GVVC Weekly – Week 102

Dirty Projectors – Holy Mackerel (Official Music Video)

今年は自主EPを5連続リリース企画中のダーティ・プロジェクターズ、第三作から先行曲。
結局5枚纏まったものがDominoから2LPで出るようで1枚1枚追う意味はあまり無いのよね。
EPがSuper Joãoで、この楽曲に、ひたすら波(WAVE)の映像がレイヤーで挿入されてる
ということでもうモチーフは明確ですが、カームでジェントルなほぼ爪弾き語りスタイルで
彼のボーカルやギタープレイ、コンポジションって情報が多いからこれくらいrawな状態で
十分成立してる、むしろ声にエフェクトかけたり作り込まれるとトゥーマッチに感じる事が
かなりあるから、こんな感じの方が個人的には好きかな。これでアルバム作って欲しいかも。


Bye Bye Bicycle – A Messed Up Family

ヨーテポリのバンド、バイバイ・バイシクルの10月リリース新作EPから2つ目の先行曲です。
イントロ聴いた瞬間にこれは絶対に北欧、多分スウェーデンのやつってわかるよね。なんか
直球すぎて逆にあっぱれです。この名前の通りめちゃくちゃダサいし、正直確信犯なのかも
どこまで狙ってるのかわからない。ここまで行くとナンセンスって域に突入してると思うが
意外とマジなのかもね。Jens Lekmanがヘナチョコギターポップ化したような音楽ですが、
どうしても若干小綺麗にまとまってしまうのが北欧勢、日本も若干同じ傾向があるんだよな。
Lazy Octopus Recordsから。ダサいバンド名ダサいレーベル名ダサい音楽のトリプル役満。
(紛れもなく褒めてます)いいと思ったから載せてるわけなんでね!ヴァースがグッドメロ。


TSHA – ‘Sister’ (Official Audio)

ニンジャ・チューンからリリースするロンドンのTSHA新作EPからリード・トラックが公開。
この絶妙なバランス。チャラくなり過ぎるギリギリのところでエレクロトニック・ハウスに
とどまってる感じがかなり職人じゃないですか?一時期のGui Borattoをもっとライトにし、
ひねくれてないグライムズを参加させたような音楽で、なんかこう感心してしまいましたね。


Lisel – Die Trying (Official Video)

Pavo PavoのエリザによるソロプロジェクトがLuminelleから両A面のシングルをリリース。
そのBサイド側がビデオでも公開です。何とWoodsのジャーヴィスがプロデュースしており
途中から入ってくるホルンが印象的で全体的にウォームな雰囲気の大変素晴らしい楽曲です。
先に公開されていたAサイドの方はちょいと微妙でしたが、コレは相当いいんじゃないかな。


Tim Shiel – Coliseum (feat. Genesis Owusu) (Official Video)

Gotyeのツアーバンドメンバーでもあり、ラジオDJ、ゲームのサントラなんかもやっている
エレクトロニック・プロデューサーのティム・シエルによる新曲は、キャンベラの新進気鋭
ラッパー、ジェネシス・オウスを起用。トリップ感のある90’s系のクラブブレイクビーツに、
ラップとまでいかない絶妙なボーカルによるイルな雰囲気が充満しています。でも不思議と
クドくない、サラっと流せる爽快感する感じるサウンドで、古いのに新しい感じでいいです。


Aluna – Envious (Official Music Video)

アルナージョージのアルーナが来週リリースするソロ・デビューLPから最後の先行曲です。
思えば遠くへ来たもんだね…最初はダブステの流れも汲んだ歌モノUKガレージ的な感じで
Tri-Angleからフィジカルリリースデビューしたけど、当時からしても流石にポップすぎる
か、って雰囲気もあった。俺はその頃が一番好きだったが、食えると思ったか割とすぐに
メインストリームにより近接しだした印象はある。近年はダンスホールっぽい曲なんかも
やりだしてもろにアッパー系クラブ需要のとこ攻めてたけど、このソロはKingdomとか
ケイトラナダにプリンセス・ノキアあたり参加してて、この顔ぶれが全てを物語っている。
この曲はDua Lipa的なバランス調整にしとけってとこだけど、ここまでの遍歴と、本人の
やりたい感じと、マーケティング上の落とし所がうま〜くまとまってるなと思ったんです。

今週のLP/EPフルリリース

No Joy – Motherhood (LP)

1stはもう10年前か。途中から一人だけになって、EPやシングルも含めると作品自体は
コンスタントに何かしら出してたけど、フルレングスはこれでようやっと4枚目なのかな。
ソニクッブームと絡んだり、特にここ数年は音楽性もちょっと迷走してた感じがするけど
LPを作るとなるとなんだかんだ元サヤというか、Jorge Elbrechtのプロデュースなんで、
すごくしっくり来てるなと思う。彼は他アーティストのプロデュース作の時でも思うが、
アレンジメントへの介入度合いが凄くて、ほとんど共作って次元なんだよね。いやもう、
演奏とか楽器の音色からしてお前じゃん、と思ってクレジット見たら色々弾きまくっとる。
キレイ目で少しサイケな万華鏡サウンドと元来の荒々しくノイジーなギターが融合してて、
印象はモダンなChapterhouse。何か開放感が無いし、もう少しバンドっぽさが欲しいな。


Kate Bollinger – A word becomes a sound (EP)

すげーいい。レイドバックしたゆるゆるホワホワな音像でほんと歌唱も文字通りたゆたう
というか、どこまでも淡く柔らかい音楽だけど、何か引っかかるとこがあるというかね、
ただ流れ過ぎていくだけのモノではないのがすごい。タイトルトラックのM-4が明らかに
一番良くて、そこはかとなく知的なのもグッドですね。ただ5曲中4曲3分未満で、EPって
フィジカルまで出すのもなんかどうなんすかね。流石に小品集って感じがあり過ぎるな。