GVVC Weekly – Week 191


Enumclaw – Jimmy Neutron (Official Music Video)

度々紹介しているイーナムクローがLuminelleからのデビューアルバムを発表し先行曲公開。
これは文句なしの今週トップ掲載で、改心の出来だと思います。今までのグランジ路線から
少しダイナソーJrや初期Yuckのような、気だるい青春と恋のような甘さをたたえた蒼い蒼い
オルタナサンド。特徴の一つだった、マルチで不自然に歪ませたペラいディストーションが
マトモなサウンドに進化しており一気に全体像のスケールがアップ。録音も異次元に向上し
明らかにプロデュース入りましたね。これはスゴイですよ、キャラクターやボーカルが相当
パンチきいてるんで、音楽性とクオリティが伴ってくると下手したらかなり上までいけそう。
この曲がズバ抜けてるマグレでないことを祈ります。これ標準になったら天下とれるのでは。

Badge Époque Ensemble – Zodiac (Ft: James Baley)

Slim Twigのマックス率いるバッジ・エポック・アンサンブルが新作アルバムをアナウンス、
最初の先行曲がこちらです。今までも度々紹介してきましたが、今回リードシングルな事も
あってかゲストボーカルが入りすごい強度の訴求力がある名刺がわりの一発になってまして
サイケの煙たい感じがかなり中和されたソウルポップと呼べてしまうほどのサウンドに進化。
メロウとエキゾが絶妙なジャズ・ファンクのアンサンブルが本当に強靭でたくましく響く中
そこは単なるブラコンにはおさまらず、インディからクラブとニューウェイヴまで包摂した
スーパー雑食ごった煮ミュージックになっております。これはとんでもない楽曲出ちゃった。

Art Moore – A Different Life

エズラ・ファーマンのバッキングメンバーらとボーイ・スカウツが結成したアート・ムーア、
デビューアルバムからこれで3つ目となる収録曲を公開です。最初のシングルをイチ推しで
紹介しましたが、今回も良い、素晴らしい。音楽性を純粋に紐解くとそれほど語るところは
ないのですが、だからこそ全てがしっくり行ったバンドのマジックが間違いなく起こってる
その凄みが一際目立つっていうね。わずかにドリームゲイズを纏ったSSWバンドのインディ
スタンダードな音像は、Boy Scoutsを聴いても思うんだけど、ひたむきにスロウというか
良い意味でベタ塗りのタイム感がプラスに作用し、静かにレイヤーが重なってくる高揚感が
上品な求心力で落ち着きと美しさを伴い真摯に響く実直な彼女の語り口がジェニュインです。

Preoccupations – Ricochet

プリオキュペイションズがジャグジャグウォーから地元のFlemish Eyeに出戻り、というか
実質はほとんど自主に近いかたちだと思われますが、移籍しての新作アルバムをアナウンス。
そちらからの最初の先行曲はこちら、正直びっくりする程かなり変えてきたなという印象で
サウンドの艶というか、出音のセクシーさと尖った雰囲気はそのままに、WOMENの時代も
含めて過去いちシンプルにキャッチーなギターバンドの性急なサウンドを披露していまして
ダークなニューウェイヴロック的趣もある一発です。少しやりすぎな気もするが、どうかな。

Wyldest – Abilene (Official Video)

ロンドンのSSW型バンド(バンド型SSW?)ワイルデストが2ndアルバムをアナウンスして
最初の先行曲をビデオ公開。引き続きHand In Hiveからのリリースになるようです。それ程
印象は変わらないですが今回の楽曲は特にセンチメンタルに感傷的なメロディが際立つ所謂
切なポップ的な良くも悪くも軽い印象。Sad Girl Indieに分類されても仕方ないような部分も
ありますが、他の曲はもっとドラムも込みでオーガニックな生演奏寄りのしっとりしたもの
多く入ってくると予測されますし、その中ので一発ならこの感じもいいかな。一番はやっぱ
ボーカルが素晴らしいなと思います。声だけですごく語れる、寂しさ孕んだ綺麗な質感です。

今週のLP/EPフルリリース

Horse Jumper of Love – Natural Part (LP)

前からいいバンド名だと思ってたが、こりゃ文句なしに過去最高傑作。基本はオルタナ寄り
スロウコアといったらいいのか、派手に歪んだりせず、クランチ止まりのクリーンメインで
淡々と織りなすギターとアンサンブルは不穏ではないものの陰のある表情で3ピース編成と、
とっつき易いウワモノもほぼ鳴ってないし聴けない人にはとことん退屈であろうサウンド。
ただナチュラルにシームレスに響かせる滋味深いアレンジが実にいぶし銀というか職人技で、
バンド音楽マスタークラス熟練者にこそ是非おすすめしたいちょっと上級者向けのヤツです。
歌メロの感覚としてはペイヴメント辺りのひねくれUSインディとミッドウェストemo流れの
やぶれかぶれ感が融合したねじれPOPで基本的に派手さは無いがLP中唯一、M-3だけ異様に
キャッチーでもうブリットポップのアンセムみたいなシンガロングコーラスが多幸感溢れる
素晴らしいハイライト。もう1曲位は同レベルに軟派なトラックがあっても良かったと思う。


Praises – In This Year: Hierophant (LP)

なんだかすごく深い音楽性で、非常に濃密なムードは少しだけゴシックでダークな艶っぽい
アートロック・ポストパンクというような方向性。ま〜ポリッジ・レディオ辺りの雰囲気を
もっとアブストラクトに、スモーキーにしてったような妖しさがあって、そこからさらには
シンセウェイヴ系のシューゲイズじゃないけど、HTRKとかのような局面もあり、とにかく
どこを切り取っても芸術点高い音像。でもボーカルはトラッドでフォーキーな旋律も色濃く
そのクサみは終盤に進むにつれ先鋭化し、演歌みてーな曲もある(M-8)と、あまりクールに
キメ込んだ路線ではないためスノッブな印象は受けず、ただ胸焼けするような本格的な貫禄。