チューリッヒのSSW、メリーナ・ノーラが来年春にMouthwatering RecordsからリリースするデビューEPより最初の先行シングルを公開です。
全くのノーマーク新人ですが、ちょっとカタイ感じのスイスドイツ語で歌われるソフトなインディフォークロックで(カタイのかソフトなのか…)わりと洗練された几帳面な感じのアレンジとサウンディング。
なんというか、最近のThe Weather Stationの路線からアーティスティックで凛々しい部分を取っ払ってどこまでもマイルドにしたような雰囲気で、英語で歌われていればいかにもKeeled Scalesとかからリリースされそうな音楽性です。つまりワタシ好みって事なんだけどもね…。
正直、全編ドイツ語なので内容は何言ってるか全くもってわからないですが、デビュー曲とは思えないようなクオリティで、これ普通に英語で歌われてたらもっともっと聴き易いのにな。奇跡の一曲でない事を祈りつつEPの全貌が楽しみです。
Cameron Winter – $0
Geeseのフロントマン、キャメロン・ウィンターが来月リリースするソロデビューアルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。
先月出ていたシングル曲は収録されないようですが、方向性としてはその延長線上であり本体バンドの音楽性にも通じるモノを順当にプライベート化したような趣の作風。なんというかフリークフォーク〜アートポップっていうラインで、よりイカれてちょっとショボくなったRufus Wainrightみたいな感じに仕上がってます。めっちゃ歌えるんだね。
最初のウゥ〜は要らないようなやっぱ要るような…バンドも何処かおどけたというか、人を食ったような部分が若干あるので納得というかいかにもこの人らしいっすけど。ジャケットも意味不明。そしてタイトルはHeavy Metalです。ともかく音楽は中々良いと思いますので、期待できそうですよ。
Horsegirl – 2468
シカゴのホースガールが来年2月にリリースする新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
もはや流行り過ぎてしまっているオルタナロック的音像から脱却し、完全に新しい方向性を模索した内容のようで、特にこのトラックを最初のリード曲に持ってくるのはなかなか攻めたマーケですね。
ちょっとチェンバーポップ〜ジャングリーみたいな方向性にエクスペリメンタル成分を追加したようなサウンドになってまして、Cate Le Bonがプロデュースということでなるほど納得な仕上がりなのですが取って付けたような雰囲気は出ておらず非常に自然。最初からこの音楽性だったと言われても信じれる感じで、まだ若いからどうにでもなる柔軟性があってとてもいいね。他の曲どうなっているのでしょう。
The Franklin Electric – Harvest Moon Featuring Lila Dupont (Neil Young cover)
説明不要ニール・ヤングの超・超・超大名曲をモントリオールのザ・フランクリン・エレクトリックがライラ・デュポンを客演に迎えた男女ツインボーカルスタイルでのカバーを公開。
これはいいカバー。Poolsideのアレもいいカバーでしたが、全然別ベクトルで素晴らしく美しい。まずこの曲デュエットでやるっていう発想がなかったよね、無限にカバーされてるだろうから他にもあるかもだけど。
内容的にはしっとりとしたインディフォークっていうプロダクションで語る部分は少ないですが、残響処理はウェットに、絶妙にドリーム成分を付加したようなバランスで原曲のパワーを引き立てるアレンジになってます。
今週のLP/EPフルリリース
FATHER JOHN MISTY – Mahashmashana (LP)
今年ベストアルバムまで出してた上でのオリジナルフルレングスはこれで6th。うーんやっぱり凄いな。個人的には過去一番ダレない、途中でかったるくならないって意味では最高傑作な気がします。
よく読んでくれてる人らならわかると思うけどそもそも基本的にはあまりワタシ好みの音楽性ではないし、これまで明確に好きと言えるのはI Love You, Honey Bearだけ。本人と聴いてる音楽が泣ける程まるで被ってない(ニール・ヤングくらいか?知らんけど)のがわかるのと、そもそもこの風刺的な歌詞世界、音楽性も含めてこれアメリカ人かつ、それなりのキリスト教徒でないと真の意味で鑑賞することは難しいんじゃないかと思うね。
その上で、このケレン味と滑稽さとロックスターと表現しても差し支えないような風情、ほとばしる自意識も正直めちゃくちゃしんどいんだけどなんかムカつきはしないというか許せる。文化を超えて到達するにはやり過ぎてるくらいがやはり丁度いいのか、ここ極東で聴いてもまことにこれはロックでしかないし、最早オルタナティブではないですよね。でも認める、すごくいい作品だし、彼は正真正銘アーティストとしか言いようがない。しかし、なんていうか、最終的にはライブありきだよな。おれでも観たいもん。そんな好きじゃないけど観たい。まぁ、そんなところです。