GVVC Weekly – Week 170

Kindsight – Sun Is Always in My Eyes (Official Video)

コペンハーゲンのカインドサイトがストックホルムのRama Lamaからフルアルバムを発表、
先行トラックをビデオ公開です。トレモロのバランスが正直ちょっとキモチワルイんですが
そこ以外はなかなかステキな楽曲で、90’sオルタナと北欧勢らしいブライトで甘いメロディ、
調子外れ気味のギターポップ男女ツインボーカルという各要素の融合具合が絶妙なさじ加減。
そういえばデビューシングルも紹介してたね。昨年11月のシングルも収録されるLPタイトル
『Swedish Punk』もしっくりくる、いい意味で素朴なサウンドは実にこのレーベルらしい。


Nilüfer Yanya – midnight sun (Official Visualizer)

3月リリースのニルファー・ヤンヤ新作アルバムから、2つ目となる先行トラックが公開です。
今回はややダウナー路線の楽曲で、ジリジリとくすぶる不穏な煙と微かな煌めきの香りとを
行ったり来たりしながらグラウンドビート気味の重めのボトムが地を這う淡々としたムード。
一転、俄にバーストする終盤は激しくオルタナティヴな表情でアンセムの貫禄すらあります。
さらっとやってるけど、この人の音楽はホント深みというかコクがあって渋く、流石だわ。


Daniel Rossen – Shadow in the Frame (Official Audio)

グリズリーベアのダニエル・ロッセンのソロ名義は今までEPなどをリリースしていましたが
遂に初となるフルレングスをアナウンス、最初の先行曲がこちら。かなりVeckatimest期の
本体バンドそのもののようなサウンドと楽曲で、美しく抑制されたエレガントで詩的な風情、
オルタナ室内楽と言いたくなるコンポジションが相変わらず素晴らしいです。なんだかんだ
個人的な好みとしてはやっぱバンドでこの音楽性をそのままズバリやって欲しいんだけどね。


Melody’s Echo Chamber – Looking Backward (Official Video)

メロディーズ・エコー・チェンバーの約4年ぶりとなるフルアルバムから最初の先行曲です。
前作のリリース前に発生した生命が危ぶまれるレベルの負傷事故を乗り越えて制作された
今回の3rd、EUは無事Dominoからも継続の本気盤と、もう完全に復活しているんだったら
良かったですね。音楽性は変わっておらず、得意のドリーム・ネオサイケ・オルタナロック
万華鏡サウンド。初期からブレぬイメージはバンド化したモダンなマーゴ・ガーヤンかな。


Raveena – Rush

NYのインド系R&B・ネオソウルシンガー、ラヴィーナのニューシングルがビデオ公開です。
ビデオやイメージなんかはかなりコンサバというかメインストリーム範疇のソレなんですが、
楽曲はともかくアレンジメントはちょっと抜きの多い緩やかな路線で、ブリッジミュートや
丸い音色ばかりで纏められたインディ・オルタナソウル的なものをやや感じさせるし、特に
ブレイク後からは展開というよりももはや別曲になってタブラがめちゃくちゃいい音してる
ダウンテンポR&Bに変容します。以前より垢抜けて益々良くなった。ちょっと今のバランス
どれほど意図してなのか不明で、事故的に聴けるような塩梅ものモノになってる気もするね。

今週のLP/EPフルリリース

Jana Horn – Optimism (LP)

二週連続でナンなんですが、またしても以前に完全自主でリリースしていたものが良すぎて
ちゃんとしたレーベルが再発というかライセンスリリースっていうもので、これオリジナル
2020年ということで当然拾えておらず今回の再発で知ったクチなんですが、いやナルホド
素晴らしくてNo Quarter広めてくれてありがとうです。中でもM-1が圧倒的に一番良くて、
音楽の神降りて時間が止まった奇跡は弾き語りどころか白玉コードストロークのみの世界に
バックで鳴るうっすらとしたトランペットと寂寞の歌唱が非常に芸術点が高い。全体的に
スカスカなアレンジだけど柔らかく温かみがあってジェントル、とっつきやすい音像なので
変に尖ってなくインディフォークの枠では勿体ない逸材、間口の広さを感じます。ある意味
去年のClairoの新作みたいな路線とケイト・ボリンジャーあたりの中間にあるような音楽ね。


ANXIOUS – Little Green House (LP)

いやこれ、ポップパンクとエモ、パワーポップ、メロコア的なそういう音楽の中から幅広く
コア方面もマス方面も要素という要素均等にぶち込んで、テクニカルな顔も強く覗かせつつ
最終的にはキャッチーな印象に仕上げるという素晴らしいバランスです。どっちかというと
ダサカッコイイ系だし歌唱とかは軟派な感じもあり、ハードコアはないメインストリームで
聴いててちょっとギリギリかなと思う所もあるけど、気持ちいい瞬間もありやめられない。
なんか歌以外の楽器隊アレンジは、後期キャプテンヘッジホッグに近い気がしてて面白いね。
日本のバンド界隈でメロコア上がりがWeezerからジミーイートワールド、モックオレンジ
さらに進んでFaraquetっていうルートの人らに超絶刺さりそうな音楽だなあと思いました。