今月半ばにリリースされるノー・エイジの新作アルバムから三つ目となる先行曲が公開です。
ベースどころか遂にギターまでがほぼ鳴ってない極限状態のミニマル編成サウンドでこれは
もはやノーウェイヴ。ドラムもループにすらなってない謎のリズムマシンを土台にしながら、
スネアとタムとハットを追加してるだけ。それでも非常に格好良い音像になっておりまして
近すぎるボーカルとフレーズの体を成していない状態で一瞬だけ入るブリッジミュート戻り
ギターの「出ちゃいました」みたいな音(わざとだが)が素晴らしい相性で正直ここ数年の
彼らの音楽でこれが一番好きですね。Drag Cityも板についてきたしこれはLP俄然楽しみに。
George FitzGerald – Passed Tense (feat. Panda Bear) (Official Video)
ジョージ・フィッツジェラルドの新作アルバムから、なんとパンダ・ベアをフィーチャした
スーパートラッックが最後に公開。今週本編もフルでリリースになりましたが敢えて単独で。
いままでここまでシンプルにキャッチーなボーカルハウスのような楽曲で彼が歌った事など
あっただろうか。正直最近、仕事を選ばなくなってきたな~と感じていたが、それって別に
必ずしも悪い事じゃないかもね。この特徴的な歌唱がここへ来てこのような楽曲に色をつけ
昇華するってなんかグッとくるし、ベテランを超えて大御所になるとまた別の役割があるね。
Roller Derby – Only You (Official Video)
ドイツはハンブルグのスリーピースバンド、ローラー・ダービーが新曲をビデオで公開です。
基本は微かにドリーム入ったギターポップでしかない音楽性だが、声が少し低めにシックで
粘っこい感じが面白いのとベルセバ的なキッチュさにユミゾウマの爽やかな軽薄さが同居。
そこにさらにShe & Him的なクラシック過ぎるベタなメロディでビートは疾走ぎみだったり
ミックスも分離よく、ネオアコにたま~にあるちょっとイイ曲みたいな感じで割と聴けるね。
UKのPractise Musicからリリースと書いてあるが本当かな、レーベル側にまだ情報がない。
RL – Be True (Official Audio)
おふざけネーム、アール・エル・ケリーの名義で手作り感たっぷりの宅録インディポップが
10年近く前に一部に熱烈支持されていたのを覚えていますか。L.A.のレイチェル・レヴィが
その中の人でして、この度R. L. Kelly改めRLとして久々のプロパー新曲をリリースしました。
さすがに元ネタの人が笑えないレベルにアウトな存在になってしまったっていう事もあると
思いますが、サウンドもちょっと歪み感アップしつつやや開けた音像でバンド風味がアップ。
こちら2週間後にリリースされるEPからのタイトル曲でして、偶然Alex Gの新作と同日発売。
ビッグになる前のアレックスGとスプリットとかもリリースしてた頃のイメージでもっとこう
内省的だったりイイ意味でショボい音楽の印象がそのままに、今回も気が抜けてて良いです。
Kali Uchis – NO HAY LEY
カリ・ウチスが単独名義のプロパー新曲としては2年ぶりとなるニューシングルをリリース。
アルバムのアナウンスなどはまだ特に無いようですがエレクトロニック・ラテンハウス風の
キャッチーなトラックに彼女特有のサウダージ・ブリーズが香るわかり易く気持ちいい楽曲。
ほぼ完全にメインストリームですが不思議なモンで、どうしてもカリウチスは何か聴ける…
単純にボーカルが素晴らしいし、歌い上げちゃわないっていう最大のポイント押さえてるし
メロディのクセとか使ってくるエレメントはクド目なんだけど歌唱がアッサリしてるんだよ。
今週のLP/EPフルリリース
Bitchin Bajas – Bajascillators (LP)
この手はそんなに得意じゃないハズなのに、やけに手に取ってしまうのがビッチン・バハス。
少しトロピカル入ったフリージャズ・エクスペリメンタル・ジャムっていう基本形は普通だが
そこにこのニューエイジ系な濃い味のウェットとシカゴ音響派というか一時のトータス風味、
おしゃれメガネの建築オタク的インテリ・クリーンなアプローチが絶妙にミックスされてる。
ちょっとポストハードコア文脈の脳でも聴けるし、何も考えずアートブック屋でかけても可、
なのにメディテーションのお供も行けちゃう万能アンビエントアンサンブルは、安定感抜群。
ここから宇宙の神秘に突っ込みがちなところ踏みとどまって現実的なとこもまた良いのです。
前回のサン・ラのカバーアルバムもレビューしたような?問答無用のオススメグループだわ。