GVVC Weekly – Week 203


Wednesday – Bull Believer

ウェンズデイがDead Oceansと契約しスタンドアロンのニューシングルをビデオ公開です。
LPのアナウンス等はまだありませんが今回、四部構成の組曲みたいな楽曲になっていまして
非常にインテンシティの高い渾身の楽曲。終盤にブレイダウンしてからの金切り声の展開は
ボーカリストがライブでシャウトするための口実のようなものと語っており、最近でいうと
インディゴ・デ・ソウザのあの楽曲と近い景色が見えるフリーキーなグランジー・エモです。
ずっと良かったし、完成されてきてたのでステップアップ移籍は既定路線でこれから楽しみ。
7:40あたりに音がスキップしたような箇所がありますが意図的ではなく事故っぽいですね。
結構大事なとこで飛ぶので台無しな感じがありbandcampの方の公式音源も貼っときます。
今週はこれがトップ以外はもう考えられないくらいの素晴らしいトラックなので勿体ない。


Dry Cleaning – Gary Ashby (Official Audio)

10月にリリースされるドライ・クリーニングの2ndフルアルバムから三つ目の先行曲が公開。
これが一番イイかな、うんざりするほど居るUKポストパンク勢の中でもちょっと毛色の違う
クリーンで透明な抜け感が独特だし、このトーキー・スタイルの歌唱がメロディとの境目で
めちゃくちゃ近いミックスで耳元に明瞭に囁かれるサウンドは素晴らしく芸術点高い音場。
スミス的な疾走トラックがこのクールでドライなボーカルスタイルと良好なコントラストで、
こういう楽曲をもっと増やしてくと差別化になっていいしより4ADらしくなってきたと思う。
11/30(水)恵比寿リキッドルームで来日公演決定してます。大阪は12/1(木)クアトロ。


Brutus – Victoria (Official Video)

10月にリリースされるブルータスの新作アルバムからこれで三つ目となる先行曲ビデオです。
これは新機軸とまでいかないものの、ライトに仕上げられたよそ行きレディオフレンドリー
シングル向けトラックで、メタルコア感は控えめにしつつエモ系のインディロックをベースに
空間系のスケールを大仰にしたような音像に。普段あの感じでこの調整でもやれるって所が
売れに来たと言うか、勝機をものにするというやる気が伝わりました。なんだかんだ音塊、
音波が渾然一体となった貫禄ありますし決して軽薄なポップロックにはなってないのが流石。


Phoenix – Tonight featuring Ezra Koenig (Official Video)

フェニックスが5年ぶりにリリースするニューアルバムからヴァンパイア・ウィークエンドの
エズラくんをフィーチャーした先行曲をビデオ公開です。トマさんとエズラくんがそれぞれ
パリと東京での1日を二画面でお送りするおもしろ映像もなんだか楽曲に合っていてナイス。
しかし絶対ドラムは生にしないんだね、そこがサウンドの肝なのかな。もうこのレベルまで
リッチなサウンドになったらリズムマシンのチープさってもはやシグネチャーというよりは
足枷というか純粋にミスマッチでしか無い気がするんだが、やはり変えるとなんか違うなと
なってしまうんでしょうか。しかしながら流石に、何をやっても不思議と魅力的にポップに
キャッチーに響く、それでいてそこはかとない洒脱な雰囲気が何だかんだ超一流であります。


Chasms – Submit / Things Have Changed

実態としてはソロプロジェクトに変容したキャズムズが2曲入りニューシングルをリリース。
それほど大きくは変わっていませんが、以前はよくあるドリーム入ったエレクトロニック系
それ以上でも以下でもない感じだったところ、若干空間を生かしたダウンテンポ風に進化し
HTRKから尖りを抜いてコンサバ化したような音像で意外とこのバランスは無い気がします。
初期のNAVVIをアンビエント化した感じにも聴こえるし、変にポップにせずこの路線を支持。

今週のLP/EPフルリリース

Jockstrap – I Love You Jennifer B (LP)

下手したらもうソフィスティケイテッド・アーバンソウルポップみたいな雰囲気もあるのに、
病的にフリーキーなストレンジ志向がもう抑えられなくて奇異なサウンド、展開が飛び出す
ムチャクチャな世界観だったがその辺をうまく飼いならすというか程々にとどめておく事を
習得したというか(ある意味諦めたともいう)すごく良くなったし、バランス見つけたね。
前作ではアートワークからして完全に悪い意味でやりすぎてたし(ビデオは相変わらず酷え)
安易にカテゴライズされたくないってのわかるけど、折角ちょっとクラシカルな趣もあるし
ちゃんと芸術点も高いんだからこのくらいのエレクトロニック・アートポップを洗練させて。