リーズのイングリッシュ・ティーチャーがデビューアルバムをアナウンスし先行曲のビデオを公開。
今までのシングルもいくつか収録されるようですが今回初公開のこちらは静かに始まり、ゆるやかに盛り上がってポストロック・クワイヤー化するスケールのでかいスロウ・バーナー。
他の楽曲も加味した全体的な方向性はご多分にもれずポストパンクにマスロック的なアンサンブルとUKロックの大味な感じがブレンドされた最近の流行にガッチリ合致というある意味での売れ線なのですが、サウンドになんとなく大物の風格があり、シンガーも歌唱、ルックスともに雰囲気バツグンとプラス要素しかない。でも特にこの楽曲が一番いいと思うし決定打というか、格を証明する明らかな会心の一発です。
Bleachers – Tiny Moves
3月にリリースされるブリーチャーズの新作アルバムから新たな先行曲ビデオです。
これ楽曲も軽めの80’sシンセポップ系でサクっと小気味ヨイ質感のまあまあ素敵なトラックではあるのですが、何よりも映像がすごく気に入ってピックアップ。
彼の前でリアル彼女、というかフィアンセのマーガット・クォーリーが自作の魂のダンスをひたすら披露する…それだけっちゃまあそれだけ。でも個人的にガチすぎる過剰演出のコレオグラフィーはちょっと見てられない(どメジャーの音作りが嫌なのと同じ感覚)ことが多いのでこういう素人っぽさが生々しい方が刺さるしホント美しい。
途中でちょいちょい見切れるジャック・アントノフ自身も最後にはがっつり出てきていい感じにイチャついてます。これリアルな関係性だからこんなリアリティあるんやろなぁ。
winter – the lonely girl
L.A.のひとりバンド、ウィンターが単発のニューシングルを公開しビデオを公開。
彼女どうやらPhill Elverum(Mount Eerie等)がやっていたオンライン作曲ワークショップに参加したみたいで、それの課題として作った楽曲とのこと。
2パート構成で展開するポエトリーリーディング・シューゲイズトリップホップのようなトラックになっていて、メロディが希薄なのが逆に上手いこと機能した、もうドリームポップとは言わせねえシャープな音像になってます。前作はちょっと可愛らしい感じの雰囲気が特徴だったのですが一皮剥けましたね。
villagerrr – Neverrr Everrr (feat. Merce Lemon)
オハイオ州コロンバスのビレッジャーが3月にリリースされるニューアルバムをアナウンスし先行トラックをビデオ公開。昨年の単発シングルも収録されるようです。
今回はマース・レモンをフィーチャーした男女ツインボーカルの楽曲で、気怠い雰囲気で進行するインディ・フォークロックはどこかダウナーな雰囲気も纏っており、全てのエクスペリメンタル・アヴァン成分を抜き切って極限までシンプル化したスピリット・オブ・ザ・ビーハイヴのような塩梅に。
きらびやかな部分が全くなく、メロディは朗らか寄りではあるのですがサウンドの質感が結構殺伐としているので甘めのスロウコア的な見方もできる。こういうのは大好物です。
Moor Mother – GUILTY (feat. Lonnie Holley & Raia Was)
フィラデルフィアのムーア・マザーがこれで9枚目となるプロパーのスタジオ作をアナウンスし最初の先行曲を公開。
イギリスの奴隷制度の歴史とその残存する影響についてをテーマとしたアルバムになっているそうで、オープニングトラックに配置された今回の楽曲はリバースディレイのシーケンスが乱舞する中でメアリー・ラティモアのハープなども入った流麗な室内楽風のトラックにソウルがかった深めのスポークンワードが展開される、ビートレスなのにサラッと流して聴けないような鋭さを持った楽曲。
映画を観たかのようなボリュームと重さのポスト・スピリチュアルジャズは全体の空気と音の質感にもそこはかとなく真摯で高潔なエネルギーが充満していて、とんでもない強度の作品になってます。通しで聴いたら相当疲れるだろうけど、LP全体もだいぶ凄そう。
今週のLP/EPフルリリース
Cowboy Sadness – Selected Jambient Works Vol. 1 (LP)
いやまあ、まず構成メンバーあまりにしっくりくる。The Antlersのメインの方の人とBing & Ruthの人、そしてPort St. Willowの人のコラボ作。言うまでもなくそれぞれアンビエントがテーマの一つにあるであろうサウンド、しかもカラーが似通った部分がありここツルむのは当然と言っても過言ではない。特にアントラーズとポートセントウィロウとか最初の頃印象被ってたしな。
じっさいこのプロジェクト自体、実はもう10年以上やってるらしく、タイトルからも明確なようにアルバム作るぞ!つって同一のセッションから集中して制作されたモノではなく、ずっと行なっていた2,3ヶ月に一回の定期セッションからの取れ高の抜粋とのこと。
いわゆるポストロック系のアンビエントの質感ではあるが、クールな音像ではなくあたたかい部類のやつで、作り込まれていないジャム風の垂れ流し構成。特徴としてはドラムの入ったトラック。これが入ることによって一気に躍動感と、ラップトップやシンセとばかり向き合ってるタイプのアンビエント作家では出せない身体性、空気感が付与され説得力が増す。もっと全編ドラム入りだったらばアルビニとかに録音させたくなる感じで、やってるメンバーがこの組み合わせである意味がちゃんとある、納得感のある仕上がり。
先行で切ってた2曲がむしろ特に微妙な気がして、それほど期待感なかったぶんうれしい誤算。これはオススメです。店とかでかけた方がいい。