GVVC Weekly – Week 76

U.S. Girls – 4 American Dollars (Official Video)

来月発売、USガールズの新作アルバムから2つ目の先行トラックがビデオで公開されました。
コレは凄いでしょ!グゥの音も出ないというか、ああだこうだ褒めること自体が滑稽になる
レベルで完成された音楽。前回と合わせての2曲だけでも名盤確定、ここまでやられると
興奮とか通り越してもはや青ざめてしまう…。凄腕セッションミュージシャン達との演奏が
完全にプラスに作用しており、ナタリー・プラスあたりがやってるようなサザン・ソウルを
かろうじてインディ・マナーに沿いながらモダーンにアップデートしたものになっています。
文句のつけどころがないstunningなテイクの中でも、特に”ガチ過ぎる鳴り”してるのは
ラテンパーカッションの100点満点の演奏で、こんなに素敵なボンゴ聴いたことないですよ。
映像は”モジモジくん”達によるブルースクリーンとコレオグラフィー?の作品になってます。
メグ・レミー本人も入ってますが、雰囲気的に多分この人達が演奏メンバーな気がしますね。
アメリカの経済をシニカルに嘲った歌詞で、1曲目に配置ということで本人も自信作なはず。


Stella Donnelly covers John Paul Young ‘Love Is In The Air’ for Like A Version

ステラ・ドネリーが地元の官営ラジオ、triple jのLike A Versionシリーズに登場し、
オーストラリアのスコットランド系SSWジョン・ポール・ヤングの代表曲をカヴァー。
これは、AIR FRANCEのアドにも起用されたGlass Candyの代表曲がパクリというんで
訴えられてた件の元ネタでございまして、個人的にはシロ寄りかな?と思うんですけどまぁ…
ホントのところはジョニーに聞いてくれ。で、肝心のステラはここまでボーカルがイイと
もうさ、何も言うことはないよ。この歌の存在感だけで既に”音楽”になってるというか、
インディとかいう範疇も超えてるし、ただただあっぱれ。最初の座ってるカットも◯。
原曲もやはり一発屋の一発というだけあって素晴らしいですが、並ぶくらいの代物かと。


Fake Laugh – Near You (Official Audio)

さすがに軽すぎる音楽かなと思ったけど、不思議と魅力的で、どこかラブリーな曲ですよね。
これ、ベースとミュートギター、ドラムまでが馴染み、一体となってポコポコ言いながら
リズムを刻んでく中でね、ボーカルは恐ろしくアタック音を感じないマイルドな鳴りしてて、
ストラクチャーとしてはなんか主旋律がむしろレイヤーみたいな立ち位置なワケよ。面白い。
バンド名と音が合ってる気がするしなんだかんだつかみは良くて、初見から2コーラス目には
もう、つい一緒に歌っちゃう、それって大事さ。バラドゥンヌォワットゥドゥウウウウ~♪
But I don’t know what to do every time that I’m near you


Rolling Blackouts Coastal Fever – Cars In Space (OFFICIAL VIDEO)

ローリング・ブラックアウツ・コースタル・フィーヴァーの新曲ビデオがSUB POPから。
ジュリア・ジャックリンがビデオのディレクションに絡んでいるらしく、OGコミュニティを
感じますね。今回も昨年のシングルに引き続き単発で、アルバムのリリース情報などは無し。
この人達はいつも、ある程度以上いいよね。軽さはあるけど、軽薄過ぎず、ちょい小洒落てて
ほどほどのストリート感もあって、コンパクトにまとまってるロック。お手本みたいですな!


Johanna Warren – “Bed Of Nails” (Official Music Video)

ポートランドのSSW、ヨハンナ・ウォーレンの新作アルバムから最初の先行曲ビデオ。
針のムシロということで、輪郭のはっきりした妙な冷たさのあるモダン・フォークロックが
意外に多彩なサウンドレイヤーと共に徐々に盛り上がっていき、心にグザリとくる一曲です。


Izzy Camina – Kill Your Local Indie Softboy (Official Visualizer)

マッチョイズムに対しての、ソフトボーイズム。特段ディス・ソングではないようで、
愛を込めての揶揄というか、冗談ですね。しかしソフトボーイズムってパワーワードだねえ。
本人がそう言ってるので…つまり、はなわ某よろしく田舎では”マジでヤンキーがモテる”
状態だったところ、都会に出ると今度はフェミ男、メトロセクシャルの巣窟だったりする。
その傾向はどこの国でもある程度同じで、そういったphenomenonとしか言いようがない。
前の曲は確かこんな感じじゃなかったはずだか、ソフトボーイの風に当てられたのかしら?
最後の30秒とかになって初めてアタックの強い音が入ってきてそれが鮮烈に響くから、
喉が乾き過ぎてる時に飲むお水みたいな効果出てるね。わざとかは知らんけどさ。


TOPS – Witching Hour

新作アルバムから2つ目の先行トラックです。なんだかポリスみたいなはじまりで、その後も
何かが今までと違う。やっぱ録音だと思うんだけど、全体的な音像のイメージ、肌触りが
随分と変わってて、前回の曲でも言ったけどちょっと没個性的な方向性に感じるんですよね。
イイはイイんだけど、この曲も正直知らずに聴かされたらTOPSと気付かない可能性あるし、
これがトップス!っていうサウンドが、楽曲とジェーンの声だけでどこまでいけるかって話。


The Strokes – At The Door (Official Video)

このバンドは正直、いろんな意味であまり深くコメントをしたくないところではありますが
ここ最近ちょいイロモノみたいな扱いになってきてからの音源ではこれ一番いいと思うし、
置きに行くのとやる気もないのとで自己模倣の再生産マシーンと化すベテランが多い中、
ちゃんと革新し続けるのは偉いよね。相対的にはリスキーな選択をしてるということだし…。

今週のLPフルリリースは3枚

Steve Buscemi’s Dreamy Eyes – Sweetie (LP)

先行トラックの時はPRキャンペーンをガンガンしてたのに、ひっそりと出たね。
やはりリードシングルは前年とかで、年をまたいでのLPリリースはするべきではないと思う。
聴く方にも心構えってのがあるわけで…。内容は期待通りくらいには素晴らしい。
リード曲でも思ったけどギターの音がやけにいいんだよ、音作り的には別に珍しくないけど
なんか鳴りに特別なツヤがある、謎です。北欧にありがちでちょっと小綺麗すぎるけどまあ、
そこは仕方ないか。曲単ではM-1がやっぱ圧倒的すぎて黙っちゃうね、他と差がありすぎる。


Mush – 3D Routine (LP)

先行で出てたM-1,M-2が抜けてて、他明らかに捨て曲が多いのと、振り幅が少ねえー。
これだったら割り切って3分くらいのばっか9曲とかで纏めたが良かっただろうね。
ハイプありきでアルバム出しとけってのもいかにもUKらしくてその辺がUSに勝てない
根本原因の一つだし、UKの方が日本と親和性ある理由でもある。


Cindy Lee – What’s Tonight To Eternity (LP)

これは期待してたよりもめちゃ良かった。先行曲のイメージで、全体的にああいう感じかと
タカくくってたが、ノルタルジアとノイズってだけじゃなく意外ともっと深い音楽性を展開。
エクスペリメンタル気味のトラックも鬱陶しくない範疇に収めてて、自己満な路線じゃない。
鬼才っぽさと、ロマン、センチメンタリズムに男の不良感というか色気まであるという、
モテる奴のフルコースみたいな性質で、ナードな宅録ではなく明確にロック。これね、
プリオキュペイションズ側にこいつも居たらどんだけ良いの作ったかと思うと本当残念。