GVVC Weekly – Week 277

Brijean – Workin’ On It

L.A.のブリジーンが引き続きGhostlyから7月にリリースする新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。
最初の頃は2000年前後のラテンハウス・クラブジャズみたいなやつが少しだけインディ風にモダンチューニングされたような音楽性でしたがリリース毎に結構変わってきてて、今回は抜け感のあるディスコファンク風の楽曲になっておりこれはこれでイイ。
サンプル使いのエディット感やサウンドに90’s終末期くらい、テクノとかじゃなくて歌もののUK・欧州クラブミュージックでポップス寄りのやつ、つまりMolokoとかがSing It Backで大ブレイクしてたとかそういう時期のフィーリングがすごくあるなと思いますね。


LES SAVY FAV – LIMO SCENE

14年ぶりの新作アルバムをリリースするレ・サヴィ・ファヴがLPのタイトルトラックをビデオ公開。
すでに何曲かは出てましたが、これが一番往年の彼ららしいというかそのまんま、2000年前後、全盛期当時のトラックと言われても疑わないようなシグネチャーサウンドを惜しみなく盛り込んだ楽曲。
分類するならばやはりポストパンクということにはなるんだろうと思うが、昨今流行のソレとは何か決定的に違う、も少しインディロック風ですし、焦燥感はあってもそんなにエッジが鋭利ではないというか非常にUS的なモッコリ音像なので好きなんですよね。


Juliana Madrid – Not In My Lifetime

ロバがかわいい。ロバがかわいいんだよ!
それだけじゃ申し訳ないか。ジュリアナ・マドリッドさん、正直インディ、オルタナの文脈ではないと思うが一定数居る、その実ちょっとアレンジが削ぎ落とされただけの普通のメインストリーム大味ポップアクトでしかないのだが、なんとなく一応インディってことになってる枠の人かな。
それでもパトロール範囲にそこそこ掲載されたりするので出る曲出る曲確認くらいはしていて、結構声というかボーカルは良いと思うしなんとなく雰囲気はあるから決して悪くはない。王道すぎる楽曲やめて、凝り出したら面白くなるかもしれないけど本人がどういうマインドかわからないからね。めちゃくちゃ若そうだけど、大学生くらい?スターダム挫折して辛気臭い方向に行くのも乙だよ。一人バンドというかSSWって扱いだと思うけど完全にバンド音楽だからちゃんとしたバンドになったらこのままの音楽性でももう少し聴けるかも。


Porij – Ghost

マンチェスターのポリッジが今月末にリリースするデビューアルバムから新たな先行曲をビデオ公開。
何年も前に何かの曲をレビューした記憶があり、その頃から音楽性は特に変わってなさそうだが単純にクオリティだけ進化した感じかな。誰がどう聴いても絶対にUKの連中だとわかるあまりにもそれっぽいサウンドで、いわゆる2ステップ・UKガレージ流れのクラブ・ダンスフィーリングが強烈に入ったバンド。Disclosureとかからハウスを捨て、最初から人力ありきの方向性になったらこういう路線だろう。トラックによってはちょっと大味過ぎてしんどいが、今回のくらいに抑えられているモノなら聴けるね。とってもスマートで最適化されてるから若者向けのライトなオシャレ系音楽として非常にいい仕上がりだと思います。

今週のLP/EPフルリリース

Drahla – angeltape (LP)

1stも好きだったけど、けっこう時間がかかっての2nd。その分クオリティが飛び級くらいの正当進化で、大きな路線変更はなく元来の良さは全てそのまま単純にレベルアップした仕上がりです。
最初の先行曲M-7は昨年公開で年末のベストトラックスにも入選させました。今年出たその後の楽曲ももれなく素晴らしくアルバム本編の内容はもう約束されていたようなものですが、更に期待以上でもうグゥの音も出ない。
サックスの正規メンバーが居るという強烈な武器に対してそれに引っ張られ過ぎず全体のディレクション強度も一切負けてない絶妙なストップ・アンド・ゴーの舵取りと楽器隊の音作りが百点満点、ミックスに至るまでこれ以上が考えられないベストバランスで軽快に進行するポストパンク。ベース、ギター共に竿物のコーラスエフェクト使いがまた素晴らしく、ゴスやサイバーのイメージに寄ってしまわない範囲で必要十分の深さにかました特徴的な質感で、それがサックスと絡んだ上にちょっとポストHCというか、マスロックぎみのリズム狂ぶりが大きなうねりを生み出し他にないシグネチャーサウンドになってます。
ボーカルも多少の甘さを残しつつドライぎみでかなり良好ですが、仕様がどう転んでもポップスにはなり得ないというか、とにかくバンド音楽を突き詰めまくった先の完成度なので一切楽器演奏しない、バンドもやったことないっていうリスナーに響くかどうかはわからないってトコだけはウィークポイントになり得るかも。でもそれくらいしか文句のつけようがないね、本当に。


Shabason, Krgovich, Sage – s/t (LP)

連名がお馴染みになってきたこの二人に今回はUSアンビエント・ジャイアントのMatthew Sageを迎えてのトリオ編成。
やはりM.セイジが入ってまた明確に違ってくる、よりビートは薄れほとんどシームレスに繋がるサウンドスケイプは体裁としては歌が入ったアンビエントだけれど、メロディや語り口・コード感が全くもってフォークではないので、微ジャジー・エレクトロニカのアンビエントポップといった雰囲気。これはtomlabとかから出ててもおかしくない、というかまあケルゴヴィッチのNo Kidsとかは実際tomlabから出してたしそういうこと。
シャバソンの担当でニューエイジのフィーリングもあるけど三等分されてるぶんやり過ぎずにならず程よいさじ加減。ポストロックって感じには全くなってないのはやはりこのきめ細かいジェントルタッチとサックスの存在感かしら。これ以上ない位にアートブック屋かコンテンポラリーのギャラリーでかけてくれっていうわかりやすくキャッチーなスノビズム溢れるサウンド。悪い意味ではないです。
ちなみにM. Sage以外の二人は今テニスコーツとのジョイントで来日ツアー中。(7e.p.さん招聘)リリースのタイミングがドンピシャなのでこのトリオ名義で来ると早とちりしてチケット取ってしまったんだけどもデュオ名義ってことは前作の楽曲をメインでやるのだろうか。しかしニコラス・ケルゴヴィッチってどんだけ日本来とるん。