GVVC Weekly – Week 49

ANNA MEREDITH – Paramour

アンナ・メレディスの新作アルバムから最初のトラックが素晴らしいビデオとともに到着。
昨年はクラシカルに傾倒したアルバムをスコットランドのアンサンブルと発表してましたが
今回は元々のサウンドに戻っており、アカデミックな素養も感じさせる、カラフルで多彩な
コンポジションをBPM速めの半人力エレクトロに落とし込んだ音楽で、ともすればこれは
ハッピーハードコア的にも聴こえるような一曲。映像はプラレール的なものにカメラを載せ
張り巡らされた線路を取り囲むように配置された楽器とメンバーがリアルタイムに当て振り
していくスタイルですが、これがありそうでなかった、かなりダイナミックな仕上がりで
めっちゃくちゃ面白いです。中盤のシンバルを叩き出す辺りからの躍動感とか、凄いですよ。


HTRK – You Know How to Make Me Happy (Official Video)

フルアルバムとしては約5年ぶりとなるヘイトロック新作から、最初の先行曲がビデオ公開。
この人達はいっつも格好いい。完全に”コレ”という独自のシグネチャーサウンドがあるし、
存在感が際立ってる。まぁ決定的なのはやっぱりボーカルなんだと思うんですけど、それが
漆黒の音楽ばかりが好きな筋の人にも、シャープなエレクトロニック系の筋の人にも届いて、
さらにはもっとライトでソフトなものへのニーズにも対応するという間口の広さを誇ります。
確かに尖りは感じるけど鋭すぎないし、アトモスフェリックで、程よくアンニュイ。お薦め!
昨年2曲入りのシングルをふたつ出してましたが、そちらからも計2曲が収録されています。


Maria Usbeck – Nostalgia

マリア・ウスベックのニューアルバムから新たな先行曲が公開されました。前回シングルは
1st路線の曲なのにトラックだけオーガニックでなくしたようなチグハグさを感じましたが、
今回はCASCINE印のシンセウェイブとソリッドなリズムマシーン・ビートの上にお得意の
スペイン語ボーカルが緩やかにたゆたう楽曲で、ちょっと他にないニュアンスが発現してる。
1stの内容が良すぎるので、個人的にはちょっと違うかなという今回のサウンドなんですが、
セレブリティズのボーカルのソロ作と考えるとこちらの方が自然とも言えますよね。これは
凄くいい着地点だと思うし、この楽曲はミックスも良く、特にボーカルがすごい活きてます。


Chastity Belt – “Ann’s Jam” [OFFICIAL VIDEO]

チャスティティ・ベルトの新作は引き続きハードリー・アートから。バンド名が凄すぎて、
それでいて全員女性バンドって事から、ちょっとライオット系の印象でガサッとした感じの
陰ったインディ・ギターサウンドの中にキラリと光るメロが特徴でしたが、何か変わった。
今回の楽曲はひときわスローで、楽しそうなビデオに対してやや感傷的に始まるLPの1曲目。
ポストHC系のバンドやってたボーカルが枯れて始めた歌モノ系によく出てるある種の滋味
みたいなのが感じられる、タイムレスで凄く誠実な深みのある音楽になっていて、泣けます。


Jenny Hval – Ashes to Ashes

ジェニー・ヴァルの新作もレーベルはセイクリッドボーンズのままですがめちゃ変えてきた。
今回はなんと北欧系のエレ・ポップとでも言いたくなるような朗らかドリーム優しい世界。
何よこれ、あんた破天荒系の女傑とか、殺伐とした吸血鬼キャラみたいな感じだったよね?
ジャケットのノリだけは普段のまま。まぁ、近作のイメージを知ってて聴いたら面白いし、
これはこれで悪くないんですが、どこか腑に落ちねぇんだよな。実際にノルウェーの人だし、
今までもこういう側面を全く感じない訳じゃなかったんですがさすがに別物すぎて大丈夫?
でも、そういえばMoon Duoも柔らかくなってたし、レーベルの方が変わってきたのかな。


Queen of Jeans – Get Lost

トップシェルフがリリースするジーパン女王の新作アルバムから、先行シングルが出ました。
歌心のある等身大な奴でLucy DacusとかLiza Anneあたりと同じような感じと言いますか、
あまり本当のバンドっつう感じのサウンドではなく女性SSWの実質ソロみたいな音楽です。
抑揚のないまま淡々と進み後半ガバっとドラムが躍動して展開するっていうテンプレ楽曲で
全てにおいて目新しいものは何もないですが、このボーカルはなかなかに素敵じゃないかと。
それを際立たせる為だからこそのこの内容とも言えるし、こういうのはどれだけいてもいい。


The Messthetics – “Better Wings”

ディスコードのメスゼティックスが昨年リリースした1stに続き、2ndを出すみたいです。
当初フガジのブレンダンとジョーラリーが新しく始めたバンドということで、その情報から
安直に想像するものとはちょっと距離のある音楽となっていましたが、今回はより派手に、
火花散らしながら直線的に突っ走る順張り爽快感の音楽をやっていて、かなり勢いがある。
USエモ・ポストコアがインスト化して超テクのリードギターがドヤってるようなサウンド。
ギター上手すぎると思ったらガチのジャズロック・フュージョン系の人連れてきてた模様。


Bon Iver – Faith – Official Lyric Video

ボニヴェ帰ってきました。わけわかんないカニエみたいなオートチューン路線は終了です。
元に戻ったわけではなく、やや暑苦しさが増してまして、エレクトロニック装飾のビルドや
特色のファルセットは相変わらずですが、全体的にブルージーというか、大地の生命力とか
力強さを感じさせる作風に。本人も、今までで最もアダルトな作品と謳っているようです。


Teen Runnings – Baby G (Official Video)

お馴染みSauna Cool主宰者、金子くんのメインプロジェクト、Teen Runnings新作から
先行曲の一つが本人お手製のミュージックビデオで公開!常夏の似非レゲエビートに乗せ、
スウィートだけど何処かねじれた神経症メロディがこだまするセカンドライフ的3D世界に
所々リアル金子くんがポップアップして、サウナクールミニの番人ファービー人形も登場。
発売後にアルバム全体のレビューはまた別でやりますが、曲+ビデオが良すぎたのでこちら
ウィークリー枠でも載せときます!この感覚ある人他にいないですよ。歌モノなのが重要。