GVVC Weekly – Week 173

Real Lies – An Oral History Of My First Kiss [Official Video]

ロンドンのリアル・ライズが2ndアルバムをアナウンス、リードトラックをビデオ公開です。
昨年からにかけてリリースしていたシングル曲群も収録されるようですが、今回のこちらは
今までで一番良い出来だと思います。UKインディロックをアシッドハウス・レイヴ的な所で
エレクトロニック・ダンス化し最終的には程々にポップな表情で仕上げるという基本路線は
変わってないですが、音がちょっと洗練されてきてミニマルでクールな質感が強く出てます。
ちょうど1ディケイドくらい前の感じで、フレンドリー・ファイヤーズやデルフィックとかの
出だしの頃をもうちょいスノッブにしたような雰囲気にも聴こえる。アルバムちょっと期待。
なんかシンセ白玉入りんとこの印象がディスメンバメント・プランのこの曲思い出したよね。


Folly Tree – Remedies

テルアビブのフォリー・トゥリーが3月にリリースする新作LPからタイトルトラックを公開。
ドラムとバイオリン以外は基本全て自作自演で行われてるDIY多重録音バンドということで
親近感。サウンドもドリームポップ・トリップホップ的な雰囲気があるインディフォークで
ボーカルは結構シックだし、緻密に作り上げられた美しく重層的なトラック。北欧系とかの
ジャジーソウル入ったハイブリッドにも聴こえるし、これは将来性も込みで楽しみな感じね。


Pillow Queens – Hearts & Minds (Official Video)

ピロー・クイーンズがエイプリルフールにリリースする2ndアルバムより、二つ目の先行曲。
前回の曲でも思ったけど、基本構造は同じながら少し貫禄が出たというか若干のイカツさを
感じさせるのが個人的にはマイナス。ただ今回の曲は歌唱がよりハマっていて、メロディにも
程よい煌めきと感傷が込められたエモ・バランスの良好なトラックです。ズンドコ元気な中、
その向こう側に繊細さが見え隠れするのがイイから、骨太なのはこの辺まででお願いしたい。
ほんと純正オルタナ・インディロックというシンプルなサウンドはとても潔く真摯に響くね。


FredAtlast – One Day (Official Audio)

リトル・ドラゴンのフレデリック(ベース、シンセなど)がソロプロジェクトを始動します。
Fred Againとメチャクチャ印象が被る、その名もフレッド・アット・ラストという名義の
デビュー曲となるこちらは淡く柔らかい、角の取れた北欧インディポップという感じの趣で、
Shout Out Loudsなどにありそうなサウンド。正直、本体バンドの印象からすると随分と
丸くて控えめな音楽だと思いますが、レイヤリングが軽快であっさりしてるのは共通かな。
ほんと直球にスウェディッシュなのが逆に意外で面白いとも。EPが5月にリリースされます。


Evan J Cartwright / and you’ve got nobuddy

ウェザー・ステーションやUSガールズなどのドラマー、エヴァン・ジェイ・カートライトは
ソロ名義で自らの音楽も作っているみたいで、それが今回初お披露目となるこちらの楽曲は
4月のデビューアルバムからの先行トラック。まあ参加バンドを考えても納得感のある音楽で
フリー過ぎないフリーフォークに少しだけチェンバーポップが入ったようなサウンドですね。
これ半分はビデオが面白くての掲載で、ドラム入ってない曲でドラム叩きながら口パクです。


Drug Store Romeos perform “Building Song” for The Line of Best Fit

ドラッグ・ストア・ロメオズ昨年のデビューアルバムからオープニング曲のスタジオライブ。
これがスタジオ音源よりも解放感がありダイナミックな良いテイクで、更にシンプルながら
雰囲気にもマッチした映像もあり中々に素敵な映像になってます。LP全体ではちょっとまだ
定まりきってないというかもう一歩な感じもありましたが、あまり甘い方向を狙い過ぎずに
ミニマルめな構成の中でちょいちょいカラー入れてく方向で進んでくれると、現在製作中の
2ndが俄然期待できそうな感じかな。ボーカルのルックスが甘すぎるからバランスとりたい。

今週のLP/EPフルリリース

Big Thief – Dragon New Warm Mountain I Believe In You (LP)

あえてレビューするまでもないレベルですが、通しで聴いたらやはり黙っていられなかった。
好みであるかどうかは脇に置いといて、まがりなりにもバンド音楽を聴き続けて来た人間が
これ聴いて凄いと感じないワケがないですよね。この音楽の何がそこまで素晴らしいかって
何度も言ってますがバンド全体の演奏の馴染み、仕上がり、説得力としか言いようがない。
けだし、楽曲自体はフォークロックでしかなく弾き語りでも成立するようなもので、編曲上
強い必然性もないままただ単にバンド編成にして演奏してますというだけであるのがむしろ
他に類を見ないような凄みを生み出してるのではないかと。キメが多かったり複雑な展開や
音楽性が幅広かったり、シンプルでも性急だったりするバンド音楽が演奏ジャンキーであり
恐ろしく仕上がったグルーヴになるのは必然だし珍しくはないけどその逆だから。その逆を
行ってるのに、どんなそれらしいバンドよりも上をゆく渾然一体での圧倒的なアンサンブル。
そこに加えて更にこの特徴的なボーカル、ルックスまでパンチ効いてるときたもんでこれは
存在自体がミラクルというか、ある種偶然の産物っぽいのも余計にプレシャス。イカレてる。


empath – Visitor (LP)

3年くらい前のアルバムより遥かに進化してて、印象が変わった。今すっごく面白い音楽性。
乱暴な感じがなくなって基本ヒッピー・サイケデリック・トロピカルまで入ったガレージの
mamalarkyやDEHD的なラインにJapanese Breakfast混ざったようなサウンドになってる。
要素としては幅広いものを感じさせるんだけど仕上がった楽曲には不思議と統一感があるね。
質感は粒子が粗めのフリーキーな路線で少しとっちらかった肌触りでもメロディはポップで
かなり甘く、一時期に多かったフィルスペクター・ガールポップをサーフ・パンク的に解釈
しちゃいましたみたいなテイストの楽曲もあったり、片やドリームに両足突っ込んでたりで、
更にちょいちょい挿入されるシューゲイズアンビエント的な謎のインタールードも効いてる。
若干聴き疲れする感じなのが勿体無いから、もう少しだけ方向性が定まるともっといいな。