GVVC Weekly – Week 110


The Weather Station – Robber (Official Video)

前作のLPが素晴らしかったザ・ウェザー・ステーションが、元々のOutside Musicに加えて
Fat Possumとの連名で7″シングルをリリース、そのAサイド曲がビデオで公開されました。
シネマティクなフォークロックが少しジャジーなチェンバーポップ路線に進みかつ極限まで
コンテンポラリー化したような音像で、凄い説得力と全てが渾然一体となったアンサンブル。
ストリングスアレンジメントも本人が出来るって所がまたいいんだろうね。やはり外注とは
馴染みが違ってくるし、ビデオも本当に素晴らしい。インテリジェンスとスノッブさの中に
ユーモア、カオス、オルタナティブと気品、そのどれもが程々で嫌味のない超高次元の作品。

Kindsight – Terminal Daze (Official Audio)

Rama Lama初のスウェーデン国外signeeとして、デビュー・シングルをGVVCでも紹介した
コペンハーゲンのカインドサイトから次なる楽曲が到着。今回は少し趣を変え、甘さ控え目
調整のややミニマルな展開が進む中で、考えようによっちゃ積み上げたグルーヴを自らぶち
壊すドラムの小技による自己主張が面白く、ボーカルのニーナの歌唱や割と几帳面な印象を
受けるギターアレンジメント、全体の音像の組み合わせなどから想起するとThe Sun Days
(イギリスのアレじゃなくてRun For Coverからリリースしていたスウェーデンのバンド)
がクラウトロック化したようなサウンドだなと。しかし、完成度が高くて、末恐ろしいね。

HAMBURGER – Supersad

ブリストルのバンド、ハンバーガーが12月にリリースするデビューEPからリード曲が公開。
徒長したビルト・トゥ・スピルに少しだけドリーム液体肥料を与えたかのような超へっぽこ
パワーポップを展開し、中性的で線の細いボーカルはどこまでもナード。更に極め付けには
コーラスのフレーズがI’m fucking miserableにI can’t do anythingと、絵に描いたような
ルーザー・インディポップで清々しいです。何か可愛らしい愛嬌があって、ほっとけないわ。

Julia Jacklin – to Perth, before the border closes / CRY

いつも良いジュリア・ジャックリンがSUB POPのシングルズ・クラブから新曲をリリース。
今回は少しアダルトな雰囲気で翳りのあるオルタナ・フォークロックがスロウにバーストし
実質一回のコーラスで盛り上げ、そのまま終わります。短く纏めたのが正解で、ハマってる。
B面は6/8ビートのオーセンティックな楽曲ですが、なんかいい意味で粘っこさがあるのよ。

Orions Belte feat. Shikoswe – «Conversations» (Official Music Video)

Orions Belte – Conversaciones (feat. Pau Sotomayor)

ノルウェーのオリオンズ・ベルトがリリースを控える新作アルバムVilla Amoriniより先行で
同じ楽曲、トラックに違うゲストボーカルが客演している2バージョン収録のシングル公開。
これはイントロが素晴らしく、乾いたポストロック・フィーリングのギターワークが煌めく
若干のジャジーさも湛えた瑞々しいインディポップで、表層的な音の質感は硬派路線なのに
メロディがウォームに全振り、でもリバーブ深めという謎音像なため妙なサウンドになって
いて、男女ツインパートの節回しは初期のCULTSやTV Girlを彷彿させるフレージングです。
これは凄い面白いよ。B面はスペイン語バージョンで、メキシコのPau Sotomayorを起用。

Claud – Gold (Official Video)

フィービー・ブリッジャーズの新レーベルからデビューという触れ込みのクロードから新曲。
Japanese HouseをもっとUSティーネイジ・ポップス最大公約数化したようなサウンドで、
商業音楽として作られた感じも強く正直GVVC的にギリギリ範疇外に近い音楽なんですけど、
コーラスの、”You’re so cold, Ice on snow”ってフレーズがすごく良いフックで、そこだけ。

James Blake – I Keep Calling (Official Visualizer)

いまだかつて、これ程までチャラいインスタントなジェイムズ・ブレイクがあっただろうか。
しかしそこは流石に彼で、下品にはならず、ジェントルにシルキーなタッチは保ったままで
ソフトなリスニング・ダンスポップと言えるようなものに仕上げてます。ほんの申し訳程度
サンプリングのブレイク・パートも入れているが、これは無しで3分で終わった方が良いね。
4曲入りのEPとして出してますが、ここまでやってるのはこの曲だけです。悪くないけども、
こういうのじゃなくて、ピアノ弾き語りのSSWにわずかにエレクトロニックの膜がかかった
ような、静謐な作品を出して欲しいんだよなぁ~。シンプルに行くのが好きじゃなさそうね。

Julie Byrne & Jefre Cantu-Ledesma – Love’s Refrain (Official Video)

Looking Glassから、ジェフレ・キャントゥ・レデスマとジュリー・バーンのコラボ作です。
この組み合わせは中々、見た瞬間に良さそうっていうハードルが高すぎて若干名前負けじゃ
ないけど、そこまでではなかった。というかこれってこのための書き下ろしじゃなくって、
2016年作EPの1曲目のリアレンジ版にボーカルを載せただけで、原曲よりもコンパクトに
マイルドに調整はされてるけどまあ、空間埋めてく轟音と低めの女声ボーカルっていうのが
そもそもあまり相性が良くないのは明白だよね。じゃあなぜ良さそうって思うかっていうと
それはそれぞれの音楽の遠さと特色のイメージで、具体的なアナリシスによるものじゃない。
でも後半のクライマックスでは流石の盛り上がりというか、シューゲイズ・アンビエントの
極北ここにありって感じで、若干ミッドが痛い彼のいつものあのサウンドが躍動しています。

Lowell “Lemonade” (Official Audio)

アーツ・アンド・クラフツからリリースするトロントのSSW、ロウェルの新曲が公開です。
元々、かなりメインストリーム系の音楽性だったから、そんな好きでもないんだけど今回の
コレは単純に凄くいい曲。BENEEとかMØなんかがやりそうな、今どきのモダン・ポップス
でしかないんだけど、歌唱がキマってるし、ブレイクしたSIAのあの曲を最初に聴いた時の
感じ、チャーリのBOOM, CLAPを最初に聴いた時の感じに近い、いいもん出たね味がある。

TEN PAST SEVEN – Turf War

アイルランドのテン・パスト・セヴン、すなわち7時10分の11月リリース新作アルバムから
オープナートラックとなる先行曲。カッコ良すぎんでしょ。シェラックとシェヴリルに初期
ドンキャバレロって感じだね。でもそのどれよりもキャッチーな演奏でジャンク・メタルな
質感してる割にはゴリゴリ行き過ぎない所もまた良く、割と端正なアレンジメントしてる。
最終的には若干ジャジーな雰囲気ににプログレ展開していくポスト・ハードコアサウンドで
これは格好いいわ~、大好物です。あんまりマスロックって風情ではなくて、結構オルタナ。

日本のリリース

STILL DREAMS – Ultra Doomed [Official]

ジュヴナイル・ジュヴナイルの二人が夫婦duoとして始めた、スティル・ドリームズ。あの
マドリードのElefant Recordsからリリースということで、国内のネオアコ・ギタポ界隈は
さぞかしザワついてるんじゃないですか?来年に予定されているミニLPからの先行曲扱いで
ビデオが公開されたこちらの楽曲。重たいキックのグラウンド・ビート気味なリズムの上で
かなり緻密に組み立てられたシンセ万華鏡が螺旋状の火花散らしながら浮遊していくような
ソアリング・ドリームゲイズ。これ程までsynth-tingedなのにも関わらずニューウェイヴ感
ゼロなのは面白くて、昔stuck in summerっていうプロジェクトもやっていたはずだけど、
それを思い出すような所も。特に歌メロの節回しがザ・日本て感じなのはもうご愛嬌として
提示されてるものは明確なので、突き抜けた気持ち良さがあって、広い間口に訴求できそう。
ブレイクが美しいだけに、最後のコーラスは全カットで4分半で終わった方が良かったかな?
ちなみにB面曲の方はいくら何でもキュアーのJust Like Heaven過ぎてコメント不可ですね。

今週のLP/EPフルリリース

Autechre – SIGN (LP)

実にいいわ。今風に媚びてきてなくて本当に素晴らしい、まあ彼らほどの格ならその必要も
そもそも無いのかもしれないけど、ニューエイジ方面だったり、インターネット臭い方面に
近接してきたり全くしてなくて安心するし、よもやオウテカがクラシックに、ある意味格調
高く響く時が来るとはね。本来的な語義は崩壊するが、この音楽が軽くオーガニックにすら
感じるとは嫌な世の中になったもんだ。こういうのこそがIDM、そのイメージするところで
インテリジェントであくまでダンスミュージック。そして何と言ってもこの音だよね。この
キックとか破裂音系のこれ以上ない自然な密度とコク。耳に優しいのよ。高級な家具みたい。


Gulfer – s/t (LP)

いやー最高。こういうミッドウエスト・エモをベースにテクニカルに発展させてったバンド
大好きっ子の音楽はもう弱いんです、しかもどうやらメンバーにタッピング野郎が入ってる
模様。マイナス・ザ・ベアからポストロックやニューウェイヴっぽい要素を抜いて開放的に
したような疾走感ある音像で、モックオレンジ的な部分もあるけどそんなギスギスしてない
というか、Fugaziの系譜は感じない、もっと自然なやつ。おいしさ詰め込んだM-8エグい。


Andrew Cedermark – Fort/da (EP)

アンドリュー・セダーマーク。Underwater Peopleseからの1stは10年前、良く聴いたな。
M-1が凄く名曲で、Wilcoのヤンキーに入ってそうなアレンジ。基本少しフォーキーで甘め
のネオサイケ風なんだけど、突然にプログレッシヴな表情を見せてきたり、あまりサービス
精神旺盛じゃない楽曲構成というか人を食ったようなところがあるのは相変わらずでいい。