性としてのインディポップやインディロックの要素は全く無いです)いい意味でのショボさと風情のあるウォームな音像。
これでほとんど弾き語りとか純アコースティック仕上げでもまあ及第点だったけど、更にうっすらとアンビエントの要素というかパッド的な揺らぎの持続音やエレピに近いシンセの上モノ等がそこそこ入ってて、瞬間によってはかなり残響の深いウェットな音空間になるケースもあり、そのさじ加減が絶妙なんです。実際の歌や展開にはほぼレフトフィールド要素がないのがポイントで、なのに前述のようなアレンジが自然に馴染んでるのが新鮮だし、ある意味他にないようなバランス感覚が貴重でかなりオススメ。歌心もバッチリで、基本ソフトだが若干フリークアウト気味にも行ける多才ぶりと隙がありません。
bandcampにもあるんだけど発売日になっても2曲しか公開されてないのでつべで掲載です。