GVVC Weekly – Week 92

Rolling Blackouts Coastal Fever Feat. Stella Donnelly – ‘Deeper Water’ (Deadstar cover)

qurantine期間の企画として、オーストラリアのヴィクトリア州が自国ミュージシャンを
フィーチャーした無観客ライブ映像シリーズを展開していたものの第六弾で、最後を飾る
ステラ・ドネリーとRBCFのジョイントバンドは、メルボルンのクリケットスタジアムで
同じくメルボルンのDeadstarの楽曲をカバーです。すごくいい映像なのでこれは必見かな。
組み合わせ的にもかなり良くて、スタジオ音源も聴いてみたいところですが、これは多分
現場でのモニタ環境が相当ボーカル泣かせなはずで、歌い辛そうだし、テイク的には正直
微妙です。でもまあ映像が本体なので目をつぶりましょう。あとタンバリンが割と上手い。
よくオマケ程度でボーカリストがハンドタンバリンやってるの見かけるけど、全くブレなく
正確に16のチキチキループをバンドに合わせてキープするのって相当に難しいですからね。
ドラムで叩くのとはワケが違う。他にはDMA’sやAlex Lahey等と、国絡んだ企画でコレよ。
オリジナルは、Velocity Girl(バンドの方)がパワーポップ化したような90’sの大名曲です。


Call My Name by Young Ejecta

ヤング・エジェクタ新作アルバムからお次の先行曲は妥協の全身タイツでビデオ公開です。
前回の先行曲を紹介した時も言ったけど、ちょっとアブストラクトめな方向性だったのが
一気にシンセポップでコンパクトな調整に変わってるので、今回のなんかもナイトジュエル
みたいなものとあまり差がないし、特色っていう意味では薄まった気がします。しかしまぁ
シンセの鳴りというか、色彩(音の)が濃厚で、いい意味でケバいのでその辺は流石かな。


Dirty Projectors – Inner World (Official Music Video)

今年EPを連続リリースするダーティ・プロジェクターズ、シリーズ2弾は基本フェリシアを
リードボーカルとする楽曲集のようで、そちらから2曲目の公開となったこちらのビデオ。
こないだのよりかなり素晴らしくて、デイヴのシグネチャーギターアレンジも炸裂している、
彼のレパートリー中では最も穏やかなタイプの楽曲がしっかりと聴かせてきます。しかし、
アンバーの声だったらと思うと…なお、ちゃっかりGemmaのTシャツでステマしています。


Tricky – Fall Please feat. Marta

トリッキーが自身のレーベルから9月にリリースする新作アルバムの先行曲一発目が公開。
ツアーメンバーとしてリクルートしていたポーランドのシンガーを全面的に起用した作品で
それも納得、彼女のボーカルがすごくフィットしていて聴きやすく、テイストだけでいうと
今までで一番好きです。タイトなキックにちょっとテックな夜っぽいボーカルハウス楽曲で
ほんとにほんのりHERBERTのBodily Function的なムードを醸し出してます。この茶碗…。

今週のLPフルリリース

Team Picture – The Menace Of Mechanical Music (LP)

先行曲のM-5が本当に素晴らしくて期待してた。基本的にこういう、ギターにコーラス
かなりかけて、トロトロにウェットだけどボトムは太めのオルタナサウンドで、リズムも
楽曲構成も結構ギミック入れてくる、ポストロックもいけますみたいな歌ものバンドで、
さらに男女ツインだったりすると好きなパターンに仕上がることが多い。俺の中でUKの
バンド音楽要素全部詰め込んで、インターネット臭くならない程度にモダンな鳴りっての
心がけて料理しました、というイメージはまさにこれ。個人的にはTrailer Trash Tracys
と同じ枠で、あそこからちょっとシャーマニックだったりオリエンタルなフレーヴァーを
抜いた感じかな。ボーカルも少し弱いし、つまりこちらの方が中庸ではあるのだけど、
とにかくバランスがいいのよ。かなり重層的に仕込まれたウワモノのシンセやギターは
綺麗でシューゲイズのフィーリングもあるけど、これはドリームポップではないんだよね、
間違いなくオルタナロック。しかし男声が好みじゃねえな〜あと、最後の曲は絶対いらん。
前も言ったけど、このサウンドバランスはライブだと必ず音がモコモコになるから悲しい。


Diane – Billets doux (LP)

先行で出てたM-1が、素っ気無いトラック、ピッチの不安定さといい、これは歌なのか?
しかしラップ的でもポエトリーリーディング的でもないのでやはり歌でしかないよね…
ってことで、身も蓋もないその名前とともに、ほっとけないというか相当気になってた。
LPは思ってた以上にラウンジーでいい作品になったね、2000年代に流行ったドイツや
北欧のフォークトロニカ的な文脈にも乗る、寝る前に聴くような音楽で、とても愛らしい。
結構生々しいフィーリングもあり、僅かにドローン的な泥沼方面に向かいそうな雰囲気も
湛えてる。全編フランス語ってのもあってなんかセンス良さげな本屋とかに置いてそうな
感じもするけど、歌心がかなりある子だと思うから完全なBGM消費はもったいないかな。
すごくいい音楽とか言うつもりはないけど、もし目の前でこれが披露されていたとしたらば、
心の底から拍手を送るし、紛れもなく自分の好きなものではある。まあ、そういうこと。


KATE NV – Room for the Moon (LP)

主に聴くトコはそこじゃないってのわかってるんだけどボーカルがかなりいい。これは、
個人的にそもそもシンセ・ニューウェイブが別に好きではないってところが大きいので
しょうがないんです。それにしても、今までより身体的で、ポストパンクの脱臼リズム
みたいなグルーヴも感じるし、独特のコンテンポラリー味と洗練された音色はそのままに
いい感じにエスノがかって、少女のマジカル・ストレンジポップみたいな強固な世界が
提示されてるし、どう考えても雰囲気モノじゃ終わらない、一線級の作家だってわかるね。
なんか多分、彼女の中で決してメインじゃないとは思うんだけど、個人的にはM-10
みたいな感じの楽曲をもっと量産して欲しいんだよな〜。軽めに調整した方が魅力的。

日本のリリース

CVN – Egg (EP)

度々、名前が出ますがAVYSSの編集長、佐久間さんのCVNの新作EPがリリースです。
おいおい、完全にガバじゃねえか。こういうレイヴ、ハーコーテクノみたいな路線って
まあ、ヴェイパーウェイヴがめちゃくそジャングルっぽいのも多かったことを考えると
この界隈の方向性としてはわかる。LSTNGTとかもトランシーなレイヴだし、こういう
動きってピーター・ティールとかニック・ランドって名前がどうしても浮かんでしまい、
正直、自分の信じてるものとは真逆。ただ彼らは本当に時代に適合してるんだろうね。
日常的には絶対に聴かない音楽だけど、彼がハードコア通ってるの知ってるのもあり
デリンジャー・エスケイプ・プランって言われるとなんか納得するものある。猥雑だし。

・ここ最近の機運から、あらゆるネーミング等には一層配慮する必要が出たからでしょう、
One Little IndianはOne Little Independent Recordsへ、
元Young Turks傘下のWhitiesはAD 93へ、
それぞれ改名です。Whitiesなんかは元々ホワイト盤を出すというお題目ありきとはいえ、
確かにアレだし、ほんとまあ最初からつけんなって感じでもあるところではありますが
better late than neverという事でしょうね。他にも名義変更とか各所で色々発生してます。