GVVC Weekly – Week 140

Emma-Jean Thackray – Spectre

SquidのLPにも参加していたエマ・ジーン・サックレイのデビューアルバムから先行曲です。
ジャイルス・ピーターソンが褒めるってのもよくわかる、人力クラブジャズ系のバンド的な
趣もあり、ファイヴ・コーナーズ・クインテット辺りのボーカル曲みたいにも聴こえる中で
ギターバンド流れのポストロックがジャズ・ソウルに近接してったモノっぽさもあるという
いい意味でのどっちつかずな雰囲気を持っていて面白い。一つ前に出てた曲はもっと純粋に
フュージョン入ったフューチャージャズみたいなトラックだった気がするけど今回の路線が
メインだったらいいな。ちょっとスピリチュアルも入ってるからアリス・コルトレーン的な
方向性のアンサンブルにもくくれるとなるとmeditations一派も射程と、ほんと間口が広い。
ハイプがかなり出来上がってる感じなのに自主レーベルからのリリースなのもいいじゃない。

ドラムやコーラスがよりリアルに響くスタジオライブバージョンも同時公開。


Molly Burch – Heart of Gold (Official Video)

モリー・バーチの新作アルバムから3つ目となる先行曲ビデオはヤギの赤ちゃんが沢山登場。
ここへきて初めてまさにテニスの二人がプロデュースしたというテイストが全開に発揮され
ドラムの音から節回しから、3分ポップの尺展開までほとんど完全にテニスだけど、彼女の
方向性としては割とこんなのが合ってると思うので問題ないね。ワイルド・ナッシングとの
最初の曲がちょっと浮いちゃう感じになるけど、果たして最初から予定通りでこうなったか
ちょっと怪訝な気になるところではあります。しかしヤギの赤ちゃんホンマかわええわ~。


Kali Uchis – telepatía // acoustic [Official Visualizer]

カリ・ウチスの既発曲アコースティック・アレンジを収録したEPが出ました。数日先んじて
先行公開された昨年作LP収録楽曲のこちら、アコースティックといってもフォーク路線では
なくてガットギターのスパニッシュ的な熱帯夜ロマンスとなってますが最小限のミニマルな
アレンジメントで暑苦しさが中和されており、とはいっても薄味にはどうしたってならない
元の強いフィーリングから臭みが抜けた程よい味付けとなってまして、ナイスバランスです。
原曲より断然いいしこのEPのヴァイナルでは出ないのかな。ボーカルはいつも素晴らしい。


Porridge Radio – Happy In A Crowd (Love of Everything cover)

JOAのボビー・バーグとアメフトやメイク・ビリーヴにも参加してたキンセラファミリーの
ネイトがやっていたラヴ・オブ・エヴリシングの楽曲をポリッジ・レディオがカバーです。
某フォークとか、見出しに一切カバーと書かずにポリッジ・レディオの新曲と載せてやがる。
本文では言及してるにしてもふざけた話だね。まあそれくらいマイナーすぎるところからの
チョイスかもしれないけどネームバリューが逆転してるとこういうコトになる。滅茶苦茶
良いカバーとかでも別にないんだけどLoEの扱いにムカついたので載せとくよ。原曲はもう
20年くらい前の最初期のアルバムのオープニングトラック。音源ねーかと思ったらあった。

ボビーの自主レコードレーベル、『Record Label』からのリリース。タッチ&ゴーとかの
ディストリビーションだったみたいだけどね。日本にも入ってきてた。知らなかったけど、
最近になってジョイフルノイズとパートナーシップでなんか復活してるっぽい記述があるね。
フリーすぎるフリーフォークというか元祖脱力DIYポップって感じだし一時のJOA風だけど、
正直ティム・キンセラはやり過ぎちゃうからこのくらいがちょうどいい。特に歌のあたりね。

今週のLP/EPフルリリース

Tristen – Aquatic Flowers (LP)

うーん滑らか。ソフトで軽快なミックス。Shout Out Loudsにこんな曲あったな、なM-1。
もう全くもって何も目新しい音楽じゃないんですけど音がキモチイイですし、これがマッチ、
機能する場ってのが色々イメージできる。もう少しイナたいサウンドでカントリー味がより
出ていたら一気に評価下がるんですが、曲によっては下手しい北欧ポップにも聴こえちゃう
ような淡めの音像と羽毛のような軽やかさがいいです。ナッシュヴィルのニュー・フォーク
ってのでコレは実に不思議というかどこまで意図的なのかしらんというレベルでモダンな、
アートワークのチョイスとかもモダンサウンドのインディバンドか宅録にありそうなセンス。
Esther Rose的なラインがゴシック・トロピック辺りのハイブリッド型に近接したイメージ。


Japanese Breakfast – Jubilee (LP)

一番最初の先行M-2がちょっと、この路線はまずいんじゃないかと思う悪い意味でのダンス
ポップキャッチー路線で、不安だったんだけど続く楽曲は毛色が違ってどうなることやらと
ドキドキ蓋を開けてれば今までの要素全て汲みつつ新機軸も追加したバランス作品で安心。
M-4なんか時にアーバン・ソウル系のカッティングと初期のドリーム浸しインディポップが
かなりいい塩梅でミックスされていて完成度高い音像だと思う。続く先行M-5も素晴らしい。
Little Big Leagueの時からみてるけど正直、ここまでの扱いになるとは思ってなかったよ。
まあ、キャラクターは立ってるしいいボーカルだよね。狙い過ぎというか悪趣味なとこある
から、凄く好きって感じでは決してないんだけど、本当に歌心がある。ふとした瞬間の勢い
スウィートで胸を打つ節回しが飛び出すとヤラれる。もっとナチュラルに進んでくれたらな。
M-6みたいなのは完っ全にいらないから、ギタポベースのサウンドを大事にした方がいいよ。