GVVC Weekly – Week 93

Dehd.- Flood (Official Video)

来月リリースされるデッドの新作アルバムから二つ目の先行トラックビデオが公開です。
今回はいつものドラァグ・クィーンは登場せず、ボーカルのエミリー・ケンプ独壇場。
こういうガサっとしたサウンドなのに甘く鮮やかで、然程やさぐれた感じが出ないのは
本当に声と歌唱が素晴らしいからで、古めかしいテイストも相まってか、この曲とか
軽くAngel Olsenみたいな路線にも聴こえるし、他にない存在。今かなり好きなバンドで
若干ルックスがおっかないんですが、Mamalarkyといい、最近のFire Talkは益々ナイス。


Julianna Barwick – In Light ft. Jónsi (Official Video)

ジュリアナ・バーウィックの新作から2つ目の先行トラックも美しいビデオで登場です。
今回はなんとシガー・ロスのヨンシーをコーラスに起用ということでサウンド的には
全く違和感ないですが、ちょっと濁りを感じて個人的にはあまり効果的ではないような
気がします。しかも彼女の楽曲でドラムというか、明確にアタックが存在するような
誰もが打楽器もしくは破裂音と認識する音が入ってるのって初めてじゃないですかね?
少し大味になってるし、態々ヨンシー使っといて、あのハイトーンボイスは出させずに
後ろで低めのところに徹してるのがますます謎です。でもまあ普段のスタイルからして
異色な楽曲にはなってるから、LPの流れ中で配置したら締まるだろうし、その役割かな。


Dead Rider “The War In My Head” (Official Music Video)

シカゴのデッド・ライダーが新作シングルを発表。アルバムのリリースなどには言及なし。
元々ちょっとサグいイメージのオルタナ・アヴァン・エクスペリメンタルロックみたいな
音だったので、今回冒頭が勢いエレクトロニック系の土台になってて男版Fever Ray的な
感じにも聴こえてたが最終的にはいつものサウンドになるね。確か2014年のアルバムが
凄い好きで、要素一つ一つ見ると人懐っこくない音楽性だけど、アブストラクトな部分が
少ないというか、割とサービス精神のある楽曲構造だから個人的には聴きやすい。表面上
ゴロツキ味を出してるだけのポストロックとも言えるし、Drag Cityからなのも納得です。
映像の方が、ほぼビジュアライザーというか、シンバルをカンバスにマーブリングしてる
ようなものだけど、シンバル直にってコレ意外と他で見たことない気がして、いいですね。


Pillow Queens – Handsome Wife

ピロー・クイーンズの9月にリリースとなるデビューアルバムから最初の先行曲ビデオです。
陽の光と開放感、ダイナミックなアンサンブルでかつスタイリッシュに仕上がった佳曲で、
ギターポップ的な甘いフィーリングも湛えたファジーなオルタナサウンド。かなり骨太系
なのに柔和というかしなやかで、すごく魅力的。ギターの音が異様にいいけど何でだろ?
なんかダニエルがいた頃のYuckをちょっと思い出すようなところも。夏に聴きたいねえ。


rum•gold – Fix Me (Acoustic Sketch)

ブルックリンのラム・ゴールドが新曲をリリース。これが、本っ当に研ぎ澄まされていて
恐ろしくいいね。もう完全なる弾き語り、それもバッキングも控えめの独唱に近いソレで、
アトモスフェリック・ソウル・シンガーまさにな内容。普段ビートが入った楽曲なんかも
やってるけど、圧倒的にこの生々しいスタイルがいいです。タイミング的にはどうしても
Moses Sumneyとか想起しちゃうけども、この手は皆アコースティックに振るべきね。


Nicolas Michaux – Nos Retrouvailles (Official Video)

ベルギー生まれでデンマークを拠点にするSSW、ニコラス・ミショーの新曲ビデオです。
イメージとして、シャンソンってのは爽やかなものでは全くないという印象があるから、
あくまでもシャンソン的なフィーリングを持ったライトタッチのソフトポップって感じで
ニコラス・ケルゴヴィッチや、めちゃくちゃ軽くて少しリゾートっぽい点Abram Shook
あたりも彷彿。フラ語のため何言ってるかは全くわかりません(映像には英語テロップ有)。
ともかくすごく良いと思うので、このテイストでアルバムを聴いてみたいとことですな。

今週のLP/EPフルリリース


+/- {Plus/Minus} – 06.19.20 (EP)

コロナ禍で制作された3曲入りEP、計画されていたものではなく急造の作品でしょうが、
十分聴ける内容。タイム感が独特で、時間の止まったようなニュアンスをいつも感じるね。
ヴァーサスとかでも言えるけど、華美な装飾がないのに地味じゃない。ほんと燻し銀てか
滋味に溢れる素晴らしい音楽です。M-2の終盤が叙情性のある美しい展開で特にオススメ。
いつだったかnestでライブ観たが、ドラムがドタバタしてんのに安定してるっていう(?)
理想的なプレイで凄い良かった。生で激し目にコンプかけたような音の人ってたまにいる。
しかし、やってきたバンドがVersus, Flower, + / – ってホント、ご趣味のよろしいこと。


SAULT – UNTITLED (Black Is)

確かにいい。ただ、見せ方含め、あまりにも特定の層がほめそやすイキりスノッブ感が
強すぎて癪に障るから敢えて無視していた昨年の作品から基本的には変わってないけど、
若干もっと間口が広くなったというか、単純にさらに完成度アップしてるように感じる。
すごくソツがないし、基本的にはソウルなんだろうが、このポストパンク感といったら
いいのか明確にロンドンっぽいのがUK贔屓インディファンへのアプローチも分かり易く
できるあたり、オイシイ存在なんでしょうね。これをカッコいいと言うのは簡単なので。