GVVC Weekly – Week 104

adrianne lenker – anything (official audio)

ビッグ・シーフのエイドリアン・レンカーがソロ作を2つ同時にリリースするとの発表が。
コロナでバンド活動が止まった事によるあるあるの流れですが、4ADとのサイン前は元々
ソロ作の方が個人的には好きだった。この方が突き抜けてるような感じがしたんだよね。
そのあとバンドも突き抜けたわけだけど、この先行トラックはそのソロの延長な感じで、
天使みたいなババアみたいな複雑で特徴的なあのボーカルと純キリスト教的な世界観に
バンド以上に厭世的というか、浮世離れしたタッチのある素晴らしいSSWサウンドです。
こちらは”songs”からで、もう一枚は各面に1曲ずつの超尺インスト作品となるようです。


trayer tryon – cul de sac

ハンドレッド・ウォーターズのトレイヤー・トライオンのソロプロジェクトからの新曲。
少し前に、ジュリー・バーンを起用した楽曲を紹介しましたが、お次のこちらは更に客演
盛り盛りの内容で、Jónsi, Alex Somers, Moses Sumney, Nicole Miglis, Julianna Barwick
というラインナップ。1曲にね。まさにこの顔ぶれっぽい音楽になってて、情報読まずに
音だけ聴いててなんか凄みがあるなぁ~?くらいに思ってたらリリース見て納得ですわ。
ちょっと個性が飽和してる感じもしますが、聴けるアンビエントとして大変高水準です。

Pet Shimmers – Imber (Official Video)


1月暮れに1stアルバムをリリースしたばかりのペット・シマーズから早くも次作LP告知、

揺れに揺れる独特なウワモノのサウンドはそのままで、よりカオスでサイケデリックな
雰囲気に進化した先行曲です。ビデオやアルバムのカバーアートもそんな感じの3D世界。
甘さとレトロ・ノスタルジーっていう部分が重要な要素だと思ってたから、1曲では判断
できないけど最初に先行切る楽曲でこれは微妙。でも、振り幅広めだからどうなるかな。

Judah Just Kidding – All My Life

ジュダ・ジャスト・キディングのおそらくデビュー曲だと思われる。ノルウェーでこの音
このノリって所ですぐに予想できるが、やはりの777 MUSICからでBoy Pablo勢力だね。
ボーイ・パブロのインタビューから察するには、どうやら彼が楽曲提供しているようです。
思うのは、本人も多分10代とかだと思うけどリスナーはどういう子達が聴いてるのかな?
現地で今の時代にこういった類の音楽を嗜好しているティーネイジャーの生態に興味ある。
簡単な作りの、少しだけトロピカル入ったような楽しげなへっぽこインディポップだけど、
思い切りが良いからか爽快感があるし、10年近く前頃のUS流行りものにも通じる部分が。

Badge Époque Ensemble – ‘Sing A Silent Gospel’ feat. Meg Remy & Dorothea Paas

Slim TwigとBlood Ceremonyのボーカルらによるバッジ・エポック・アンサンブルから。
昨年の作品も紹介したけど、正直存在忘れてて、音だけ聴いてて同じように良いと思った。
今回は人脈的にも納得のU.S. Girls本人や、彼女のバックバンド陣も参加しているようで、
このごった煮感ありつつも、同じ方へ向かう集中力が凄くて地力のある人達とすぐわかる。
ボーカル入りのやや土臭いレトロ・ジャズファンクにサックスやフルートをガンガン使い
割と賑やかな音像から徐々に、緩やかにサイケジャムへ突入する大変カッコいい楽曲です。

Hot Snakes – Not in Time [OFFICIAL VIDEO]

2年前まさかの復活以降、活動を続ける生ける伝説、ホット・スネイクスがUKツアー限定
7″に収録されていた楽曲のスケボー・ビデオを公開で、公式にはこれがオンライン初出し
ということで新曲扱い。正直、復活以降ではこれが一番好きです。Drive Like Jehuって
今でもたまに聴くし、本当に特別な格好良さがあるんだよね。今これ聴いて、オッサンが
無理してやってる感全然ないし普通にスゲーなと思う。まあスーツ着る仕事とかはおよそ
してないだろうし、年齢は基本的に関係ないというか結局ライフスタイルでしかないのね。
軽やかなのに深みのある聴きやすいポストHC。not gonna be in タァ”ーーーーーーイム

今週のLP/EPフルリリース

Vaya Futuro – El Peso Del Mundo (LP)

前の作品少しは聴いた記憶があるんだが、こんなんだった印象がない。メキシコって事で、
全編が完全にスペイン語で歌われてるのにこんなサウンドしてる音楽を俺は他に知らない。
ストリングスとかも少し入ってくる、ちょっと洗練されたキレイめな生演奏主体の音楽だが
ドリームやシューゲイズって感じではほとんどなく、どちらかと言ったらポストロックかな。
テクスチャー的な部分で、ややホワイト・ソウル入ったミニマルなスムーズ・モダニズム系、
Rhyeとかあの辺に通じる質感もある。エフタークラングからクラシカルな要素を減退させ、
もう少しコンパクトにまとめたものに、中南米のエッセンスをグレースケールで加えた感じ。
凄い名盤とかじゃ全然ないんだけど、今まで聴いた事ないってか、珍味って感じで面白い。
リード曲に指定してあるM-4と、あとM-2がわかりやすくイイかな。どんな奴らなんだろ?
これはちょっとオススメというか、聴いてみて欲しい。明らかにまだ伸び代もあるし期待。


Barely Civil – I’ll Figure This Out (LP)

確か先行曲を紹介したと思うけど、これぞミッドウェスト・エモっていうダイナミックな
アンサンブルで、メンバーで集まって曲組み立てていってる姿がリアルにイメージできる
楽曲構成してるというか、すごく楽しそうでバンドっていいねと思わせてくれる音楽です。
基本的には正統派のEMOだと思うが、日本で角川以降のアニメ絵が完全に一般化したのと
同じ様に、一定以降の世代にとってはシューゲイズのフィーリングを取り入れた空間系の
ギターワークってのはもはや特定のジャンルにのみ登場するアレンジではなく、実に自然。
この溌剌とした感じはCymbals Eat Guitarsが最初に出てきた感じを少し思い出すかな。
正直微妙な曲もいくつかあるが、モック・オレンジ味を強めていってもいいんじゃないか。


BUMPER pop songs 2020 (EP)

Cryingはすごく好きだから、そのブレーンとJapanese Breakfastって事でどうなるんだろ
って感じで聴いたらちょっとこれはどうなん?好みの問題だとは思うが、両方のオリジナル
プロジェクトから良いとこを削ったようなモノに聴こえる。当然曲は悪くないと思うけど、
サウンド面の話ね。あとこういうジャケットもうやめてくれよ、頼む。M-2は名曲と言える。