GVVC Weekly – Week 71

Wednesday – “November”

来月発売、ウェンズデイの新作アルバムから三つ目の先行曲がビデオで公開されました。
今んとこコレが好きかな。曰くThe SUNDAYSの名盤”Reading, Writing and Arithmetic”に
影響をめちゃくちゃ受けてて、なんとバンド名もそのサンデイズ由来だって話なんですが、
音楽性は全然違って聴こえるあたり謎ですね。まあ色彩が無いような感じは同じなのかも。
寂寞とした詫びしいオルタナ・エモ系のスロウコア楽曲に、ねちっこい歌唱が炸裂してて
ある意味Big Thiefのサウンドがもっと辛気臭いサッドコア方面に進んだらこんな感じ?
エモ味があって冠詞のつかない曜日名のバンドだと、どうしてもThursdayを思い出すね。

『あなたがどんな人かを誰かに説明しようとしてたの』ってアルバムタイトル、超イイ。


Wild Nothing – Foyer

ワイルド・ナッシングの新作EPはまだまだ引き続きCaptured Tracksから。長いね!
今回はViolens、Lansing-Dreidenで最近はブラックメタル寄りのCoral Crossもやってる
ジョージ・エルブレヒトがレコーディングに関わっているみたいですが、絶対アレンジにも
口出ししてるよねというか、多分、共同プロデュースレベルで彼のカラーが出てます。
ヴァイオレンズの新曲って言われても全然信じるし、ギターがもはや、ついで程度の鳴り。
これはこれでいいけど、ボーカルに存在感がある人じゃないから、これじゃやっぱりもう
特別Wild Nothingである必然性がないんですよね。この人、いまだにみんな結局は

これとか

これが好きでしょ?おとなになるってかなしいことなの…


orchid mantis – straw dogs

店舗もあるっぽい、スロヴァキアのカセットレーベル、Z Tapesからのニューリリースは
アトランタのオーキッド・マンティス。ベッドルームにありがちなドリーム系ですが、
レイヤー含めてリズムがガチャガチャしており、いかにもアナログなMTRで録りました的
ズレ感出てていいですね。ピッチの揺れ方も丁度いいレベルで、ラウンジーな音楽。
変な話、高級ホテルのバーラウンジとかでこういうのがかかってたらカッコいいと思う。
しかし今このサウンドでorchidってもう直球すぎて完全にOrchid Tapes狙ってるよね?


Oldsoul – Like No Surprise

マサチューセッツのオールドソウルが2月リリースの新作から最初の先行曲を公開。
最近いっぱいいる、少しだけエモがかったオルタナロックですが、バランスがいいです。
ちょっとめんどくさい感じの女性ボーカルに、バックの演奏は割と手堅くシンプルで
いい対比になってる。バンドの勢いはちゃんとあって、細かいギターワークとかも中々
気が利いており、派手さはなくも乙。ジャケ写がなんだか謎めいていて気になります。


Mush – Revising My Fee (Official Audio)

前回の楽曲も素晴らしかったイングランドはリーズのマッシュが来月のデビュー作から
お次の先行トラックを公開。UKを中心にポストパンクって今かなり流行ってますけど、
この人達は特に推しです。この手の音楽ってどうしてもグルーヴにギミックがあって、
ドラムの重心がすごい後ろとか、全体のリズムで縦のズレ感やねじれを演出してたり
よくするけど、彼らはストレートに高速だし、ギターもドラムも表面上スムーズな音で、
よどみなくせわしない。順張りで乗れる、普通にダンサブルなロックとして機能してて、
人を食った系の洒脱なボーカルは絶対にふざけたキャラクターなはず(であってほしい)
だし、キャッチーに仕上がっていていいと思う。うま~くパッケージされた音です。


Caroline Rose – “Feel The Way I Want” [Official Video]

キャロライン・ローズの新作から最初の先行トラックがビデオで公開です。前作では
Alex Laheyとかのオルタナポップ系シンガーだった気がするんですが凄い変わりようで、
バリっとコンプのかかったカタめのトラックしてる、いかにもjetsetとかで売ってそうな
インディ・ダンス系のホワイトソウルになっちゃってます。そういうルーツの人じゃないし
歌もめっちゃアメリカ人だから、いい意味であっちに行きすぎないフェイクな感じが出てて
ちょっと面白い。オーディションを受けにハリウッドへ気合入れて向かったら、実は会場が
LAじゃなくてフロリダの方のハリウッドだったってんで、歩いて移動する(無理)ビデオ。
ちなみにそのオーディションはロブスターのかぶりモンして受けるという謎オーディション。


Wasted Shirts – Double the Dream

タイ・セガールとライトニングボルトのブライアンが結成した新デュオバンドがお披露目。
はじめに断っておくと、個人的にはそれほど好きな音楽ではないです。ただ、それぞれが
クセの強いキャリアミュージシャン同士のコラボで、いきなりこの完成度はすごい。
まあ組み合わせ聞いた時点で「良さそう」とは思いますよ、仕上がりがイメージしやすい
というか…。でもそれにしても上手く行きすぎてて、お互いが普段よりも相手の音楽に少し
寄った感じの音色を出してみたら、その寄せ具合がピッタリ同じところにハマった感じで、
ノイジーで性急ではあるものの、軽くポップです。ジャンル形容不能。ガレージ・コア?
ジャケットの絵もいいね、カウボーイの集まりにパンクスが自然と紛れてるところとか。


Tennis – Need Your Love (Official Video)

テニスの新作アルバムから次なる先行曲のビデオ。いつも手堅く良い二人ですが、今回
これはあきません。このミックス、やってみたのはわかるけど、完全に良さを消してる
というか、派手に持ち上げたボトムがシグネチャーであるボーカルを邪魔し過ぎてて
『誰得サウンド』になってる。せめてスネアだけでも軽くすれば良かったのに、何よ!
ちょっとドラム、うるさいわよ!
前の先行曲はもっと普通だったので、アルバム全体がこれではないでしょうけどね。

・4AD黄金期のほとんどのタイトルでジャケットデザインを務めたVaughan Oliver
(UKのグラフィックデザイナー、ヴォーン・オリヴァー) が年末に亡くなったそうです。

レーベルのブランディングに多大な影響を及ぼしたはずで、今尚4ADのイメージそのもの。
多少音楽好きな人なら誰でも目にしたことあるはず。でも一番有名なのはPixiesかな?

・Beggars Group(4ADやXL、Matador、ラフトレード)にDomino、Saddle Creekが
Warner系のディストリビューター、ADA(Alternative Distribution Alliance)との契約を
やめて、Redeyeに移るようです。というのも、Warnerが2019年にADA含むフィジカルの
ディストリビューション事業をDirect Shot Distributingというところに移管したのですが
このダイレクトショットというディストリビューションが度重なる遅配とかショートの上、
それについてのレスポンスも悪いというのでウンコすぎて、小売業者たちから非難殺到の
状況だったみたいで、当然の結果ですね。

・という事でプロパー更新再開です。今年も基本、Weeklyは毎週末に休まず出しますので。