GVVC Weekly – Week 287

Nilüfer Yanya – Method Actor

Ninja Tuneへの移籍を発表してから1曲だけシングルをリリースしていたニルファー・ヤンヤが3rdアルバムを正式アナウンスし先行曲を公開。先のシングルも当然収録です。
やはりこの人は一発で識別できる唯一無二のオリジナリティだね、オルタナが強く入ってダウナーでメランコリックな雰囲気は常にあるものの、ネクラ文化系のソレではない、良い意味でもっとたくましくてストリートでクールにやさぐれた風情がある。それなのにまるでヤンキー系ってわけでもなく本当に格好イイと思います。
今回はグラウンド・ビート風のリズムトラックに普段よりグランジ成分がアグレッシヴに来る不穏でキツめなオルタナ・ソウルの楽曲で、片やヴィジュアライザーの映像と本人の歌唱は軽く涼しげというミスマッチングがおもしろい。声も特徴的だし見た目も存在感抜群、今まで駄作もなくクオリティも常に安定してるとなるともう減点する箇所がないよ。ホンマもんの超一流でしょう。


SPIRIT OF THE BEEHIVE – LET THE VIRGIN DRIVE

スピリット・オブ・ザ・ビーハイヴが引き続きSaddle Creekから新作アルバムをアナウンスし先行曲をビデオ公開。
路線は今回も普段通りで基本はオルタナがベースにありながらもサイケやミュータント的ストレンジネスがふんだん盛り込まれた一筋縄ではいかない構成・アレンジメントのアートポップになってますが流石(?)一発目の先行シングルか、ひたすら完成度が高く実に説得力のある仕上がりです。
個人的にオートチューンが苦手なので少しでも入ってる時点でいつもほぼ足切りしているが、今回のはギリギリセーフかな!


Hundred Waters – տալ

一切のアナウンスや先行曲なしにサプライズでリリースされたハンドレッド・ウォーターズの4曲入りEPからオープニングトラックをセレクト。
厳密には最新のマテリアルではなく、最高傑作2ndアルバムのセッションからのアウトテイク集のようですが、流石に最盛期の輝きがパッケージされた美しいアンビエントR&Bのようなトラックで、非常に秀逸なイントロダクションとして機能してます。
この人達ちょっとひねくれたところがあって、この雰囲気のままひらすら流麗なフルレングスを一枚作って欲しかったな。なおシンガーは最近ソロ作をお披露目したりとバンド活動は事実上停止状態にあるようです。


Los Campesinos! – 0898 HEARTACHE

ロス・キャンペシーノスが来月リリースする新作アルバムから三つ目となる先行曲を公開。ずっとウィチタのイメージだけど、今回7枚目にして遂に完全自主みたいです。
このサイトで紹介したことは無かったと思うけど、まぁ1stは今でもたまに聴くし、間違いなくオリジナリティというかこのバンドにしかない味というのはある。Heavenlyカヴァーしてたりと、ジャングリーやギターポップのニュアンスが強いけどもっと賑やかでエモも入っているという不思議なバランス。芸術点が高かったりクールな音楽性では全くないが大味ながら歌心があるし、相変わらず愛嬌たっぷりなのがいいね。LPの曲数が多い芸風も継続。

今週のLP/EPフルリリース

Cola – The Gloss (LP)

Oughtの1st以降ではソロも含めてアルバム全体として一番ダレずに聴けるかな。シンセすら一切入らない純粋なギター・ベース・ドラムと歌のサウンドは詩人のポストパンクって言ったらいいのか、間違いなく核である特徴的なリリックのボーカルは喋りパートとしっかりしたメロディとの行き来が絶妙でメロディアスになり過ぎず、かといって辛口過ぎずで飽きずに追えます。
全体的にオルタナやポストハードコアも微かに感じさせる仕上がりで、アンサンブルはそこそこストレートというかそんなに捻れてはいないし、中でもM-8は特に毛色が違うと思ったらEvan J Cartwrightがギターにチェンジらしい。ソロ作も出してる彼の存在が元Ought二人とシナジー大きいのかもです。でも個人的にはやはり先週に掲載した1曲(M-2)の存在感がデカいかな。もっとこういうのやって欲しい。Fire Talkっていいレーベルだね…。
ちなみにEvan J Cartwrightがリードギター弾いてるのはクレジットではTrack 9となってますがライナーの文章ではNice Try(Track 8)だと書いてある。どっちやねん、音色的にまず後者だとは思いますが。