GVVC Weekly – Week 124

Hannah Jadagu – Think Too Much [OFFICIAL VIDEO]

SUB POPが電撃サインしたテキサス出身18歳ハンナ・ジャダグのデビューシングルが公開。
最近で言うとHana Vuもやってるけど、チルウェイヴ全盛期の、かつシンセ寄りじゃなくて
インディバンド、ベッドルームポップ寄りのサウンドでこういう音楽がめっちゃくちゃ沢山
存在していた頃を思い出すテイスト。んで当時10歳にもなっていなかったであろうこの子が
ドンズバでそれを演ってるてのが面白くてね。コード感やリズムはPhoenixやSnail Mailを
参考にしたと言うが、普段のリファレンスはもっと最近のインディと思われる。ハイパーな
感じに行かず、ちゃんとこれを継承してくれる子達も居ると思うと多少溜飲が下がる部分も
あるし、正直まだ将来の期待値が込み込みではあると思うけど、サブポップよく拾ったね。


Major Murphy – In the Meantime (Official Video)

メジャー・マーフィーがWinspearからリリースするセカンドアルバムより、2つ目の先行曲。
これは多分かなり本人ら的にも凄くいい出来な1曲なんだと思います、それっぽい雰囲気が
とてもよく出ている90’s系のUSインディロックで、そこはかとな~くオルタナ感が漂った
コンパクトに、モダンに仕上げられたサウンド。其れ程抜きん出た個性はないんですけど、
提示されてるものが不純物なくわかりやすいし、中々いい商品なんじゃないでしょうかね。


Cassandra Jenkins – Crosshairs

来週リリースとなるカサンドラ・ジェンキンスの新作から3つ目となる先行曲のビデオです。
これで最後かな?そもそも7曲入りなのでこれが限界でしょうね。一つ前の楽曲がなかなか
素晴らしくて週のトップでフィーチャーしましたが、今回はよりオルタナ・カントリー色の
強く出たスロウで穏やかな楽曲で違った側面を見せます。いわゆるブラシでロックバラッド
的なコンサバアレンジですが抑制された歌唱が渋くて素敵。映像の方はドローン買ったので
作ってみました風の典型的なやつですがトラックのタイム感とマッチしており、良いですね。


MGMT – Time To Pretend (Black Country, New Road Cover)

ブラック・カントリー・ニュー・ロードがMGMTの1st代表曲かつ一番いい曲をカバーです。
これはいいアレンジだと思うし、自分らの強みを全面に打ち出しつつ元の楽曲に更に深みを
与える事に成功していて拍手。彼らのオリジナルのどの楽曲よりもこの録音が素晴らしいし、
ぜひライブ演奏でなくこれのスタジオプロダクション音源もリリースして欲しいくらいです。
でもこの表記は絶対おかしい、逆。これじゃMGMTがこいつらの曲カバーしてるみたいね。


Hachiku – Busy Being Boring [Live from the Forest]

メルボルンのハチク、デビュー作からの楽曲野外ライブ映像。こちらもドローンの空撮から
始まりますが最初だけです。内気なインディって感じとアウトドアルックに野外が似合って
なくてめっちゃいいし、3:10あたりのメガネのズレ直すとこ必見。状況的にまあ仕方ないん
だけど、ベースの音が特になんか微妙。でも全体的にアンサンブルはいい感じだし聴き易い。
サンプラーにギターと、上物は全て歌の子が操ってるわけだけど、程よくスカスカを保った
中々クレバーなアレンジで、これ3ピースなのがポイントなんだろうな~。ええバンドやね。


Closer – Landslide (Music Video)

前作のデビューアルバムが素晴らしかった元Real Life Buildingsのマシュー率いるエモ系の
ポストハードコアバンド、クローサーの2ndから二つ目となる先行曲のビデオです。今回は
比較的軽やかなトラックでストレートに疾走していく半スクリームが気持ちいいサウンド。
Real Life Buildingsと違いすぎるのは当然でそもそもボーカル変わってますし、まず女性の
ドラムボーカルで少しだけメタリックな質感のあるポストHCっていうとどうもBRUTUSの
彼女と被ってしまいますよね。あちらはヘヴィ寄りでも、歌の感じはほとんど同じ系統だし。


William Doyle – ‘Nothing At All’ (Official Audio)

確かホステスで来日もしてたEAST INDIA YOUTHのウィリアム・ドイルは現在ソロ活動中、
その新作からの楽曲です。若干のバロック趣味を感じる大仰なサウンドとドラマティックな
進行、線の細い情けな系とイケおじのハザマで揺れるボイスと、さしずめシンセポップ版の
デストロイヤーって感じになっているようで少し面白いです。Tough Loveからのリリース。


Rest Easy – Bad Idea (Official Music Video)

ヴァンクーヴァーのレスト・イージーが今週リリースしたデビューEPからのビデオカット。
ギリギリでポップパンクの範疇にカウントされそうなスケーターパンク、僅かにハードコア
っちゅー塩梅の音楽ですが非常にバランスがいい。元気良すぎず、でもイカツすぎずという、
程々のところで聴きやすいサウンドになっていてツインボーカル具合も上手くハマってます。
映像はいかにもすぎていっそ清々しい。正直十分怖いのですがこれ位なら音楽は楽しめる。

今週のLP/EPフルリリース

Rat Columns – Pacific Kiss (LP)

ジャケットとかのイメージからしてもジャングリーギタポ、C86とかPostcardフォロワーと
見せかけてそれほど直球ではない。一番の感想としてはTeenage FanclubとSea & Cakeが
合わさったもの。これ意外とこのバランスって居なくて、基本的にグラスゴー系ではあると
思うし、ポストパンクも入っててネオアコDJの方々がいかにもかけそうなサウンドだけど
その辺特有の田舎臭がちょっと薄い、全体的にクリーンでスカした雰囲気があるんですよね。
めちゃくちゃハマる感じではないけど、よく聴くと珍しい音楽やってる。微妙なとこですが。
しかしM-1「ヘイ!君にこの世界をあげたい」ってアニメかラノベ原作のしょうもない邦画
タイトルとかにありそうでいい(よくない)ですね。しょうもない若手主演の恋愛もので。


Caithlin De Marrais – What Will You Do Then? (LP)

このパターンって絶対、弾き語り系やSSWバンド系になることが多いと思うんだけど、この
サウンドってのがね、まずちょっと意外性がある。ソロ作って過去にも出してたはずだけども
こんなんだった印象が全くない。レイナーマリアからのこれっていうのは本当に不意打ちだし
それといぶし銀どころか初々しさすらあるなんか可愛いサウンドと歌唱で、何も知らないで
聴いたらどこぞの10代のベッドルームポップって思いかねないし、それってすごいことよね。
下手くそだけどピュア極まりない歌唱と素朴な装飾。題名「そしたらあなたはどうする?」


Clap Your Hands Say Yeah – New Fragility (LP)

いくつか出てた先行曲で、なんか初期の勢いがあるサウンドに戻ってる?割といいじゃんと
思っていたが、アルバム全編悪くない。15年以上あるキャリアの割にプロパー作はそれほど
多くないはずだけど、今までで一番いいんじゃない。M-7なんかはもう曲名からして当時の
自己模倣だと告白してるようなもんだけど、ただの劣化版じゃなくちゃんとベテラン相応の
深みも湛えたものにアップデート。しかしこの人の歌唱スタイルというか、完全に息継ぎが
できない節回しの中、無理やりブレス入れて歌い続けるの聴くと、うんこれこれとなるよね。
でもこの人の音楽って昔から、美味しいんだけど、ひたすら同じ味のもの食わされ続けてる
みたいな気分になるのは何かな。引き算が足りない感じがするというか、通して聴けない。