GVVC Weekly – Week 141

Wednesday – “Codys Only”

ウェンズデイの新作アルバムから二つ目となる先行曲ビデオです。昨年にデモバージョンを
デジタルオンリーEPで公開していた楽曲のバンドテイク本チャン録音版なのですが、これが
素晴らしい出色の出来栄え。サウンド的にはグランジ・エモって感じなんですけど重くない。
相変わらず調子外れ気味のダウナーやけっぱち感傷的なボーカルが実にパンチ効いてまして、
繰り返す“Your warm breath on the mirror,” の所がかなりエモーティヴ。ドラミングも実に
キマっていて中盤ラフに突っ込むフィルと、締めのフレーズが非常にワイルドかつクレバー。


Lorde – Solar Power (Official Music Video)

ロードの新作アルバムがアナウンスされ最初の先行曲がビデオで公開。大きく変えてきたね。
今回の方向性メチャクチャいいと思う。美し過ぎる映像と相乗効果で、リゾート感溢れる超
開放的な、でもパーティ志向ではなくややレイドバックして気の抜けたビーチミュージック。
Bleachersのジャックが共同プロデュースでバックコーラスにClairoとPhoebe Bridgersと。
ニュージーランドなのにUS/UKメインストリーム市場で大ウケしちゃったからなのか今まで
ややダーク目だったり都会的なナイトミュージックっていう雰囲気のディレクションが強い
感じだったけど、これの方が彼女に似合ってるし魅力的。「I hate the winter」から始まる
歌詞は何のひねりもなくストレートにリゾートでリフレッシュしようぜっていう内容ですね。
各所で言われてますが確かにプライマルスクリームのLoadedにフィーリングが似てる。でも
流石というか、速攻でボビーギレスピーに連絡取ってパクりじゃない公認取ったらしいよ笑。
まあこれは贔屓目なしに見て白だと思う。サビがテーマとかなり近いけど白玉ベースだしね。


Luggage – Happiness

来月ライリー・ウォーカーのレーベルからリリースされるシカゴのラゲージ新作から先行曲。
Dischordラインの不協和音かつ重めのポストハードコアでシェラックのライト版というか、
ポストグランジというかなヤツですが3ピースっぽいサウンドが激カッコイイし、何よりもう
最初の一音目が最大の聴きドコロで、大きな展開はなくミニマルに終わります。硬派だけど
突き放した構成じゃないのがより取っ付き易くていいし、オマケ程度に挿入されてるなんか
スローアタック系のサウンドが実に効いてるんですよね。FACSあたりと近いけど仲間かな。


Deafheaven – Great Mass of Color (Official Audio)

デフヘヴンの新作アルバムが告知され、最初の先行曲が出ました。今回は相当大胆な変容を
遂げてまして、最終盤までブラメタの面影がなく知らないで聴いたら絶対にこのバンドだと
思わない。最後の1分で突然デス声を解放しますがブラストビートはないし、なんか耽美系
ドリームポップのバンドが冗談でスクリーム展開入れただけみたいに聴こえて、すごく軽い。
メタルに親和性のあるこの手ってところでViolensというかジョージ・エルブレヒト諸作に
かなり通じるムードになってまして、ちょっとイジればもっと良くなりそうな気配はあるが
現状ではまずクリーントーンの質感とかもウソ臭いしどこか無理してやってる感があるから、
早くモノにして欲しいところです。この構成なら絶対6分いらないし、ボーカルが微妙だよ。

今週のLP/EPフルリリース

Richard Greenan – Rehearsing Heat (LP)

NTS RadioのレジデントDJでもある、自分の音楽を作ることが一番の本業って感じではない
タイプの人の作品なんだけど、環境音をかなり取り入れたアンビエント・フォークトロニカ
みたいな音像で、もっとエレクトロニックかつエッジーな人達がよくやる、ブレイクビーツを
超えたブレイクビーツというかアブストラクトで散漫なビート絵巻っぽい側面もかなりある。
でも質感が結構オーガニックで鋭利じゃないし、ゲスト参加曲で軽めのボーカルが入ったり、
それがチョップト&スクリュードではないし寧ろtwinsistermoonとかの系統に響くあたりも
ヴェイパー以降の世界観では明らかにないバランスで、その辺が非常に好み。電脳感がなく、
どっちかというとヨガ系のメディテーティヴなクラスタなんでしょうがスピり過ぎてないし、
特に目新しい意匠ではないんだけどM-4がすごく美しくて、全てのサウンドがリアルな鳴り。
アンティーク家具やアートブック系のスカしまくったショップのBGMにバッチリだと思う。
何とも言えねージャケットもこれ合ってるしイイね。自身のレーベル、Kitからのリリース。


Quivers – Golden Doubt (LP)

R.E.M.のカバー挟み2nd。先行のM-1が凄く良くて期待していた。サウンドバリエーションが
すごくあるタイプではないし、一言ではインディロックでしかないんだけど本当瑞々しくて、
オージーバンドらしい雄大さとビッグなサウンドスケープはワイルドに穏やか。最近のもので
Pillow Queensの音像に似てるとこあるね。ギターワークはリアルエステイト的なラインから
Rolling Blackouts Coastal Feverみたいな感じで、ボーカルは割と大味にロックでちょいと
ダサめな雰囲気なんですがそこはまあいいでしょう。あんまりこねくり回してないシンプルな
編曲でサクっと思いついた曲をやってるテンポの良さがあるし思い切りがいいアレンジしてて
基本はプラスに作用してるけど、そこはかとなくB級な香りがしなくもなくその辺は難しい。
Teenage Fanclubとか、ちょいジャングリーでドタバタした男女ツインがベルセバ的な趣も。