GVVC Weekly – Week 90


Khruangbin – So We Won’t Forget (Official Video)

歌が入り、かなり様変わりしてきたクルアンビンの新作から素晴らしいビデオが出ました。
もうここまでくるとこのバンドと思わない音で、粘っこいもやもやとコーラスのかかった
クリーンギターが舞うミニマルなトラックは軽く爽やかさすら醸す、静かに踊れる楽曲。
映像の方はあのワイデンアンドケネディの東京支部制作とのことで非常にらしい仕上がり。
狙いすぎの順張りプロットは、いかにも最高峰クオリティの広告代理店の仕事って感じで
正直しゃらくささも感じるが、不思議と楽曲にマッチしているし、泣けるじゃないですか。
しかしあのエキゾチック・サイケ・ブルースみたいなのが一転コレってどういうことなの…。
ある意味Tame Impalaとも互換性あるような音楽になってるし、正統進化とも言えるのか。

Madeline Kenney – “Sucker” (Official Music Video)

どんどん良くなるマデリン・ケニー、2018年の傑作アルバムに続く新作から最初の先行曲。
ラムチョップのカート・ワグナーがゲスト参加というのも納得で、ますますオーガニックに
穏やかな音楽性に進化していますが、この人の独特な清冽さ、フレッシュな切れ味によって
枯れた雰囲気のものになっておらず、ハッキリとした薄味というか、もぎたての果物のよう。
この一曲だけで今回も一定以上の出来であることはもう疑いようがなく、期待大であります。

Girl Friday – Amber’s Knees: A Matter of Concern [OFFICIAL VIDEO]

昨年のEPが素晴らしかったガール・フライデー、ついにフルアルバムが8月に出るようで、
そちらから最初の先行曲ビデオが公開です。やはりこのバンドは凄い、ドラムがいいのか、
多分ミックスの妙もあると思うけど、おそろしく全体の演奏が纏まって聴こえるんですよね。
完璧な粒ぞろいと絶妙なボトム感で、楽曲の軽快さを際立たせてます。もう少し重さというか
凶悪な面も見せてもらいたいところではありますので、全体像に期待です。Hardly Artから。

Lucy Rose – Question It All/White Car

ルーシー・ローズの新曲が2つ出てまして、従来のイメージからすると随分とアダルトで
ムーディな路線の音楽に。ブラシドラムにフレットレスベースの相当ジャジーなサウンドは
幾分まだ乗りこなせていないですが、これはこれでいいんじゃないでしょうか?雰囲気は
Question It Allが控えめながらも軽くビート感のあるA面的な楽曲で、White Carの方が
アブストラクトなB面的トラック。1stから一応聴いてきてるけどたまにいい曲あるし、
大人っぽい感じも十分いけますね。この編成でここに、1,2曲だけキャッチーなの入れて
アルバム尺にするとなかなかいい作品ができそうなので期待したいところではあります。


OMNI – Constant Reminder

オムニのアウトテイクが企画シングルで単発リリースです。らしさがコンパクトにパッケージ
された、すごく名刺代わりになるような一発で、非常にいい。リフが普段より幾分ワイルドで
前々作アルバムのセッションで録った没曲らしいけど、正直アダルト・スウィムで出さないで
プロパー作に収録した方がいいっていう感じ。なぜ外したんだろうね、言う程浮いてないし。

Thanya Iyer – Always, Be Together

ターニャ・アイヤーの7月リリース新作アルバムから公開された先行曲は、少しジャジーな
アレンジのチェンバーポップを土台として、ややエクスペリメンタルな装飾を施した北欧系
ソフィスティケイト・ポップともとれる楽曲。欧州クラブジャズ界隈にこの手の音楽あるし、
かなりそれに近いんだけど細部の質感というかやはりインディ範疇なものであるのと、これ
まさかのTopshelfからということで絶妙に謎な存在なってます。相当アーバンな響きである
にもかかわらず、実質的なエレクトロニック度は限りなく低い所も重要なポイントですかね。

Julianna Barwick – Inspirit (Official Video)

ジュリアナ・バーウィックの新作が出ます。もちろん悪くないんですが、正直いうとこれは
物足りないかな。ボトムが少し重厚になったかもしれないが、悪い意味で何も変わってない
というか、個人的には前作もややイマイチだったので、今のところ明らかに2ndが最高傑作、
あの感じからもうちょっとオーケストラルな要素を入れて控えめながらも僅かに華美に装飾
していって欲しかったですが、逆に削ぎ落とす方向に行きましたね。全体を聴いてないので
何とも言えないところではありますが、Nepentheでやったみたいに多少はドラマチックな
旋律を仕込んだ方がいいと思う。クワイヤー的なドローンだけで押し通すのは限界があるよ。
ただね、このビデオ映像がものすごくいい。音に合ってるし、ドローンによる空撮がなんか、
ナショナル・ジオグラフィック的オープンワールドで本人が操作キャラよろしくフィールドを
駆けてるシーンとかPRG感ハンパない。グローリアチャペルで観たライブが印象に残ってる。

Brandon Boyd – Myth (Beach House cover)

インキュバスのボーカルがビーチ・ハウス大名曲をカバー。最初その文字情報で、ウヘェ
良くなさそうと思って不意に聴いたらなんかいけた。まぁ、思うのは、ビーチハウス凄え。

Carly Rae Jepsen – This Is What They Say (Official Audio)

やっぱりなんかカーリー・レイ・ジェプセンは悪くない。なんでなんだろうな、余程声が
いいのか、それだけじゃない気がするんだけど分からない。悪くないどころが滅茶苦茶に
素晴らしい曲もたまにあるしね。今回はそこまでじゃないが、昨年のアルバムからB面集が
新しく出たので、その中にもちょいちょい聴けるのがあるんだよ。正直何も深い意匠って
ここにはないし、ただそこにあるだけのポップスなんだけど、いい感じの駄菓子というか。

今週のLPフルリリース

Owen Pallett – Island (LP)

6年ぶりの、それもcovid-19流れではなく元々仕込んでいたはずの本気の新作を突如発表と、
それが勿体無い位の出来で、過去作のどれよりもアコースティックな響きの、生きた音楽。

エディット感が希薄ってことで、アンプラグドっていうとどうしても弾き語りみたいな編成
もしくはジャズ系のピアノコンボとか想像しちゃうけども、室内楽ってものがあるわけでさ、
そこにインディのマナーとボーカルが入ってくると、まぁこういう形に帰結するんだけど、
絶対数が少ないんだよね。ここまでガチなものは特に。いわゆるチェンバー・ポップって
いうのが近いところではあるんだけど、申し訳程度に管弦隊のメンバーがいるってレベルの
それよりも真にオーケストラルに、でも大仰にならない程度にとどめた、本当に洗練された
インディポップともまだ言える範疇のサウンドで、絶対に他にないバランス。

これは正直スコアを書けないと難しい部分あるし、こんな内容を実現させられる環境って、
そもそもの生まれまで影響してきちゃうから、何重の意味で誰にでも作れるモノじゃない。
心底憧れるし、前から薄々感じてるのが、多分これが全てを兼ね備えた完成系なんだよね。
クラシックと、インディ・オルタナの理想的な折衷案が提示されてる。
しかもそれが頭でっかちな物じゃなくて、上品にポップで、おまけに煌びやかさまでもある。

元来、派手さを付加するために電化したのが行き過ぎて、コンプで潰れた音が普通になり、
ダイナミックレンジが損なわれ過ぎて、電化した音楽はむしろ抑揚がないだけって感じにも
なってきた。限界を感じるわけよ。だから
アコースティックが音楽の本来の姿なんだし、カルチャー化し切った後の音楽もちゃんと
取り込んだ、こんなコンポジションで、突き放してなく、派手さもあるんだったら文句ない。
でも録りやミックスも含めて、きめ細かくて上品すぎる向きはあるから、サラサラと耳を
通り過ぎていってしまう雰囲気はあるから、そこが弱いかな。いやにエアリーなんだよね。

FINAL FANTASYから改名した(させられた?)頃の時点で、正直これが聴きたかったんだが、
ようやくやってくれたね。10年もかかったが、ありがとうしかないよ。
弦楽隊パートはアビーロードでライブ録音、他をオーバーダブしていってるみたい。
自主ではなく6年前に引き続きドミノからのリリースとなってます。最高傑作、太鼓判です。


Deb Never – INTERMISSION (EP)

これもサプライズでリリース。こんなんだったかな?なんかもっとR&Bとかトラップ系の
ビートをバックにしていたような印象があるけど、完全にオルタナシンガーになっちゃった。
quaratineの期間で録り貯めたっていうんでそれも影響してるのかもしれないけど、すごく
プライヴェートながらも、ちょっと外に開けた人懐っこさがあっていい。謎に音がよくて、
バックトラック入ってるやつよりほぼエレキ弾き語りみたいな構成の曲の方が、より聴ける。
大体全部3分未満だし、インタールードとボーナス込みで8曲のEPだね。M-3は名曲に認定!