GVVC Weekly – Week 238

Alan Palomo – Stay-At-Home DJ

ネオン・インディアンのアラン・パロモが初めて本名名義でリリースするプロパーのオリジナルアルバムをアナウンスし、メインピースとなる楽曲を先行ビデオ公開。
Neon Indianイコールそもそもこの人でしかないので、実質的な構成員は全く同じソロアーティストなわけなのですが、なるほどわざわざ名義を変えたのが頷ける、胸焼けするほどキャッチーに振り切りまくったレディオフレンドリーな激甘シンセポップでして、完全にタガが外れちゃってます。しかし、そこはこの人、クオリティは折り紙つきで、サウンドには普通に説得力あるしメロディが強いのは昔からなので何だかんだ平伏するしかないこの圧、ホンモノです。
もはや伏せ字推奨シ○ィ○ップ文脈にもマッチする雰囲気なので日本でもバカウケしそう。誰もがDJ、あなたもDJ、もはやDJとは…。



The Japanese House – One for sorrow, two for Joni Jones

今月末リリースされるザ・ジャパニーズ・ハウスの新作アルバムからクローザートラックのスタジオライブ演奏版ビデオが公開。
完全にジョニ・ミッチェル的なコンポジションと節回しで、これはオマージュと言ってもいいのかもしれない。ベースの音楽性がその路線の人じゃないからこそ、やって許されるような感じもある。
しかし、個人的にはメインの楽曲たちより全然この方が良いと思うし、なんかインディダンス引きずったシンセポップみたいな質感をいっそやめちゃえば一気に変わりそうなのに、勿体ないよな。そのへんUKというかロンドンの悪いとこ出てんだよね。
ちなみにアルバム収録バージョンの正規音源も出てるので同時に載せときますが、映像のライブバージョンの方が明らかに響きます。これもテイクというよりプロダクションの問題。


Glasser – Vine

グラッサーが実に10年ぶりとなるオリジナル新作フルアルバムをアナウンスし、最初の先行曲を公開。
この世代の、あの頃にハイプを形成し初期が評価されてたものの、その後商業的には明らかに成功してなかった組がなんだかんだこう、細々と続けてるのって本当に胸が熱くなりますね。
2ndまではTrue Pantherから出してましたが、今回はOne Little Independent (Indian)からのようで、そこはイメージにマッチした良い落としドコロかな。
音楽性の方はエニグマティックなエレクトロニック・アートポップという点に変わりはないですが、この楽曲に関してはアレンジメントとボーカルの妙でビョーク感が増し増しのえらいことになってます、悪くはないんだけども。他のトラック群はどんな仕上がりなのか気になる。


Madeline Kenney – I Drew A Line

マデリン・ケリーが来月リリースする新作アルバムから二つ目となる先行トラックをビデオで公開。
今回は淡々と進むシンセウェイヴの骨組みと散発的なボーカルがミニマルな印象で、メロディやコード感もやや希薄な中、客演のサックスが有機的に乱舞するクールなコンテンポラリー・アートポップ。
空間を生かした構造的な作りで環境音楽と準ポップスの中間に着陸するモダンミュージックは、ギャラリーやインテリアショップなどのBGMに最適です。

今週のLP/EPフルリリース

Nico Georis – Cloud Suites (LP)

そこそこ楽しみにしていた作品。一言で表現するならピアノアンビエントと呼ぶしかないのかもしれないが、いやしかしこれをピアノアンビエントというのは余りにも語弊がある。そんなにクラシカルなピアノじゃないし、ジャズやニューエイジっぽい響きも多分に入ってて、和の要素まであり、表面の質感はすごくローファイっていうなかなか無いサウンド。
先行で公開された時にも紹介したM-2のみに現れる、おぼろげなスキャットというかハミングのようなものが控えめながらも非常に良いスパイスで、もう少しだけ他にも登場させて欲しかったかな。
全体を聴き終わった感覚としてはベッドルームポップとか、アナログシンセの手作り歌ものトイトロニカ(死語)的なソレに近く、一時期bibioがウォーム路線に行ってた時あるけど、あれをもっとプライベートに、嫌味なくした感じとも言えるか。チルにもメディテーションにも対応の休日BGM、非常にオススメです。