Vaporwaveの剽窃文化


当GVVCでもお馴染みTeen Runnings(以下、TR)の2014年作アルバム『NOW』用に
永井博さんが描き下ろしたアートワークが、海外のアーティストに盗用されました。

USカリフォルニアのVaporwave系アーティスト、//turntboiフォレバー95
2019年作EP『playa』に当該アートワークを無断盗用したのがそもそもの発端で、
その時点でスグTR側、並びに私含む周辺のミュージシャン・関係者は盗用に気付いており
内々で都度、話題にしていましたが正式に申し立てをするという決断には至りませんでした。
今にして思えばこの時点で叩いておくべきだったのかもしれません。
サンプリングやコラージュ、オマージュという次元ではありませんからね。そのまんま。

ところがこの2020年2月、問題のEPに楽曲を追加した『playa REDUX』を
UKウェールズのレーベルMyPetFlamingoが10″のヴァイナルでリリースすると発表しました。
いちレーベルがフィジカルコピーまでを流通させるのはちょっと看過できないということで、
この時点でTR側はSNS上で盗用を告発、これにより永井さん側は初めて事を認識します。

流石にこれをスルーはできなかったのか、MyPetFlamingoはTRと永井さん両サイドに
コンタクトを取ります。それを受けてTRと永井さんとの間でも相談が行われました。
それぞれ具体的な内容については記述できませんが、然るべき折衝は存在したという事です。
ちなみに大元の盗用者//turntboiフォレバー95は基本的に一切出てきていません。
もちろん、MyPetFlamingo側とはこの件についてのやり取りを行ったでしょうが…。

最終的には、ジャケットには不可だけど盤のレーベル面には採用OKという形で
落ち着いたようです。これは永井さんとMyPetFlamingo側の協議の結果です。
永井さんも前もってTRの金子くんに意思、意見確認をとった上で対応されましたので
ここの判断は永井さんに全権があり、この決定自体について外野は何も言えません。
しかし、以下の通りいまひとつ腑に落ちない部分もあるのは事実です。

元々この絵はTR『NOW』のために特別に描き下ろされた作品であり、
TR側はそれをライセンス利用という形でジャケットに採用していました。
そのため著作権は100%永井さんに帰属します。
とはいえ慣例として、特定のアルバムのために描き下ろされた既存のアートワークが
“同業者の”他作品に流用されるというのはちょっと考えられませんし、気持ちが悪い。

またいくら最終的に限定的な使用許可を取ったとはいえ、当初が無断盗用であった事実は
揺るぎませんので、違法性が消えたというだけです。改めて、盗用を行なった張本人は
//turntboiフォレバー95ですので、MyPetFlamingoも初めから違法性を認識していたかは
確かに判断できないところではあります。

ただ、MyPetFlamingoのbandcampラインナップを見ていただければ一目瞭然ですが、
かなり問題のありそうなアートワークがひとつやふたつじゃありませんよね?
特に、相手が大きくヤバ過ぎるレベルで一発アウトなのはこんなのまであります。

これ、こことかにちゃんと許可取ってるワケがないですよね?ヴァイナルで出してるのに。
つまり、そういう事を平気でするレーベルなんですよ、MyPetFlamingoは。

反社チェックに引っかかるというか、そこと関わる事自体がネームバリューを毀損する、
アートワークの使用許諾なんかを交渉するにすら値しないような相手だという事です。

それに//turntboiフォレバー95はオリジナルの盗用ジャケットを自らのbandcampから
未だに取り下げていません。

もっとも、Vaporwaveが多分に剽窃文化であるという側面は大きいでしょう。
だからこういう問題に対しての意識は低いですし、問題にすらしていない可能性もあります。
全てのヴェイパーウェイヴがこのような輩ではないという事は分かっていますが、
Vaporwave文脈に身を置いている人達こそが積極的にこのような問題を取り上げて
解決していかなければならないと思いますけどね。

なお、永井さんの当該アートワークは、以前からMen I Trustとも互いによくコラボしていた
モントリオールのGeoffroyにも完全なパロディというか、パクられているのですが…

これは、完全にクロなんだけど言い逃れできる次元のマナーをまだ守っているというか、
アウトなんだけどセーフという、絶妙なラインの仕上がりです。これなら告発まではしない。
結局その辺の感覚なんですよね。
このアルバムもM-11はfeat. Men I Trustです。つまりメンアイトラストも
厳密にはアウト気味なやつと絡んでるとも言えるんですよ、ある意味ではね。