GVVC Weekly – Week 97

Angel Olsen and Hand Habits “Walls” (Tom Petty Cover)

エンジェル・オルセンとハンド・ハビッツがトム・ペティのサントラ曲をデュオでカヴァー。
すげーボーカリストが二人でこんなんやるともう、えげつない説得力出てて現場でオーラが
オーバーフローしてるし、生で観たら卒倒しそう。この次元で繰り広げられるぶつかり合い
ゾクゾクしません?それぞれがカリスマ級の存在感、お互いに一歩も引けを取ってないのが
生々しくリアルに響いてるし、セットの画やカメラワークも良くて、クリップとしても純粋に
素晴らしいよね。本当にいいもの観させてもらいましたわ。今年の映像でベスト級の一本。


Teenanger – Touching Glass (Official Video)

トロントのティーネイジャーが10月にリリースする新作からの先行トラックが出ました。
アートロックとポストパンクのキャッチーな落としどころといった耳馴染み良い雰囲気で
今回は完全に女ボーカル版のOMNIって風情だけど、楽曲構成がすごい良くて、終盤への
持って行き方はなかなか、流して聴いていてもハッとする。ギロとか、その他にも細かい
パーカッションの音も効いています。しかし、この人達ももうそこそこ長いけど、未だに
この名前はどうしてもKitsune全盛期の頃に日本でも知名度あったパリのバンド思い出す。


Bill Callahan – 35

ビル・キャラハンさま期待の新作から早くも3曲目の先行公開。この人の音楽は本当にもう
お話をきいているような感じで、明確にポップスではないし、平家の木造バーで吟遊詩人が
ポロンっていう世界なんですよね。なんだかこのラクガキもマッチしていて不思議です。
最初に公開された楽曲の時も言ったけど、今回地味にバックのアンサンブルが素晴らしくて
めちゃくちゃ全体のクオリティと慎ましい華やかさに寄与してる。絶妙なバランスですよ。


Vex Ruffin – What Matters the Most

ヴェックス・ラフィンがそのままStones Throwからフルアルバムもリリースするようです。
こないだのEPでは最初の先行トラックがズ抜けてキャッチーな出来だったけど今回は多分
コレがそのポジション。まぁ決定的なのはやっぱ歌なんだけど、このひとの抜け感は本当に
素敵。いわゆるDJ文化のサンプリング目線レアグルーヴ・ヒップホップって言ったらいいか
そういう出自を感じるんだけど、その手合いに似つかわしくなくひたすらに音像がインディ
フレンドリー、へっぽこにナードなポンコツビートなんです。最高に落ち着くしあたたかい。


Love Regenerator, Steve Lacy – Live Without Your Love (Extended Mix)

カルヴィン・ハリスの中の人による新プロジェクト、ラヴ・リジェネレイターの新曲は
スティーヴ・レイシーをフィーチャー。つかCalvin Harrisって本名だと思ってましたわ。
フランク・オーシャンが歌ってた曲が入ってるアルバムは我々仲間内でも全会一致の名盤に
認定されていて、基本的にEDMに属するものは当然のように鼻つまみにされているなか、
彼だけは別格の本物扱いな訳ですが、そもそももう音楽が全くもってEDMじゃないしね。
これもハードハウスとしか言いようがなく、あのDefectedからリリースというのも頷ける
内容で、キックを始め、やっぱドラムトラックの音が特にこの人独特の鳴りしててヨイです。


Gillian Welch – Strange Isabella

20年近く前に録音されたギリアン・ウェルチの初出し音源。基本、完全に範疇外なんですが
アメリカーナ色が強すぎない楽曲ならSSWモノとして聴けるしこれは単純にいい曲だなと。
最初、今でコレ?ってビビったらやっぱ昔のだった。ただコーラスの所、なんか聴き覚えの
ある節回しだなって思ってたらマジー・スターの一番有名な曲ですね。そこまで似てないが

コレね、一応。

今週のLP/EPフルリリース

DEHD – Flower Of Devotion (LP)

明確に推しバンドの一つとなってしまっている、だっていいんだもん。単純に歌心を評価
しているって部分は大きいけど、何度か言ってるようにガサツで雑然としたヒッピー系の
印象が強く、手がベタベタしてそうな感じなのに、ウィードのスモークのその向こう側に
純度の高いセンチメンタリズムと繊細さが見え隠れしてる危うい美しさが芸術点高いのよ。
今回はそこのポイントが殊更に強化されていて、下手したらドリームポップとまで言われて
しまうかもしれない次元の曲もちらほら…まあでも正直昨年のアルバムの方が良いですな。
多分制作にあまり時間かけてないよね?ポテンシャルはこんなもんじゃないと思うんで、
これからも注目。次で移籍しそうだな〜。しかし、このジャケ何とかならなかったのかよ。


Genevieve Artadi – Dizzy Strange Summer (LP)

先行ビデオのM-2がもの凄く良くて気になってた。全体聴いたら本当に複雑な音楽性してて、
おまけにこれがBrainfeederから出てるってのも含めて面白い存在。序盤の客演が入る曲で
うん、やっぱなんだかんだ軸は陽キャの人なのね…と心離れかけたが中盤から割と精神世界
入っていきます。ごった煮具合はアヴァンというか、そこはかとなくLAっぽさがあるものの
基本なんでもありな感じで、これ聴いてて思うのは、かなり自分をさらけ出してるというか、
彼女の人となりが伝わってくるような内容で、そういう気になるって時点でいい作品だよね。
しかし冷静に考えてダンスホールレゲエからステレオラブまで行けるって考えると意味不明。
M-3のヤバイヤバイヤバイ、あいつに街壊されるぞォ〜、あいつに街壊されるぞォ~がね…。


Lianne La Havas – s/t (LP)

セルフタイトルのアルバム、デビュー作にはつけずに、その後どこかのタイミングで出すと
余程自信作なのかなって思うし、ハードル高いよね。結構あっさりしたボーカルしてるのに
音楽性もややクール寄りで、表層的には雑食オルタナ・ジャジーソウルっていう落とし所。
M-7のレディヘのカバーがかなりいいと思う。ちょっとメディテーティヴというか、内面の
宇宙みたいなムード持ち出すきらいあるから、全体の中でも浮いてないし、凄く纏まってる。
サウンドが相当にデッドっていうか、録ったままみたいな音してるのがインディじゃないし
好みでない。この路線なら、純ソウル寄りの楽曲は完全に捨ててオルタナ度を上げるべき。
ちなみに、配信ではM-6にインタールードやM-12に1曲めのリプライズ入ってるけども、
フィジカルには前者がM-5とマージされてる&後者はカットということで、収録曲数とかさ、
途中の楽曲もナンバリングが変わっちゃうから訳わからなくなるし、そういうのやめてっ。