ストリング・マシーンが来年2月リリースの新作アルバムをアナウンスし先行曲ビデオ公開。
イントロからヴァースに突入しても後ろで鳴り続けるマルテイヘッドディレイかかった様な
シンセのピンポン玉フレーズのテクスチャーが面白くて、全体的に賑やかで温かい雰囲気の
インディロック~チェンバーポップテイストの楽曲は非常に素晴らしいです。タケコプター。
Moses Sumney – In Bloom (in the woods)
モーゼス・サムニーが来週リリースする一発録りライブ・アルバムから新しい先行トラック。
元は昨年リリースの傑作ダブルアルバム収録曲でして、オリジナルでは大仰に作り込まれた
オーケストレーションの重めな楽曲でしたが大胆にストリップト・ダウンアレンジが施され
コンテンポラリーな装いに。これはクールですね。一部Dirty Projectorsのような響きです。
Chastity Belt – Fake (Official Music Video)
チャスティティ・ベルトの新作両A面7″シングルから、もう片方のサイドが公開されました。
前回、B面側の楽曲公開時にも紹介しましたがこちらも違ったベクトルでなかなかステキな
淡いインディフォーク調の楽曲で、間奏でのクリーン二本によるアンサンブルが実に美しく
まだ良かった頃のReal Estate的な風情を醸してます。しかし本当にいいバンドになったね。今の成熟度がビシビシ伝わってくるし、前のも良かったけど次回作LPは本当に期待できる。
Tasha – Bed Song 1 (Official Music Video)
およそひと月前にリリースされたターシャの最新作アルバム収録曲が遅れてのビデオカット。
ミニマルに美しく揺れる淡いドリームフォークのサウンドと非常にマッチした温かい映像で
髪を切ったらしい本人がとてもいい表情を見せたり一人ワインピクニックしたりしています。
穏やかなムードが充満していて、不思議と音だけで聴くよりも体験がアップデートされてる。
日本のリリース
めぞん – lady blue atami
Super VHSのオリジナルメンバーであり、界隈でも屈指の敏腕ギタリストであるイマイ君が
ソロプロジェクト『めぞん』として始動、サウナクールからのデビューEPをアナウンスして
最初の先行トラックを公開。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドとはっぴいえんどの邂逅、
ピッチの揺れまくったシーサイド・ねじれポップはダルかつチルでスウィートでウソがない。
正直、彼の在籍バンドライブにおけるギタープレイの印象からは凡そ想像できない音楽性で
面食らった部分はあるが、掛け値無しに物凄くいいしサウナクールがリリースするのも納得。
今週のLP/EPフルリリース
Pompey – Overwhelmed (LP)
表層的にはちょっと子守唄っぽいDIYベッドルームポップで、ある種非常に可愛らしい音楽
と言えるような装いですが、そこはかとなくこう鬱…というか癇癪が内に向かっている感じ、
精神的にヤバめな状態であるだとか不安だとかが余りにリアルにパッケージされ過ぎていて
ちょっとこちらも引っ張られる部分があり、クワイエットな音像に柔らかい歌声で紡がれる
ララバイに軽く恐ろしさすら感じる。コーマ・シネマだとか、アレックスGとかでも感じる
あの本気で心配になる感じ。ファッションメンヘラではなくてね。でもだから尊いのですよ。
ぶっ壊れそうな美しいテクスチャーと控えめながらかなり効果的なブレイクビーツ等も現れ
アコースティック楽器群との調和が非常に自然で、メロウ系のフォークトロニカ的な風情も。
ターニャ・アイヤーのバックバンドメンバーらしく、本人もゲストコーラスで参加してます。
To Forget – Echoes Take Their Place (LP)
なんか思い浮かんだのは、ほんと初期のナインデイズワンダー。ニューウェイヴっぽくなる
よりも前のね。ポストハードコア系のスクリーモ、でももっと深くてポストロック的であり
激情まで行かないけどやけっぱちにエモ、ダイナミックレンジが広くてドラムがやかましい。
黒いイメージだけどゴスやメタル、ドゥームは無く、ただひたすらあのライブハウスの暗闇。
これが生々しいっちゃあ、まあそうなんだけどちょっと軽めのミックスに感じて、もう少し
ソリッドかつ艶っぽい音にして欲しかった感があるが非常に好きです。こういう路線の音楽
今、結構居るように思うけど本当に微妙な味付けの差というかさじ加減についてブツブツと
ああでも無いこうでも無いと言いながら自分の好みにベストチューニングされた奴を探すっ
てのが醍醐味というか、ポップス的なモノだったりリズムが一定のインディロックに比べて
もっと構造的なトコに幅が出るジャンルだと思うから車PCいじるような面白みあるって話。
Gas – Der Lange Marsch (LP)
17年ぶりに封印されていた名義での新作。一応トラックが分かれてはいるが本当の意味で
曲毎にこれといった違いはなく、永続するチリノイズの中で心拍テンポの四つ打ちが淡々と
タイトル通りのロング・マーチを刻んで行くだけで、大きな展開は訪れない。ジャケットの
森林のイメージと、不安を煽るマイナーかつ微妙なディスコードの進行とが組み合わさって
凛としたアート感を強烈に醸し出しており、アパレルブランドのコレクションランウェイ等
ピッタリでは。これは少なくとも家じゃヴァイナルでかけないと意味がないよねという代物。
あまり普段自分が持て囃すような音楽じゃないが完成度が凄く真に確立されてて感服した。