サワー・ウィドウズがExploding In Soundから来月リリースする新作アルバムよりクローザートラックをビデオで先行公開。ベースはサポートみたいでギターボーカル二枚とドラムが本メンバー。でもサウンドにはベース常駐っていうパターンだと3ピースバンドでもトリオでもないし、何て表現したらいいか迷うね。
サウンドの方ですが基本は最近多いSSW系のオルタナ~インディロックにシューゲイズやドリームまでは行かないレベルでほんのり空間系を増し目に効かせた雰囲気の中、ダイナミックに8分超えでグラデーション展開していくどこかスロウコアも感じる音像。
長いですけど長さを感じさせない会心の演奏・アレンジがガツンと決まってまして、スピードや勢いに頼らない強烈なインテンシティの味わい深いアンサブルはバンド音楽好きには非常に刺さる仕上がり。Wednesdayとかともやや近い趣ですかね。
Jordana x Paul Cherry – My Idol
ここ最近コラボ職人と化しているジョーダナさんが今回はシカゴのプロデューサー、ポール・チェリー(現在はL.A.拠点)とのジョイントシングルをリリース。
彼はある界隈での裏ボスというかかなり重要人物のようで、直近ではケイト・ボリンジャーとの連名EPやbob junior(Boy Pabloの兄)とDent Mayとのトリプルコラボも記憶に新しい…と思ったらJordanaもDent Mayの新作で思いっきり起用されてたわってことで繋がるリズム。
さて内容の方はアコギ弾き語りに簡単なストリングスやチープなキーボードが入ってくるほっこり宅録ポップのカワイイ楽曲ですが、スーパースターにデモを渡して無下にされたことにより復讐心をバネに自らが大ブレイクし、元々憧れていたスターに逆にサインをねだられるという歌詞から敷衍させた面白ビデオがセットになっています。
正直ジョーダナさん、キャラ立ってるけど音楽的にはそんなパンチないっていう絶妙な立ち位置なので、客演女王で賑やかし本業のほうがなんかハマってるし今後もこの方向性がいいかもね。多分パーソナリティが凄く魅力的な人なんだろうな。
fantasy of a broken heart – Ur Heart Stops
ブルックリンのデュオユニット、ファンタシー・オブ・ア・ブロークン・ハートのデビューアルバムから新たな先行曲がビデオ公開。
内容の方はこの曲だけに関して言うとリリース文の馴れ初めに記述があるFlaming Lipsというのはまあ言い得て妙というか、頭のネジが外れてどこまでもとっ散らかった万華鏡ドリーム・サイケポップで、生演奏系の宅録バンドサウンド。単なるクレイジー路線ではなくちょっとだけ感傷的なメロディや叙情性が垣間見えてキラリと輝くところが素敵だね。
まぁどう考えてもシラフでは出せない雰囲気だし見た感じでもフリーキーでヤバい人たちには違いなく個人的に近づきたくはない。過去の単発曲にちょっとハイパーポップ風に振っているトラックもあったりでLP全編素晴らしくなるイメージはあまり湧かないんだけど、ともかくこのトラックは良いと思います。
今週のLP/EPフルリリース
Amen Dunes – Death Jokes (LP)
SUB POPに移籍してからの最初のフルレングス作。メロディが特別際立ってるタイプではないので、あまり1曲でどうのこうのというモノではなく、今回も先行曲がポツポツ出てたの全部聴いてたけどまあ何かちょっと変わったな位の感じでいた。
ライナーにエレクトロニックに振りましたっていう感じの記述があって、実際のところ全体的にそうなっているというよりはアレンジのバリエーションが明らかに広がり、構成がややアブストラクトになっていて、曲によっては最早しょぼいBen Frostみたいになってるトラックもある。でも何だかんだちょっとサイケなフォークロックっていう土台を完全に崩してはいないし、基本的に煙たくて土臭い雰囲気は残っているのでカラーも変わってない、漠然としたイメージやサウンドシグネチャーの印象はそのままで開放感がアップしてるバージョンで、仮に今までの積み重ね無しにニューカマーの作品としてこれ聴いたとしてもおそらく良いと思うであろう内容なので理想的。
どうやら自分の中でこの名義のイメージに囚われ型に嵌まっていたのを開放した、というような話みたい。元々こういうのも好きなんですと自然に己の中にあるテイストを除外せず自由に採用したのかなと思うけど、結果的には大成功でしょう。確かにもうこれはSacred Bonesって感じじゃないし、サブポップだとしっくり来るような部分もあって、このベクトルと移籍自体どっちが先行してこうなったのかわからないけど、何にせよ面白いなと。
youbet – Way To Be (LP)
昨年出ていた先行のオープニングトラックM-1がかなり良い曲で、確か当時紹介した。全体聴いてみた感じなかなか素晴らしくて、想定以上です。
おそらくパーマネントなバックバンドがいるタイプのソロミュージシャンで、んま〜基本はオルタナというかもうダウナーで精神的に心配になるタイプの音楽。でもサウンドの量感はそんなに重くなくて、たまに深く歪むにしろ基本はフォークロックなのである意味Alex Gとかの系譜ではある。中性的で線の細いボーカルと胸にグサっと来るセンチメンタリズムが散りばめられたコンパクトな楽曲群はあまり引っ張らずサクっと展開して終わる小品集で、間違いなく鬱っぽくはあるんだけど通して流しててしんどくないし、程々に軽さもあっていい。
本人のルックスとか雰囲気的にもハイパーだったり過激なエレクトロニックにいきがちなタイプに見えるけど、意外と、というか実のところほぼ純粋にオーガニックなマテリアルだけで構成された正統派宅録インディな一面があり、なんかbar italiaみたいな部分もあるし曲の粒がいいんで音楽として結構マトモなんで割と広くに訴求できるポテンシャルあるんじゃないかな。